表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/39

第14話 発電所開拓編 擬態型

あらすじ イロードのパンデミックから10年。地下都市、コンコルドに住んだ人類は、電力不足でゲートが開けず、


日光不足による影響で病者が年々増加していった。地上の発電所を開拓し、ゲートを開くために作られた部隊ハンターズは、地上で


記憶喪失の少女、ナナと対面。ナナは唯一イロディアンに対抗できるため、戦う理由を見出し、ハンターズと共に発電所の開拓に同行。


様々な困難を乗り越え、何とか発電所に入ることに成功した。




イロディアンの種類(現時点)


イロディアン=ウイルス、イロードに感染し、発症したものが変化した姿。


不死身に等しく、頑丈。9割損傷しないとすぐに蘇ってしまう。現在は対策として


4年の試行錯誤の末完成した特殊武器、氷結弾によってイロディアンの行動を静止することができ、


僅かな確率ながら凍結して殺すことも出来るようになった。現在イロードはワクチンで鎮静化したことになっている。


イロディアンは現在3種類が存在する。



猛進型=文字通り攻撃に特化した種類。大きさは二メートル。トカゲと人間のハーフのような見た目であり、全身緑色の鱗が特徴。


全身の筋肉が発達しており、ゴリラのようにムキムキ。赤く禍々しい眼光。前傾姿勢で指と同化した鋭い爪、


歯を備えており、超人めいた飛躍で人間に飛びかかる他、爪で引き裂いたり、鋭利な歯でかみつくなどする。




擬態型=猛進型が暗く、湿った場所を好んで長期間静止した結果、変化した形態。襲撃型より細見ですらりとした見た目。


一回り小さく1、8メートルほど、その代わり爪は襲撃型より長く、かぎ爪の形になっており、黄土色の鱗を持っている。


猛進型と比べ、動作は遅く、戦闘力は低い(それでも人間一人は容易いほど)。


周囲に溶け込んで擬態し、鋭い爪と歯を使い、襲い掛かるのが特徴。


変温動物を生かし、周囲の温度に調整することができるため、温度で感知するレーダーでは把握しきれない。


中には低い戦闘力をカバーするために大声で叫び、仲間を集める者もいる。



ワニ(カイマン)=今回の発電所の開拓で初めて遭遇したイロディアン。大きさは3メートル。体色は灰色で


四つん這いにした人間の体に、ワニのような尻尾と鱗、そして大きなワニの口が備えられた姿。


背中の前脚部分にはは6本の細長いとげがついている。刺されたらひとたまりもない。


口は横に開き、口の中には人間の骸骨みたいなのがついており、顔の周りに肉がこびりついている。


地中や水面に潜り奇襲するほか、突進し大きな口でかみついたり、大きな口でボディプレスを主に攻撃する。


体面は頑丈であり、銃弾や手榴弾をはじき返す。しかし口の中の骸骨は脆く、弱点となっている。




変異ウイルス イロード 第14話 発電所開拓編 擬態型



発電所に入ることに成功した私たち。


