第21話 ;; 突破
場所 下水道 第三者視点
ナナ達がロボットと交戦中、下水道では巨大なワニ型とブレスら五人が戦っていた。
五人全員負傷しており、全く万全ではない絶望的な状況。
それでも開拓の為、国民の存続の為に7メートルの巨大なモンスターに五人は立ち向かう。
巨大な体を生かし、どかどかと四足を動かし、獰猛に飛びかかるワニ型。下水道の滴る水が豪快に跳ね上がる。
「突っ込むぞ!!散れ!」
ブレスの指示と共に五人は空中で分散。ワニ型の突進をよける。
後ろに着地したブレスだが、怪我をした右足が地面に触れ、汗が一気に湧き出るほどの尋常じゃない痛みがブレスを襲う。
「っっくそ!」
痛みと自分の足手まといさに歯を食いしばった。痛みに耐えきれず地面に跪いたブレス。
ワニ型は振り返り、跪いたブレスに巨大なワニの口を開け、突進する。
ワニ型の口の中の赤い人面が露出する。
横に開ききったその口は巨大で、185の巨体なブレスでも一口でかみ砕けそうだ。
「ッく!グレネード!!」
ブレスの指示で上で四人の投げた手榴弾がワニ型の投げられる。
マラシイら四人が空中で投げ、手榴弾は爆発し、爆発音と同時に、一瞬でワニ型の周りは炎に包まれた。
「どうだ?」
「やったか!?」
爆風を見ながら伺うロバートとマラシイ。しかしブレスは見るまでもなく結果を感づく。
「・・いやまだだ。」
と微塵も安心しきっていない表情で呟くブレス。
視線の先、霧が晴れるように爆炎が消え、奴の姿が出る。
ワニ型は横のワニの口を閉じ、中の人面をガードし、弱点を塞いでいた。
ブレスの言う通り奴は死んでいなかった。だがダメージは僅かに受けていて、鱗が随所にえぐれ、赤い肉が露出していた。
「ッくそ!! イロディアン用のグレネードでもダメなのかよ・・」
「行っている場合か、来るぞ。」
ロバートは嘆く。だがそんなものはお構いなしにワニ型は,
地面のアスファルトを頑丈で鋭い爪を備えている前脚で激しくかき、爪でアスファルトが砕かれ、舞っていく。
巨体な体が吸い込まれるように、地面の底へと潜って行く。
「総員全方向警戒ッ!! 装置で耐空ッ! 絶対に地面につくな!!」
五人は装置で耐空しながら、レーダーを見ていた。
赤いポイントは、地面の底で五人の周りを錯乱させるように動いている。
まるで顔に飛び交う虫のように、地面の底を自由自在に徘徊していた。
ゴゴゴゴゴと底から地鳴りが這い、響く。
そこかワニ型は五人に目掛け、地面深くから大口を開けて飛びがかってきた。
五人はそれぞれの方向に散開し銃撃で応戦するが、やはり奴の体は硬く、駐車場の時のように火花だけが散っていくだけだった。
耐空している五人は焦りの表情が滲み出る。
先ほどの手榴弾で受けたダメージは回復し、すっかり元通りの状態に戻っている。
自分達が負傷しているのに対してワニ型は攻撃力の重さは勿論、脅威的な回復力もあり、
それがメンバーの焦りに拍車をかけていた。顔は横のワニの口でふさがれる。弱点らしい弱点が見つからない。
「こっちに来るぞマラシイ!」
ブレスはそう言い、今度は助走と巨体を活かしたボディプレスを、ブレスとマラシイの二人に目掛けて攻撃してくる。
「ッくそ!」
二人は装置で後ろに噴射しつつ、マラシイは飛びがかったワニ型の裏の腹を数発、土壇場に打ち込んだ。
弾切れで応戦出来ないブレスは、後ろに噴射しつつ打ち込んだ光景を眺めていると、
「・・!」
マラシイがワニ型を撃ったのを眺め、はっ・・と何かを見つけた表情をするブレス。
何とか銃撃でワニ型の加速を抑え、回避した二人。地面に着地したブレスは、
「・・わかったぞ。奴の弱点が!」
「え?何ですか?」
ワニ型は二人に突っ込む。
「こっちだでか物ッ!!」
飛んでロバートとエリックが囮になり、右に引き寄せられる。ブレス達はエリック達の所を下がりつつ話しを続ける。
「マラシイが腹の裏を打った奴。ほんの数発だったが、確かにダメージを受けていた。表面は硬くても裏側は柔らかいんだ。」
二人はロバートとエリックと交戦しているワニ型の側面をみる。
ワニ型の表面は硬いごつごつした鱗で覆われているが、下の部分はトカゲの腹のようにブヨブヨと柔らかかった。
そこに打ち込んだ弾丸の後からは血がダラダラと流れている。
明らかに表面で銃撃を食らった時よりも、ダメージを受けているのが目に見えた。
「奴の弱点は口とそして、腹の裏側だ。」
「本当ですかその話?」
二人の話を聴いていたフラッサが驚きつつ、2人の下に降り話しにのっかる。
「ああ、だが弱点がわかってても再生能力がある限り、俺達が束でかかってもジリ貧になるだけだ。
上にはロボットがまだいるかもしれんし・・」
「どうするんですか?」
上の階の状況がわからない、ロボットはまだ徘徊しているのか、ワニ型とかイロディアンは、ナナ達は・・・と
色んな考えがブレスの頭によぎる。
