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第22話  事務室での戦い

細かい所の補足部分。


氷結弾は連射特化のアサルトライフルベースに、長期戦を想定するために60発入っているダブルドラムマガジンを搭載。


安全装置は上の部分のロックを引っ張ることで解除され、中で弾丸がリロードされる仕組みになっている。


ダブルドラムマガジンは、


その名の通り丸い二つの小さいドラムの形をしており、大きさは全長10㎝。左右の中に30発ずつ入っていて、


打つ際はマガジンの中で交互に円周に巻きあがるように装填される。ダブルドラムは実際に存在しており、参考にした。


ハンターズはこれを後ろの腰部分に二丁ずつ予備を搭載。他には氷結弾にはスコープと、暗所のためにライトを搭載。


そしてイロディアンに接近して行動停止のために、特殊な素材を使った氷の刃の銃剣を精製できる。


鋭い光沢を浮かべ、冷気を漂わせる氷の刃に重厚感を引きだすアサルトライフルが融合した姿は、


かなりかっこよく映えるはずだ。

下水道の橋の柵をまたがり、橋の扉の向こうへと走りこんだ四人。


蛍光灯で照らされたアスファルトの階段を、

四人は疲労困憊で目が虚ろになりながらも階段を登る。


理不尽な展開、負傷、殺伐とした環境。一同のストレスは募るばかりだ。


「っく、隊長・・」


フラッサが後ろで足を止める。


「どうしたフラッサ?」


ロバートが振り向く。


「やっぱり隊長の所に戻った方が・・」


「ッ何言ってんだ。ブレス隊長は俺達のために戦ってくれてんだぞ。」


「でもこのままじゃ隊長は死にますよ!? 僕たちのせいで。あの足の負傷じゃいくら隊長でも・・」


フラッサは嘆き、三人は俯き黙りこむ。


「・・フラッサ。確かにあんたの言う通りだよ。あのままじゃ隊長はワニに押し殺されてで死ぬ。

隊長が一番よく知っているだろ。」


一番階段の上にいたマラシイがフラッサに歩み寄る。怪我した二の腕を抑えながら。


「それでも隊長は私達にロボットを倒してくれと託した。なら私達のやる事はあの自爆ロボットを倒すことだ。私達四人で。」


そう言いマラシイはフラッサの肩を力強く叩く。眉根を寄せ、真剣な眼差しで見上げるマラシイにフラッサは頷いた。ため息交じりの表情から頷くしかなかったのだろう。


「はぁ・・じゃ行くぞ、時間がない。」


「はい。」


マラシイが扇動し、一同は階段を上り始めると。上から何か音がしたのに気がつく。


僅かながら地面が揺れているのも感じた。


マラシイが耳を澄ますとだだだだだだだだと重い銃撃音が微かに聞こえる。


「まさかロボットか?」


四人は階段を走り込み、音のなる方へ向かう。この扉の向こうから聞こえた。


マラシイを先頭に四人は頷き、武器を構え、扉に背中をつけつつドアノブを強く握りそろりと開けた。


激しい銃撃音が開けた場所から漏れ出し、鮮明に聞こえる。同時にキャタピラの回転音もあるのがわかった。


やっぱりロボットだ。誰かが戦っている?