しかし隊長と何人か外ではぐれ、ここまで来るのに犠牲者も出てしまった。


ワニ型という新しい個体も出て、色んなことがあって頭がこんがらがりそうだ。


それでも私とハンターズは今一歩ずつ、発電所の地下の中心部、いわば動力室へと向かっている。


ハンターズは低くかがんだ状態で、端から慎重に進む。私も一番の後方でそれに続く。


今いる隊員は9人、腕を負傷している隊員と5人は待機、さっきの駐車場に待機している。


少数精鋭でこの先は行動すると。発電所の中心部の地下にある動力室に向かい、再起動させて、コンコルドのゲートを開く。


コンコルド・・・自分の帰る場所、憩いの場・・・正直早く帰りたい気持ちはあった。殺伐としたこの空間は気が抜けなくて疲れる。


今、コンコルドはどうしているだろう?、さっきマラシイさんがモニター室に連絡してたけど


カリナ、マリアさん・・はぁ・・・やっぱりどこか不安だった。

やめようこんなこと考えるの・・気がふれてしまう。決めたんだ。自分が

弱い人を助けるって・・・


私は前を向く。カンカンと、隊員達のぶ厚いブーツの足音が静寂な通路に反響する。


各隊員はレーダーを確認し、明かり一つない通路を武器のライトで照らし、進む。


「イロディアンがいない。潜伏しているはずなのに。」


「いや、ここには擬態型が潜伏している。

完全に景色に溶け込んで・・・何年か前にも中に入ることは出来たんだ。

だがそいつに襲撃されて引き上げざるをえなかった。もうちょっとってとこだったんだけどな。」


「擬態型は暗いとこと、狭い場所は忍んでかかるとデータにはありましたね。


しかも縄張りに入るまで景色の体温そっくり擬態する。温度で計測するレーダーでキャッチしきれない。」


「そんな・・不死身でさえ厄介なのに。」


「ああ、報告書通りの情報だ。後ろから襲われる。かなり厄介だぞ。」


擬態型・・・、私が森で戦った時の。確かに、視認出来なかった。後ろから音一つなく襲撃された。


あれで右腕の皮膚がえぐられて、痛かった。どうしようもない気持ちでいっぱいだ。心の底から深いため息が漏れる。


隣にいるクラシアも目を開き、小刻みに歯を震わせ、ふうふうと息を荒げている。恐怖で震えている。彼女の肩ほど伸びた髪は、


汗で風呂に入ったかのように濡れている。ああ・・そうだ、怖いのは私だけじゃない。

全員怖いんだ。この気持ちは普通なんだ。


「大丈夫だ・・」


「え?」


声に出てた。クラシアは私の独り言に振り向く。


「ナナ、何か言った?」


「あ、いや別に・・何でもないよ。」


「そう。無理しないでね。ナナが一番必要なんだから。」


震えていた彼女に逆に心配され、励まされる。なんか恥ずかしかった。弱いところ見られて・・。


「ありがと・・。」


照れくさかった。はにかむ私をクラシアは震えを抑え、うるんだ唇で私に微笑んだ。


「大丈夫。怖いのはナナだけじゃないよ。それにあなたにはイロディアンを倒す力があるし・・羨ましいな。」


羨ましい?