特に彼の頭によぎったはナナだった。工業地帯で数多のイロディアンを触手で薙ぎ払った光景が思い浮かぶ。
ナナがいればイロディアンを倒せる、このワニ型も。この絶望的な状況を打開できるからだ。
だがここまでハンターズの25人の内半数の兵士が犠牲になり、
自分達が生きている事はインカムが壊れていて、ナナ達に伝えようがない。
自分達は死んでいると思っているだろう。普通に考えて彼女達は撤退しているとブレスは推測した。
「・・ナナ達はもう撤退してるだろう、普通に考えて。ならお前たちだけでロボットを倒しに行け。」
「え?」
「自爆機能も中にあることがわかったしいけるだろう。俺を置いて行け。」
「やだそんな・・嫌ですよ。あなたはいつもそうやって・・」
マラシイの瞳が潤し、今にも泣きそうな表情を浮かべた。
「もう時間がないんだ。マガジンとグレネードを俺に分けてくれ、こいつは俺一人で食い止める。」
と二人のマガジンと手榴弾をもらおうと手を伸ばす。
「お前たちのやる事は俺を守ることじゃない、この発電所を復活させ守ることだ。国民を寝たきりにさせない。
人類の明日を造るんだろ?」
「隊長・・」
言いよどんだ二人は後ろに装備しているツインドラムマガジンに手をかけたままだった。
そんな二人を見たブレスは、
「・・ッはやくよこせぇ!!」
しびれを切らし、唾を飛ぶほど強めに訴えた。
二人はお互い見つめあい、後ろのマガジンを触れたり放したり、
ためらいながらも観念し、ブレスに渡した。
前方ではワニ型がロバートを見ている隙に、エリックがワニ型の体に氷結弾の刃で振り下ろす。
だが岩石の鱗には歯がたたない。氷の刃は無惨に粉々に砕かれ、全くダメージを受けない。
ロバートが最後の手榴弾を正面に投げ炎でワニ型を錯乱。その隙にエリックとロバートはブレス達の所に飛び寄る。
「隊長、作戦は!?」
ロバートは装置から白い冷気をだしつつスライドして着地する。
「ああ・・弱点を見つけた。だから俺一人でこいつを引き連れる。お前たちはあっちの階段で上にいって自爆ロボットを倒せ。
いいな?」
ブレスは奥の通路にある橋に指をさす。
「隊長・・」
ロバートはブレスの脚を不安な眼で眺める。ブレスのカーゴパンツの脚には破片で穴が空いていた。
そこから見える包帯からは、血がじわりと滲んでいる。
「・・心配すんなこれぐらい。イロディアンは不死身に等しいが、この氷結弾なら僅かな確率で倒せる。
その確率を引くまで戦うさ。」
そう言い、先ほど2人にもらった氷結弾のツインドラムマガジンを氷結弾に装填。
エリックとロバートはお互い見つめ、
「・・わかりました。」
と2人は頷く。作戦が決まった五人は氷の銃剣を出し、前方のワニ型をみる。
前方に待ち構えるワニ型。手榴弾の炎を身にまとい、頑丈な四足を踏ん張り、大きな口を横に開き、中の顔が露出する。
ごおおおおおおおと怪獣のように叫ぶその姿はまさに悪魔だった。人を慈悲も感じず全て、食らいつくすまで進み続ける悪魔。
「俺が撃って引き連れる。その間に前に散開しろ。」
「・・了解!」
ワニ型が突っ込む。
「・・頼んだぞお前ら。」
五人は頷き、ブレスは向かってくるワニ型に近づき連射。ワニ型は即座に横の口を塞ぎ防御。
「総員散開!!」
一瞬止まったワニ型に隙が出来た。四人は装置を起動しワニ型を沿うように空中に散開。
ワニ型の上を四人は白い冷気を噴射させ、カーブするように後ろに着地。四人はまた噴射し進む。
ワニ型は真っ直ぐブレスに突っ込み、食らおうとワニの口を開く。アスファルトを砕きながら獰猛に進む。
ブレスは四人が行くまで射撃し、装置で後ろに下がりつつ一定の距離を保つ。
着地する時、怪我した脚を浮かせ片足で着地し、また上に後ろへと飛ぶ。
「よしいったな。」
四人が奥の橋の向こうに入ったのが見えた。ブレスは後ろに行くのを辞め、氷結弾の氷の刃で精製。
銃剣を構え今度はブレスがワニ型に向け前進。
水発射装置を巧みに使い、突進するワニ型の下へと潜り込み、前脚を氷の刃で切り裂く。
ブレスの予想通り裏側は弱く前脚は断裂し、ダメージを与える事に成功。
だが、ワニ型も容赦なく、腹を潜り抜けたブレスに硬い尻尾を振り回そうと捻じ曲げる。
「っくぅ!!」
ブレスは耐空しつつ即座に装置の軌道を横にし、体が装置で振られ横に向けられる。
当たる寸前、紙一重で尻尾をかわす。
地面に片足でステップを踏み、スピードを殺しながら着地する。
ワニ型の前脚は断裂し、血をたらし、プラプラと垂れ下がっている。
「お前が暴れたら発電所が持たん。」
下水道の周りは炎とがれきと穴だらけだ。怪力なワニ型をそのままにしたら発電所が崩れてしまう、今までの努力が全て無駄になる。
「だからお前は倒すぜワニ野郎・・」
滲み出るような声を発し、ブレスはワニ型に向け氷の銃剣を構えた。
ーーーー第22話に続くーーーー