嫌な予感が一同によぎる


マラシイが扉の隙間から覗く。もう何度も見た十字の通路の光景。


そこには爆炎がほのかに広がっており、目の前の壁にはキツツキがドングリを木に埋めたような弾丸の跡が付いていた。


それを眺めているとまた奥から銃撃音が鳴り出す。しかし今度の音は違った。




「この銃撃音は氷結弾?」


ロボットのガトリングガンに比べ、アサルトライフルベースの氷結弾の音は軽い。


マラシイは同意を求めようと後ろのロバートへ振り向く。


「ああ・・間違いないな。味方が戦っている。」


「撤退してなかったのか・・いや出来なかったか。」


マラシイは部隊が撤退出来てなかったこと落胆し顔をしかめる。


それでも現状を見つめ直し四人は加勢するために音のなる方へ歩き出す。


壁から少し体を出し、奥を確認しつつマラシイはロバートに話す。


「ロバート。ロボットにハッキングして鹵獲は出来ないだろ?」



マラシイはダメもとで鹵獲の意見を出す。案の定ロバートは首を縦に振り、出来ないことに同意した。


「ああ、ガトリングガンと自爆でリスクが高い。ていうか繋げるパソコンががれきの下敷きになったから無理だ。」


マラシイは指でゴーサインを出し、四人は進む。


「・・そうか。」


「はぁ・・もう倒すしかないですね。」


エリックはため息をはきながら後ろについていく。


「そうだね倒すしかない。」


意見は決まり、四人はロボットと氷結弾の音が交わる方向へと歩んだーーー





一方ナナ達はロボットの銃撃に苦戦しており、手が出せない状況だった。


その後何とかロボットを錯乱させ、逃げ切ったが目的地の下水道からはかなり遠ざかってしまった。


一同は反撃の為にある所に向かう途中だった。


「っくそ!なんてめんどくさい奴なんだ!」


隊員が愚痴を吐きながら目的の部屋まで進む。それを後ろで聴いていたナナは、


「・・・ごめんなさい。私のせいです。周りを見なかったから。」


と俯きながら、心の底から申し訳なさそうに告げた。


ナナが勢い良く擬態型を吹っ飛ばし音を立て、ロボットに見つかってしまったのだから。




「・・まぁ、そうだな君のせいだ。でも奴の特徴を掴めたからいい。奴はかなり賢いし硬いし火力もある。


おまけに証拠隠滅と反撃を兼ね備えた自爆機能。人間を襲うことを除けば兵器として一級品だな。」



先輩の隊員はナナを少し恨んだが進歩したのでよしとした。


先輩はアゴに手を当て、さっきロボットと戦った場面を思い浮かべる。


先ほど氷結弾で連射しても指したるダメージはなかった。


ならばとナナが触手を伸ばしたが、嵐のようなガトリングガンの弾幕でうかつに手を出せない。


おまけにロボットは攻撃されると逃げる事がわかり、この機転の良さが倒せない事に拍車をかけていた。


「前方後方の四丁のガトリングガン・・赤いレーザー・・自爆・・他にも何かあるかもな。」


「地頭の良さと機動力っすかね、速すぎますあいつ。切断も容易じゃないですよ。」


ショウがモヒカンをいじりながら言う。


「それもあるな。あと俺達が手を出せないのはこの環境の悪さだ。この通路が狭すぎる。水発射装置が使えない。


それに比べあいつは左右にガトリングガンを引っ込めて進むことだって出来る。


左右にガトリングガンを広げることも出来て、可動域が無駄にいいこともわかったし。」



先輩は八つ当たりにアスファルトの壁をペチペチ叩く。


通路の幅は三メートルほど。縦横無尽に飛び交うのが利点の水発射装置ではこの狭さは致命的だった。


「だから今事務室に向かっているのですね。さっき言った作戦で。」


ナナの言葉に先輩は頷く。


先輩の出した作戦はここから近い事務室へとロボットを誘い込み、五人で錯乱させ、ロボットを仕留める作戦だ。


ここから近く、比較的広い事務室ならば水発射装置が使え、


手出し出来なかったナナの触手も発揮出来る。ロボットを錯乱を目論んだ。


「だがこの作戦でいいかは少し疑問だ。もしそこで倒し切れなかったら、俺達はガトリングガンの餌食だ。」


一同に不安と緊張が募るがお互い見つめ、覚悟を決めた頷きをする。



「じゃ俺とこいつと2人でロボットを引き寄せる。君たちは先に事務室にいって机の下で待機。


ロボットが入ったら左右に2人が出て、ガトリングガンを左右に引き寄せて真ん中に隙を作る。


その隙にナナちゃんが真ん中で渾身の薙ぎ払いで倒す。氷結弾で倒したら多分倒しきれず自爆するはずだ。だがナナ、君の力なら。


君の力が頼りだ。さっきの汚名を返上してくれ。」



「・・わかりました。気をつけてください。」


ナナはマントに付いているハンターズのエンブレムを握り、決意を固めた。