「あなたのような力が私にもあれば、今頃ガルスさんも生きていたと思うし

、私の街も・・私自身も壊れずに済んだのに・・・」


クラシアの声はどんどん小さくなってよく聞こえなかった。


もう一度聞きだたそうとしたその時、


前方のマラシイさん達が止まる。私達も連鎖的に止まり、

手前の通路は左か前に別れている。


マラシイさんは奥の通路に回り込めと指でサイン。


隊員は半分に別れ、通路に迂回し全員しゃがむ。それにより私の前がマラシイさん達になる。


私のいる方向にマラシイさん、ロバートさん、クラシア、フラッサさんの5人。マラシイさんがロバートさんに言う。


「ロバート。ここの通路を左だな。」


「ああ、ここを真っ直ぐで合っている。地下に向かってモニター室を通り、その奥に動力室がある。

そこで落ちた電気を復活させる。ただ問題は・・」


「擬態型のイロディアンだな。私もここまで来たのは初めてだ。奴らはレーダーには反応しない。厄介だ、全く・・・」


「ただ戦闘力は低い、遅いし、外の猛進型と比べての話だが。これも陰謀だな・・」


「はぁ・・・ナナは後ろにいた方がいいな。私達が束で守って前進する。」


マラシイさんは私の方を振り向きそう言った。しかし、ロバートさんが


「いや、それはよした方がいい。通路を見てみろ。」


ロバートさんは通路の下に銃のライトを照らす。暗くて見えなかったが一面に血痕が散っていた。


私はマラシイさんに引っ張られ、伏せつつその血痕の跡をたどる。


照らしたその先の床には、黒く変色した跡が・・ライトが下から奥へと照らされる。血痕が通路一面を覆うように広がっている。


ボロボロの肉塊がこびりつき、無惨に破れた部隊のジャケットがある。


・・それに通路だけじゃない。

壁にも一面を覆うほどの血の滴りの跡が頭上のパイプ管を染め、上まで続いていた。


もうこれでどんな感じに食われるか容易に想像できる。不意に上に引き上げられ捕食されるのが。

血痕の他にも壁、床に無数の銃弾の跡が付いていた。



「あれは数年前。お前が今考えた方法で束となって突っ込んだ結果だ。イロディアンに囲まれて、


食われ、10人中4人しか生き残れなかった・・・みんなパニックになって、銃弾が味方にあたってもう・・、

今度結婚を開く予定のカップルの隊員もやられたっけな。指輪をしていた覚えがある。」


「そうなんですか。」


「なんて酷い・・・」


後ろにフラッサさんはその会話を聞き悲しむ。


ロバートさんはその残酷さにほくそ笑み、ため息が漏れる。


「狭いのがネックだね。どうするか・・・」


マラシイさんが呟いたその時、前方の通路の上から石が落ちてきた。


「なんだ・・・」


通路にこつんと床に当たった音が反響。全員一斉に振り向き、氷結弾を構える。


「いるなマラシイ。」


「ああ、私がいく。みんな伏せて辺りを警戒。ナナは触手に変形させて、いつでもぶっさせるように構えろ。」


「はい。」


私の腕を触手に変形し、マラシイさんの方向に構える。


マラシイさんは赤外線のメガネをつけ進む。外の奴とは違い、擬態型はレーダーには反応しない。それに狭い。


外では華凛に空中を舞い、的確にイロディアンに打ち込んでいたマラシイさん。ここでは狭くて彼女の得意な立体戦は出来ない。


果たしてどうするのか。


マラシイさんは慎重に音のなった方向に進む。辺りは照明がなく銃のライトのみ。明かるい場所が不規則で不安定だ。


石が落ちてきたとこに着くと、彼女は上に向け構える。


ゆっくり伏せ石を広い上へと投げる。鉄の音が反響し、石はそのまま床に落ちた。辺りに漂う緊張感、全員固唾を飲みこむ。


マラシイさんがゆっくりと下がったその時、右か・・右上から四つん這いのイロディアンの姿が現れる。

擬態を解除し徐々に黄土色に変色し、姿を現した。


「右かッ!!」


マラシイさんに爪を立て、飛びがかった。マラシイさんは難なくかわし、バックステップしつつ、4発ほど最低限の弾を放ち、


擬態型の顔面に食らわせる。


マラシイさんが振り向き、私に倒せと首をふる。


マラシイさんが右にそれた瞬間、触手を伸ばし、奴の顔面を吹っ飛ばす。バタリと倒れ、蒸発し消えた。


「よし・・」


しかし、まだ終わっていなかった。マラシイさんが戻ろうと通路のドアに差し掛かったその時、擬態型がドアから突き破ってきた。


