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第十話 発電所開拓編 発電所

今回のメインとなる登場人物


ナナ(18歳)=本作の主人公、記憶喪失で自分が何なのかわからない。


やけど跡のような皮膚を触手に変形させ不死身に等しいイロディアンを殺す能力を持つ。



ハンターズ=イロディアン殲滅部隊


ブレス・ワンスモア(35歳)=ハンターズの隊長、仲間思いで常に冷静に行動し、数々の戦いをくぐり抜けた。


マリア・フリッシュ(32歳)=ハンターズに所属する博士。イロディアンのデータやハンターズの兵器の作成に貢献している。


ボブ・ジャックス(65歳)=南区の代表で、ハンターズを自分の持分で結成させた元国の大統領。


クラシア・バハムート(20歳)=ハンターズの新入りの女性隊員。ウルフカットで丸みを帯びた短髪が特徴。


リストカットするなど自傷行為をするが正義感は強く、過去にイロードで街を壊された後、


自分の弱さを克服する理由でハンターズに入隊した。


私服はメンヘラ気味の地雷服。


あらすじ


人を食らう化物、イロディアンにするウイルス、イロードのパンデミックにより国は恐慌が起き、戦争が勃発。


国民は地下都市、コンコルドへと避難し国は地上に核を投下した。それから10年後、国は電力不足でゲートが開かず、


日光不足の影響で病者が増加した。ゲートを開かすため、国はイロディアン殲滅部隊、ハンターズを結成したが


イロードの脅威は予想以上で難儀していた。そんな中、地上で記憶喪失の少女、ナナを救出、


彼女は不死身に等しいイロディアンを殺し、ここまで来たという。


ナナはコンコルドにいる間、自分の戦う理由を見出し、ハンターズと共に戦うことを決意。


ハンターズとして発電所の開拓に同行し、地下鉄に乗った。これは悲しみを断ち切る物語である。


第十話 発電所


Am10:08 国会 会議室


ハンターズが発電所に向かう数日前、事前に南区の代表と打ち合わせを行っていた。


「では、今回の発電所の開拓に向けて会議を行う。」


南区の代表、スーツ姿でぽっちゃり体型のボブ・ジャックスが口を開く。


円を囲んだテーブルにスーツをきた数人の議員、財閥、博士などが座っていた。


その中には、ハンターズの隊長、ブレスと博士であるマリアが代表として参加している。


議員はすました表情をし、


「ジャックス大臣、もう諦めましょうよ。発電所の開拓は、これ以上、イロディアンと戦って何になるのです?」


と、やれやれと振り、諦めの雰囲気を醸し出していた。


「いや、今回の開拓は、いつもと違うらしい。そうだな、フリッシュ博士。」


「ええ、おっしゃる通りです。ジャックス大臣。」


マリアが、慣れた手つきでまとめていた資料を読む。


「まず、これまでのことを振り返りましょう。私達、国民がコンコルドに住み始めてから10年、


電力を把握しきれず、ゲートが開けない、この10年で日光不足で国民の病者が増えているのは皆さんご存知ですよね。」


すると国の議員は食い気味に、


「へッ、まるで漫画の導入みたいだな、博士。これ以上犠牲を払って何になるッ!!」


「そうだ、開拓の犠牲の為に財閥の金や国税を使うなッ!!」


「ああ、犠牲を招くぐらいなら、病者の増加に目を向けて、今すぐ医療の発展にシフトするべきだ!!」


と、怒号を浴びせ、博士とブレスに指を差し、机を叩き、大声でヤジを飛ばす議員。


そのやじを無視し、マリアは収まった所を見計らい、姿勢を正し、話しを続けた。


「・・はい、そうです。あなた達の言う通り、今まで通りでは過ちを繰り返すだけです。私達は変わらなくてはなりません。」


マリアの冷淡な語りに溜息をつき、黙る議員。


「それで、今回はどうするのだ、博士。急に呼び出して。管理人の私も聞いてはいないからな。」


ジャックスが期待と不安を抱き、マリアは黙って頷いた。


「2か月前、ハンターズが地上で少女を確保したことをご存知ですか。」


「ああ、もちろん知っているさ。公には晒していないが政府の間ではびっくりニュースだったからな。その子がどうしたんだ、?」


「その少女、ナナは地上でどこかの家の地下でカプセルに入って寝ていたそうです。


そして彼女は目覚め、コンコルドに繋がるルートまで足を運んでいました。監視カメラにも映っています。」


そう言うと、何人か議員がおかしいと言わんばかりに眉をひそめる。


「博士。彼女、ナナは何でそのコンコルドのルートを知っているんだ!? 記憶がないんだろ?」


「それは、そのルートが書いてあるメモを読んで、ここまで来たんだと。


それがこちらです。」


とマリアはみなにナナが持っていた地図と、写真が入ったビニールを見せる。


中身の地図は泥を染み込み、字が薄れ、紙屑当然になっていた。


「長らくナナのポケットに入っていたので、もうヨレヨレですけれども。


ここにはコンコルドのトンネルのパスワードが記載されていました。ナナはこれに従ってここまで来たのだと。」