先輩達は来た道を戻り、ロボットを引き寄せに行く。


ナナ達は事務室に向かい、ドアノブを握るがガチャガチャと閉まっている。数字の手打ちのパスワードでしまっているのだ。


「あれ、閉まってる?」


困惑するナナに隊員が


「こういう時はこうするのさ。」


ナナを隅に優しくどかし、武器の氷結弾を反対側にひっくり返しもつ。


そのままドアのガラスを銃の後ろ部分で突き、ガラスが飴細工のように割れる。


そのまま手を入れ、裏のかぎをとき、ドアを開けた。


隊員はナナを見て、こんなもんよと言う表情で笑う。ナナは関心しつつ4人は事務室に入った。


事務室の中は真っ白な空間に、プライベート用のプレート以外何も置かれていないデスク、椅子が規則正しく奥まで


並んでいた。止まった時計、デスクに置かれている10年前の記事が載った新聞。


ホワイトボードに貼られている10年前の事務員の報告用の紙。


10年前で時が止まっており、その時までここで人が働いていたのだと強く実感出来る場所だった。




「ここなら何とか戦えそう。さっきの作戦でいけるかも。」


クラシアが勝機を醸し出たが、


「調子に乗るな新米。勝てるとは限らねぇぞ。」


上の隊員にいびられ、


子犬みたいにしゅんとなるクラシア。事務室の中は50メートルほどあり、通路に比べたら比較的良い環境だ。


並び立てられたデスクを利用して防御や奇襲に使える。


四人は配置を決め、それぞれのデスクの下にかがむ。左に上の隊員、右にショウ、


奥には援護のクラシアととどめのナナでポジションが決まった。


一同深呼吸し、何時でも迎撃出来るように机の下に隠れる。


ナナは触手を伸ばし、何時でも薙ぎ払えるように待機。


そしてインカムから通信が入る。先輩からだ。


「今そっちに引き寄せる! これから向かう!」


「弾幕やべぇな!」



2人は壁から体を出したり、囮になったりとロボットを翻弄した。狭い通路で何とか水発射装置を活かした戦法を取る。


インカム越しからはガトリングガンの音と、水発射装置を使っている音、まるで飛行機が通るような音が混じっていた。


あらかじめ開けっ放しにした扉から装置を使い、カーブを描くように入る先輩達。


そのまま流れるように机のしたに入っていった。キャタピラを回し追いかけるロボットは先輩達を見失う。


顔から赤いレーザーポイントで周囲を照らし、索敵状態に移行する。


環境、状況を把握する。事務室のドアが空いているのに気がつき近づく。


扉が狭いのを認識したのか一度止まり、キャタピラを旋回させ、扉の前に構えた。


すると肩のジョイントが別れ、何かが現れる。



「なんだ?」


横下から覗いていた一同は、ロボットの動きを警戒。


ロボットの肩からは小型ミサイルが現れた。


ミサイル一つを肩に担ぐように装備し、目の前の扉に向けゼロ距離で発射。炭酸が吹き出るような発射音の後、


入口は木端微塵に爆発した。炎がこびりついた破片が事務室内に吹っ飛び周辺は炎上。一瞬で周りが焼けた戦場に成り代わる。


ロボットの後ろ部分の二つのガトリングガンが前に旋回され、四丁の機関銃と化した。その姿はまるで自立する戦車。


並ぶ机をもろともせず奥に向かって前進していく。


「あいつミサイルもあるのかよ・・」


「どうする?作戦を替えるか?」


先輩達がインカム越しで会話する。





「いや・・このままやろう。あいつはもうこのテリトリーに入ってる。俺が合図を出す。


左右2人はあいつが差し掛かったら、あの厄介な腕を誘うんだ。」


「了解です。」


ショウ達は真ん中までくるのを待った。固唾を飲み込み、周辺の炎の熱射で汗を流し、その時がくるのを待つ。


そして、ロボットが伏せているショウ達に差し掛かった。


「今だ。」


傍から見ていた先輩が合図。ショウ達は左右から瞬発に机から体を出す。


ロボットが反応した。


トリガーを引き、耐空し冷気を噴射させ、機関銃を左右に引き寄せるように旋回。


ロボットはそれを追っていき、ガトリングガンを左右に連射した。


ガトリングガンは二人には当たらず、左右に可動し、中央に隙が出来た。


「今だナナちゃんッ!!」


先輩の合図と同時にナナは走り出し、左腕の触手を伸ばしきる。


ロボットはミサイルを出そうと肩のジョイントを外す。


「はあああぁぁあああ!!」


ナナの渾身の叫びと共に、


三つの触手ごと体を反時計回りに捻り、回転を利用し、薙ぎ払う。。


同時にロボットのミサイルが担がれるが、一枚上手でナナの攻撃が先手で命中。


尖った触手の薙ぎ払いは、左腕の切断をはじめにボディの装甲が割れへこみ、パーツを散らばせ左へと吹っ飛ぶ。


