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第24話 発電所 最終戦 その一

前回の話で修正した箇所。


マラシイがロボットを探すためにイロディアンと戦うチームと離脱したけど、よく考えたらあの場面で単独行動は危ないし、


特に別れる理由がないため、ない事にしました。ご了承ください。



久しぶりのあらすじ


人を化け物に変えるウイルス、イロードのパンデミックから10年。


不死身のイロディアンを倒せる謎の少女ナナと、特殊部隊ハンターズが連携し、ついに念願の発電所を開拓出来た。


しかしそこに待ち受けていた新種のワニ型と、人間を抹殺するロボットがハンターズに牙を向き、


何とかロボットは弱点を見つけて倒したものの、そのために隊長のブレスは囮になり、単独でワニ型と交戦することになっていた。




第24話 悶絶




発電所  下水道  第三者視点


「はぁ・・・はぁ・・・」


ブレスは酸欠で苦しそうに息を切らし、正面を睨みながら脱力するように膝をつく。


ブレスの見ている先には全身になん10本もの氷の刃が貫かれ、透明の氷を赤く染まらせ、倒れ、力尽つきかけているワニ型がいた。


脚は二本もがれ、横に付いているワニの口も半分もげており、その中にある赤い人のような顔から弱弱しいうめき声をあげていた。


再生する力もなく、ただひたすらうめき声をあげ、腐臭漂う下水道にへばりついているワニ型。


「・・・しぶとい奴だ。」



ブレスは負傷し単独にもかかわらず、ワニ型をここまで追い詰めることに成功した。


なん十回も氷結弾で弱点での裏側を突き刺し、時には尻尾で吹っ飛ばされ、地面に潜って奇襲もされたがチャンスを伺い、


再生する力がなくなるまでワニ型を追い詰めた。あと一歩。後一歩でワニ型を倒せる所まで追い詰めた。


ワニ型の伝った穴だらけの下水道の中、ブレスは跪きながら残り少ない氷結弾を機動。


パきパきと精製された氷の刃は短小であり、燃料不足の氷結弾では一メートルある刃はもう作ることが出来なくなった。


当然素材を共有している水発射装置も少なくなっており、氷結弾に表示されている装置の燃料のグラフは一番下まで下がっており、


グラフが点滅している。車の灯油と同じように寸前でなくなるというサインだ。それを見つめたブレスは、




「・・・これで十分だ。もう少しで終わりだワニ野郎・・・」


と立ち上がり、負傷した脚を引きずりながら、瀕死寸前のワニ型に近づく。


包丁ぐらいの頼りなく短い氷の銃剣を構え、徐々に距離を縮める。


近づきなら横の口に銃撃し、開ききった横の口を射貫き、ズタボロに破壊。


もうこれで中の顔を守るものはない。動かないワニ型。


まるで能面のような醜い顔に向けて、ブレスはぐっと力を込め銃剣を振りかざしたその時、


ワニ型が突如動き出した。俊敏に後ろに反転し、ブレスに尻尾を振りかざす。


「!!?」


ブレスは紙一重で噴射し空中回転で円を描きかわすが、着地した時勢いが強すぎて地面によろけてしまう。


隙のできたワニ型は二本の脚でよろけながら、横にある自分の開けた穴へと向きを変え、逃げだす。


「っくッ!!待てッ!!」


ブレスが脚を引きずって追うが、ワニ型の巨体が壁に当たり、破片が落ちる。


破片が邪魔して近づけない。そのまま奥の穴へと掘って行ってしまったワニ型。


「・・ッくそ!追うか。」


ブレスは逃げられた悔しさから震えるがすぐに状況を見つめ、振り向く。


奥にマラシイ達が下水道を出た扉のある道がある。ブレスはそこに向け背中の装置を機動。


下水道には装置で噴射させた白い冷気だけが残っていった。




ーーー発電所の外、工業地帯にてーーー


青色の電磁ネットが囲む発電所の外。無骨な白い建物と、平らな草原に道路が舗装されている場所。


そこでブレスを助ける為に別のルートに向かい、飛んでいる一同。そこに二体のワニ型がハンターズに襲い掛かる。