「ッくそッ!!しまった!!」


ガラスが散らばり、マラシイさんがドアの下敷きに・・、助けないと、でもこのまま放ったらマラシイさんごと巻き込む。


擬態型はドアの下敷きで動けない彼女に爪を立てる。彼女は倒れたドアで防いでいるが、どうする・・。


「少佐ッ!!」


すると後ろにいたフラッサさんが立ち上がる。ナイフを取り出し、フラッサさんのヘイ!!、と掛け声に擬態型は反応する。


同時にナイフをなげ、奴のトカゲの額にヒット。凄い、なんて正確な。擬態型は後ろに下がりよろけた。


「今だ・・」


私は腕に力を込め再び発射、


「二体目・・・」


触手は容赦なく奴の顔面を貫通し、アッパーをくらったように吹っ飛んだ。


撃破し、下敷きになったマラシイさんは隊員たちに引き上げられた。


「悪いなみんな。助かった。」


「どうも・・。しかしどうしましょう。閉所は予想以上に厄介です。」


フラッサさんが指示を仰ぐと、ロバートさんがアゴに手を当てたのち、作戦を立てた。


「よし、わかった。フラッサを前に進ませよう。」


「俺ですか?」


「そうだ。フラッサの速さで、擬態型を炙り出し俺達が援護、そしてナナが仕留め前進。そのまま動力室まで行こう。


いいかフラッサ。ナナ。」


「いいと思います。名案ですね。」


「私も大丈夫です。やれます。」


「よし、じゃその作戦で行こう。フラッサ。奥まで進んでくれ。」


「了解です。」


フラッサさんは七三分けの黒髪をなでて、


奥の通路に進む。通路の幅は人三人分ほど、広いとは言えない。不意につかれたら


マラシイさんの時のようになる。


「ライトを全方向に当てろ。奴は食い掛るまで姿を現わさない。」


私たちは通路を進み、散らばりつつ、武器のライトを当てる。私も手持ちの懐中電灯で辺りを照らす。


私はフラッサさんの後方援護出来るようにいる。各隊員は私の後ろを援護する。


ライトを照らすと、天井のパイプ管が目に入る。パイプ管には擬態型が食った跡であろう、肉塊がこびりつき、黒く腐食している。


壁はひび割れ、劣化でがれきのかけらが溜まっている。パイプから水がたれ、水たまりになっている。


フラッサさんが奥の階段に差し掛かり、警戒しつつ下に飛び降りた。


下は上のより広い通路に出たが、暗すぎる。隊員達は後ろで前の方向を照らし、フラッサさんは進む。


「いるな・・」


そう言うと、フラッサさんは装置を噴射し、一気に通路の向こうまで装置の力をかけ、俊敏に走った。


「おい、フラッサ!!無茶するな。」


マラシイさんがインカムで言うと、フラッサさんが辿った後に壁に這っていた擬態型が姿を現す。


一体だけじゃない、3・・7・・9体と姿を現す。


フラッサさんがある程度通路に駆け抜けると、私たちの方向に戻ろうと、装置の引き金を引く。


そんな、まさか・・この数の擬態型をくぐり抜けるの?


「皆、撃ってください!!自分は壁を伝って避けます。」


インカムで伝える。そんな、無茶を・・擬態型を潜り抜けるだけでもきついのに・・・


全ての擬態型はフラッサさんに向き、壁、床にへばり蛇のような威嚇音をあげている。


「撃つぞ、流れ弾にきをつけろよ盗賊。」


マラシイさんは躊躇なく銃を構える。隊員達は戸惑い一瞬間があくもそれに続く。私は後ろで待機。フラッサさんは腰を低くし、


「撃てぇ!!」


フラッサさんが壁を走った瞬間、容赦なく銃弾が放たれる、一瞬で爆炎と閃光が周囲を包む。


彼は壁に重力が働いているかのように、カーブに滑らかに走り、壁の上部を装置を噴射させ、バッタのように蹴り上げる。


少しでも落ちたら流れ弾に当たる危険な所を、フラッサさんは攻略し戻ってきた。


私はその凄さにあっけにとられる。


「大丈夫ですか?」


「ああ・・」


「凄いですね。」


「言っている場合じゃない。早く殺すんだ。再生する。」


「は、はい。」


爆炎が晴れ、擬態型は文字通り蜂の巣と化し、四俣はもがれ床にへばりつき、もがいている。


前方の奴のもげた腕は徐々に元の腕に戻っていく。私の出番だ。


「はぁあッッ!!」


触手を短縮し一点集中。三本の巨大なかぎ爪を顔に切り上げ、血を舞わせた。



-----第15話に続くーーーー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