土壇場にロボットの肩のミサイルがナナに目掛け、発射される。


ナナは触手を戻そうとするが、間に合わない。


「ナナ!!」


すると近くにいたクラシアが床スレっスレで飛行。ナナの体を掴みかばい、


ミサイルを避け、そのまま左にへと吹っ飛んだ。逸れたミサイルは奥に当たり、爆発する。


ゴロゴロと転がり、壁に当たるナナとクラシア。転がると2人は目が合った。


「ありがとう・・」


ナナはそう言いクラシアは頬を緩める。2人は立ち上がる。薙ぎ払ったロボットは衝撃で壁事粉砕し、左隣の部屋で倒れていた。


両腕のガトリングガンはもげボディはへこみ、バチバチと火花を散らし、ショートしていた。パトカーのサイレンのような顔に


あるモノアイは、意識がおぼろげになっているように点滅している。


キャタピラもレールが取れており、タイヤだけが空回りしている状態だ。


一同は氷結弾を構え、忍び足で警戒しながらロボットに迫る。



「さぁ、どうだ?」


隊員達が近づいたその時、突如ロボットのモノアイが動き隊員達に赤い赤外線を向けた。


「何!?」


「死んでないだとっ!?」


ロボットは完全に仕留めきれていなかったのだ。


ガトリングガンを失くしたロボットは横に倒れたまま、残された武器を出す。


肩のジョイントから残されたミサイルを4つ出し、肩に担ぐ。


「まずいッ避けろ!!」


ミサイルは発射されたが散開して、ミサイルの攻撃を交わした。壁際に辺り事務室と他の部屋との狭間がなくなる。


床に這いつくばったロボットに異変が起こる。体から場違いなほどの光を発した。


「まさか、自爆か!?」


ショウが驚愕する。ロボットの体から場違いなほどの光が現れ、


「ッくそ!」


「ダメだ間に合わない!」


隊員達とナナが引き下がろうとするが、巻き込まれる。間に合わない。


一同に死の流れがよぎったその時、後ろから声がした。


「フラッサ、あんたは左のミサイルを誘導しろっ!!」


「はいッ!!」


ナナ達がロボットに後退するのを反対に二人の隊員が自爆寸前のロボットに突っ込む。


ナナが触手ですれ違った時、誰だかすぐに気付いた。


「マラシイさん!?、フラッサさん!?」




駆けつけてきたのはマラシイとフラッサだった。一同は生きていた驚きと同時に喜ばしさを感じ、目を見開く。


「ヤバい!、加速しすぎた!」


ショウと先輩の隊員が勢い余って通路の壁にぶつかりかけると、


横から2人の人影が現れ、2人がショウと先輩の後ろを抱き、噴射で減速し、壁に当たるのを防いだ。


「ロバート!エリック!」


かばったのは下水道からここまで駆け付けたロバートとエリックだった。


先輩が喜びで叫ぶ。


エリックとロバートがかばった2人をゆっくり降ろした。


「よくやったな・・」


「二人とも生きてたんですね。良かったっす!!」


四人は何とかナナ達と合流することに成功。



フラッサは真っ先にロボットに向かい飛行。フラッサが壁際にいった時、ロボットのミサイルが発射される。


フラッサはミサイルにあたる直前、装置の噴射を一瞬停止し僅かに落下。お得意の小回りで紙一重に交わした。


頭上で爆発したが、フラッサは吸い込まれるように机の中に潜り、爆風を回避。


フラッサの反対側にマラシイが机を陰に現れ、最後のミサイルが発射された。


マラシイは空中で穴だらけの壁を蹴り、忍者のように壁を伝う。ミサイルはマラシイの後ろに命中し、爆発。


そのまま爆風を活かし、ロボットに向かい吹っ飛ぶ。空中でくるりと回転するのと同時に氷結弾から刃を出し、


横倒れているロボットに突き刺せるよう構えた。


ロボットの爆発の閃光はまし、強い光を放つ。しかしよく見ると、その光の中に小さく光が濃縮している部分があった。


「さっきはどうも!」



そこが自爆機能をもった装置だと、マラシイは前回の爆発の時に学習済みだ。


そのまま銃剣をやりのように構え、装置を加速。光が収縮している部分を氷の刃でぶちぬいた。


ロボットの体を貫通し、自爆の光が消えていく。氷の刃がオートで切り離され、マラシイは即座に後退。


貫通した氷の刃でロボットの体が急速に冷える。冷気が体中から漏れ、ロボットの体が漂白に染まっていく。


ぴきぴきと乾いた音をあげ、モノアイが照明を消した時のように消えていった。


ロボットの体は完全に凍りつき完全停止。


「はぁ・・やった。」


床に着地したマラシイ。


負傷した腕を抑え、震え声ながら自爆を突破出来たことに喜びを感じた。ハンターズはロボットの攻略に成功する。



ーーー第23話に続くーーー


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