第27話 発電所開拓編 終幕
発電所の開拓が完了したハンターズ。一同は南区に帰還する為、地下鉄に乗っていた。
車内は全員疲れきって一言もしゃべらず、床にへたり込んでいた。
ブレスは怪我した脚を時折抑えつつ、地下鉄を運転をする。
薄暗い灯りに包まれた駅のホームに着き、ドアが自動で開く。
一同は下り、ナナも疲労困憊でクラシアに肩で担がれながら、一同地下鉄から下りると、
階段前で数人の人影が一同の目に映る。
「おーい!大丈夫か?」
影の一人が手を振り、駅のホームで年配の男の声が反響した。
その後ろから多くの人がぞろぞろと向かってくる。
「あれは・・救護班か?」
マラシイの言う通りそれは救護班だった。十字のマークが背中に入った赤と白のジャケットを着た集団が、
怪我したハンターズの隊員へと駆け寄る。重傷者はタンカーに担がれ、階段の先へと運ばれた。
マラシイも怪我した腕の処置を施された。麻酔を撃たれ、
ピンセットで腕に埋まった破片を取り除かれるマラシイ。その傍にいたクラシアは、
「マラシイさん怪我は大丈夫ですか?」
と心配し、
「あたしは大丈夫だ。あたしよりその担いでる奴を心配してくれ・・」
と、麻酔で動けない右腕の代わりに左腕でナナに指を指すマラシイ。するとマラシイの背後から、
「スフィンガー少佐。大丈夫か?」
とダンディな年配の声がした。マラシイが振り向くと、
「ジャックス大臣?それとマリア博士も。」
そこにはジャックスとマリアが立っていた。その後ろには監視員のスプリッドも来ており、停まっている地下鉄へと向かっていった。
クラシアとナナも二人が来てくれた事に喜びを感じていた。
ジャックスは三人に、
「開拓、ご苦労だったな。彼女とそれに・・皆のおかげだ。ありがとう。」
と深々と三人に頭を下げて言った。
マラシイとクラシアは微笑んだ後頭を下げ、ナナも姿勢を正し頭を下げようとしたが、足ががくついて倒れそうになった。
「ナナ!」
ジャックスの隣にいたマリアがナナに向かい、抱きしめ、倒れそうになるのを抑えた。
「マリアさん・・ありがとう。」
マリアはナナに嬉し涙を流しながら、
「頑張ったねぇよしよし。」
とナナを優しくなでた。
「ただいま、マリアさん・・」
ナナはマリアに抱かれ安心感が包容し、床に膝を着いた。
マリアはメガネを涙で濡らしながら、ナナの額に優しく自分の頭をくっつける。
「大丈夫?けがはない」
「・・・疲れたかな。とりあえず寝たい・・」
ナナは疲れた果て、ポヤポヤした声で言うも、喜んで泣いているマリアに向け優しく微笑んだ。
「発電所は開拓できたの?」
「ええ・・あなたが頑張ったからよ。これでコンコルドのゲートは開いて日光が注がれて、病者の増加は
収まるわ。あなたが国民を助けたのよ、ありがとね。」
とまた抱きしめるマリアにナナは、
「うぅ・・良かった・・良かったよぉ・・」
と今まで我慢した分が溢れ出るように涙が込みあがり、声を詰まらせた。
その光景を地下鉄のドアの前で見ていたスプリッド。
するとブレスが脚を抑え、地下鉄から降りる。横で待っていたスプリッドに気が付いた。
「おお・・迎えに来てくれたのか。」
「ああ。救護班を呼んだついでだ。」
「サンキュー、助かった。」
「よくやったな。脚は平気か?直ぐに治療を」
と、脚を引きずるブレスを心配した。
「・・俺は大丈夫だ。他の怪我した奴らを専念してくれ。」
「わかった。とにかく今日という日は地上の開拓に大きな一歩を踏み出した。やったな。」
「ああ・・あいつのおかげだ。」
とナナに向け顎をしゃくった。スプリッドは、
「そうだな。」
と簡潔にいい、ブレスは黙って頷く。二人はマリアに抱きしめられ、泣いているナナを見た。
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それからコンコルド南区では地上の発電所と連結する事に成功し、数週間後にコンコルドの天井が開き日光が注がれる。