ロバートは、


「二手に別れるぞ!俺達は右に一体引き寄せる。マラシイはクラシア達と一体別の所で戦ってくれ。」


「わかった。なるべく速く倒すよ。ナナをそっちにいかせるために。」


「ああ、そうすると助かる。あいつを発電所に入れるわけにはいかない。行くぞ。」



ロバート、エリック、フラッサらの5人は先に右に移動し、ワニ型を引き寄せる。


ナナ、クラシア、ショウ、マラシイ、カールら5人も左に移動。


もう一体のワニ型を引き寄せ、お互い5人対ワニ型の構図となった。


「カール、うちながら回りこめッ!奴の隙をつくぞ。」


マラシイの指示にカールは射撃しつつ耐空し後ろに迂回。


後ろを向いたワニ型にクラシア、ショウ、ナナは一斉に後ろから三方向に攻撃。クラシア達は氷結弾を振り下ろし、


ナナは触手を伸ばし上から切り付けようとするが、ワニ型の岩石のような鱗はとても硬く、


2人の氷結弾は粉々に打ち砕かれ、ナナの渾身の攻撃もはじかれた。


「やっぱり上じゃダメか・・・だが、」


はじかれて触手むき出しで痛んでるナナの後ろから全力噴射し、ワニ型に突っ込むマラシイ。


「奴は裏の腹が弱点だッ!!、裏の腹を狙えッ!」


向かってくるマラシイに飛びがかるワニ型。裏の腹が出る。


そこに氷結弾をぶっさし、氷の刃を折り落下する巨体を横から流し、くぐり抜ける。


やられたワニ型は即座にローリングしマラシイに尻尾を当てようとするが、ひらりと交わし、


ナナ達の所に着地する。刺さった氷の刃は腹を凍らせていたが、さしたるダメージはおっておらず一同に突っ込んでくる。


散開し交わし、ワニ型は奥の小屋へとダイブした。


小屋はワニ型の体当たりで倒壊し、激しい砂煙をあげる。


「マラシイさん・・」


「・・すまん浅かった。次こそは決める。隊長のようには行かないか・・・」


「隊長もいますもんね。あと一体のロボットも・・・どうするっすか?」


「今はこいつを倒すことだけを考えろ。ナナもな。」


「・・はい大丈夫です。」


「クラシア達は下から潜って攻撃を・・・」


とマラシイが言いかけたその時、レーダーから警告音がなる。イロディアンの反応が、赤いポイントが数体近づいてくる。


ナナが真っ先に屋上の柵へと伸ばし、絡ませ、屋上に着地。レーダーの反応がした現場を見る。


「上から五体来ます!」


追うようにマラシイ達が建物の屋根の上から覗くと、猛進型が建物を辿って跳躍し、奇声をあげ、こちらに向かって来るのが見えた。


「集まってきやがってッ!」


イラつくように愚痴をこぼしたマラシイは、


「閃光弾投げるッ!目を閉じろッ!!」


迫ってくる猛進型に向けて閃光弾を投げ、辺りは一瞬で円形の光に包まれる。


5体の猛進型は怯み、屋上の柵にぶつかったり、落下していった。


だが下にいるワニ型は光をもろともせず、空中に浮かんでいるマラシイ達にジャンプし食い掛かってきた。


ワニ型の行動を警戒していたマラシイは目を開け、


「下からワニ型ッ!散開!」


一同は散開する。大きな口を開け、飛びがかったワニ型は回避され、建物にぶつかり豪快にガラスや壁をぶっ壊す。


体勢を立て直しすぐさま地面に潜り、クラシアとショウに地面からダイブした。2人は回避し、裏の腹が露わになる。


屋上にいたナナはそれを捉え、遠距離から触手をすっ飛ばした。刃のような三本の鋭い触手は、ワニ型の脇腹と一本の前脚を貫く。


「いいぞナナッ!」


マラシイはナナの攻撃で転んだワニ型に追い打ちをかけようと突っ込むが、ワニ型は尻尾で砂払いしマラシイの接近を防ぐ。


「ッ畜生。」


「マラシイさん猛進型接近きてます!」


別の方向から猛進型が走りこむ。


「しつこいな・・クラシア達は猛進型を迎え撃てッ!ワニは私がやる。」


「はい!!」


クラシア達は猛進型に迎え撃ちに向かった。それを建物の上で俯瞰していたナナは、