日光不足による病気は減少が期待されると政府はメディアにそう伝え、大々的に広められた。
ナナのこととハンターズのことは伏せつつ広められ、国民は10年ぶりに日光が拝めると喜び肯定的だった。
数週間後、ハンターズ本部のモニター室でスプリッドによるゲートの最終調整が行われた。
「よし、ゲートの電力は充分に機能している。システムオールグリーンだ。」
「発電所はどうだ?」
「電磁ネットでちゃんとイロディアンの侵入は抑えられてる。大丈夫だ。」
「よし、わかった。」
それを本部の入り口前でインカムで聞いていたブレス。
ナナやクラシア、ハンターズ一同も入り口前で頭上のゲートが開くのを期待しまっていた。
一同だけではなく200万人の国民もその瞬間を待っており、
仕事を一旦中止し従業員全員が外に出る会社もあるほどだ。
動画サイトでその光景は配信され、外で見る場合日光で目がやられないようにサングラスの着用を呼びかけた。
大勢の国民はサングラスをつけながら開くのを待っている。
「それじゃ行くぞブレス。歴史的快挙だ。」
「ああ、楽しみだ。」
一同はサングラスををつけ、
「コンコルド南区、ゲートを作動する。」
スプリッドはエンターキーを押した。
モニターにゲートの図面が出て開かれる様子が映し出される。
外では配線と鉄に包まれた空が割れ、そこから青空が広がり、白く眩い光が隙間から漏れだす。
鉄製の壁はどんどん端っこによっていき、頭上からその光は徐々に円を作るように広がっていく。
「おお・・」
まるで暗闇の中で天使が降り立つような美しい光景に、ブレスは息を飲んだ。
国民も歓声をあげながらその開く光景を眺め、遂にゲートは完全に開ききり、外にいるかのような青空と白い雲、そして
太陽の暖かい光が地下都市に満遍なく注がれた。
都市に集まった大勢の国民は久しぶりの日光に手を振り上げ、旗を上げ歓喜し、涙を流す者もいるほどだ。
「凄い、本当に外にいるみたい。」
ナナも都市を照らす満点の青空を見上げ、感服する。
「ナナ。」
ブレスが後ろから呼び、ナナは振り向く。ブレスは一息入れナナに言う。
「ナナ、お前は国の発展に大きく貢献してくれた。ありがとう。そしてお前らもな。」
ブレスは全員を見てそう言った。
その枠の中にいたショウはスマホから通知がきた事に気付き皆から外れる。本部の裏側に迂回しスマホを耳につけ、
「・・はい御父様。」
というと電話の向こうから、
「記憶喪失の少女の件はどうだ?今回の戦闘で例のアレだと断定出来たか?」
と探るような口調の低く怪しげな中年男性の声がした。ショウは電話越しでかがむように話し、
「はい、恐らく失くなった大樹の一部かと・・」
「そうか。まさか少女と融合していたとはな。送ったワニ型が倒せるほどだ。やっと息を吹き返したか・・」
とショウの父親という人物は感情を上げる声を高ぶらせる。
「では次の作戦が決まったらまた連絡してくれ。こちらでは南区の法外だから動けない。
もし可能であればお前が鹵獲して少女をこっちに渡せ。」
「はい。わかりました。御父様。」
「頼んだぞ息子よ。いや・・インセクター。」
会話が終わりショウは電話を切る。ショウは何か思い悩むように青空を眺めた。
第27話 新章 アレックス研究所編に続く
いやあ、やっと発電所開拓編終わりました。ハンターズ一同と自分自身にお疲れと言いたい所です。
イロディアンの猛攻はもとより、ワニ型にハンターズを襲い掛かるロボット。
色んな困難がありましたね。
キャラクターもまぁまぁ多いので回せるか不安でしたが何とかこなしてみました。
元々キャラ付けはしているのですが、いざやってみると難しく感じますね。
次回は改めてキャラクター紹介を挟んでそこから新章のアレックス研究所編に行きたいと思います。
お楽しみに~