「私がやらないと・・」


一筋縄ではいかないと思ったナナは、ワニ型の近くの建物に絡ませた。


「マラシイさん、私がやります。裏側が弱点・・やってやる。」


「まてッ!あんたは攻撃しなくて・・」



ナナは心の何処かで焦っていた。全員で生き残って帰るというプレッシャーに。


ナナは飛び上がりワニ型の上に行くように移動する。


ワニ型はナナを食おうとジャンプした瞬間、ナナは一気に触手を巻き取り、


絡ませた右の建物へと引き付けられた。これでワニ型を浮かせて側面に隙ができた。


スライドし踏ん張り着地しながら、即座に触手を腕に戻し、ワニ型の側面に向け再び発射。


アンカーのように伸びた触手はワニ型の横腹を貫いた。


ワニ型は痛みでどす低い叫び声をあげ、反撃で触手を払おうと体を乱暴に回す。


ナナはそれに引っ張られ低空を舞い、触手は払われ、吹っ飛ばされ壁に激突。


衝撃で朦朧になりかけてるナナにワニ型がナナに食らおうと接近する。


「ナナ!!」



マラシイがナナに近づけまいと突っ込むが、ワがれきをあちこちにまき散らして進んでいる為、近づけない。


マラシイの声にナナは目の前でワニ型が突っ込むことに気付き、急いで横に交わす。


間一髪でよけられたと思った。だがナナは痛恨のミスをしてしまう。


「あ・・」


もう遅かった。そこにある伸びた触手は戻していなかった。ナナはよけられても触手は放置されたまま。


大きな口を開け壁に突っ込むワニ型は、ナナの放置された触手に食らいつき、触手は血を飛び散らせ、真っ二つにもげた。


「ーーーーッ」



この一瞬にしてナナの目は見開き、全身から汗がドバドバと湧き出る。


触手から腕から、火に浸かるような痛みがナナの脳髄に伝わった。


「うああああああぁぁああああああ」


その場で涎が吐き出るほどの断末魔をあげた。その痛々しい叫びは遠くにいるメンバーにも伝わった。


ナナは腕を抑え、つまずくように倒れ、痛みに耐えきれずジタバタと暴れ回る。


もげた触手はコントロールが効かずぶんぶんと縦横無尽に振り回される。


もげた箇所から血が散乱し、周辺の白い建物が赤く染まって行く。


触手は二本もげ、一本は何とかくっついている状況。



「ナナしっかりしろ!!」


マラシイは銃を打ち標的を自分に向ける。ワニ型はマラシイに向かい、ジグザグに動いてワニ型を何とかナナを遠ざける。


囮になりながらインカムで、


「ナナ!動けるなら回復するまで何処かで避難しろッ!今そっちはいけない。そこから離れるんだ!」


触手が切断された痛みは手を切断された痛みに等しく、死んだほうがましと思えるぐらいの痛みだ。


「は・・ぃ・・」


ナナの声は叫びきり、かすれていた。痛みで震えながら何とか立ち上がり、揺らぐ視界でがれきだらけの光景を見渡す。


彼女の表情は魂が飛び出ているように虚ろだ。


顔色も悪く、無気力で、焦点が白目になりかけるぐらい上に行っている。


ナナの視線にはワニ型が突っ込み、壁が粉砕された建物が見える。


その砕けた壁の向こうに一個のドアが。


そこに向かおうと長い触手のまま引きずり、血の線を引きながらフラフラとドアに向かった。



ーーー第25話に続くーーーー



今回の話でナナがやられてしまいました。

ナナの力はイロディアンの脅威的な再生能力を無効化でき、殺す力を持っていて、

状況をひっくり返すほどの力があるのですが、中身まだ18歳の少女でしかも彼女は記憶喪失です。


彼女の心の中には常に自分が何なのかという不安や孤独感があり、

全てが優れているわけではないというのを今回は意識して書きました。

次回は久しぶりにマリア博士が活躍します。マリア博士はナナの親的なポジションです。

監視という口実だけど、なんだかんだ一番ナナを見ていますからね。


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