「・・ちょっと待て、なんでその書き主はパスワードを知っているんだ。


トンネルのパスワードはハンターズやコンコルドの一部の関係者しか知らないはずだが。」


議員が疑い、口を開く。


「これはナナの記憶でしかありませんが、


カプセルに目覚める前の記憶で、お母さんと思わしき人物がこれを書いたんだと言っていました。実際にそのようなことも


書いてありますし。」


「・・・意味がわからないな・・」


議員は呆れる感じに首を振るった。


「はい、それは私達も同じです。ナナの言うお母さんが何者であるか。現時点では掘り下げることはできません。」


「・・・ですが、それよりも彼女は我々にいい情報を持ってきてくれました。」


「なんだねそれは。」


「希望です。」


「はぁ!?」


議員は予想外の単語に口を開いたまま、あぜんとした。


「皆さんはまだ察しがつかないのですか。


外はイロディアンだらけです。ナナはイロディアンを蹴散らしてここまで来たのです。」


「イロディアンって・・・、不死身だよな!?、それを?」


「そうです。彼女は腕を変形させて、イロディアンを倒したと言っていました。」


マリアはタブレットで録画した動画を議員達に見せた、動画には前日に行ったナナの訓練の映像が映っている。


ジャックス含め、議員はかっぽじるように映像を見た。信じられない、そんな表情をし、映像を凝視する。


「なんだッ!?、これは!?」


そこには、鬱蒼とした森の中、一人の少女が左腕を長い触手に変形させ、


飛躍するロボットと戦っていた。少女は木に絡ませ、まるでアクション映画のようにアクロバティックに動き、ロボットの攻撃をかわ

して、ロボットの背中に触手を放った。


「な、、なんだねこれはッ!、ほ、本当にこれは実際の映像かね!?」


「はい、これは紛れもない実際の映像です。彼女はこの力でイロディアンの動きをコピーしたロボットと戦っております。


さらにロボット三機の撃破にも成功しています。一か月たらずで・・・、


ハンターズの養成訓練では一機の撃破に2ヶ月以上はかかっていました。彼女の力は脅威です。」


「まるで信じられない、装備なしでこんな俊敏に・・・、映画のようだ・・」


議員は衝撃を隠せず、驚きに浸っていた。南区の代表、ジャックスでさえも、目の前の映像に驚きを隠せない様子。


「フリッシュ博士、彼女、ナナをどうするつもりだ?」


ジャックスがマリアに素朴な疑問をぶつける。


「無論、彼女を連れていき、発電所にたむろするイロディアンを蹴散らし、発電所を復活させます。」


「それは出来ない !」


ジャックスが眉を尖らせ、きっぱりと告げた。


「彼女はハンターズの訓練を受けているのか?」


マリアは首を横に振り、


「一ヶ月くらい映像のロボットと戦闘訓練を受けただけです。」


「なら出来ない。経験不足すぎる。彼女の身元の安全が最優先だ。何処から来て、自分が何なのかわからず戦場に向かうんだろう。


彼女には相当な重圧がかかっているはずだ。」


「・・・・・」


「彼女はこの南区で保護するべきだ。少なくとも自分が何なのか、


なぜ彼女がイロディアンの不死身を乗り越えられるのかわかるまでは・・・。」


「・・お言葉ですが大臣。」


マリアはタブレットを置き、立ち上がり、ジャックスに言う。


「先ほどもおっしゃった通り、私達は変わらなければなりません。この10年間で日光不足によって病者は増え、このままでは


国民の大半が寝たきり状態の国になります。


大戦で国民はここに避難してせっかく生き延びたのに、そんなつまらないことで衰退するわけにはいきません。


ゲートを開かす鍵がある以上、それを使って、現状を変えることが最優先だと私は思います。」


とジャックスにきっぱりと告げた。


「それはそうだが・・・」


「彼女は水発射装置なしで身体一つで装置と同等か、それ以上に動けているのです。


現時点でもイロディアンに対抗できるはずです。・・そして、何よりも彼女は強いです。」


「強い・・だと?」


「はい、能力とは関係なしに、です。


彼女は記憶もなく、なぜこの能力を手に入れたかもわからない。彼女自身が一番辛い思いをしているはずです・・」


「そうだ、だからここで保護しッ」


「ですがッ、弱い人を目の当たりにして、人々を救いたい、この能力でナナとして助けたい、そう私に言いました。


理不尽な人生の中、辛い中で・・・、戦って人々を助けたいと・・・。


彼女の強い想いに応えるべきです。その想いが存分に発揮できる舞台があるのですから。」


ナナの予想外の強さに、目を見開くジャックス。


「・・・そんなことを言っていたのか。そっか・・・」


ジャックスはマリアをじっと見つめ、深く息を漏らし、観念したように目を閉じる。


「ジャックス大臣、?」


議員が問う。ジャックスは白髭をまさり、口を開く。


「・・ふぅ・・わかった、フリッシュ博士。今回の開拓に彼女を入れろ。」


「大臣、いいのですか!?もし彼女が死んだら・・・」


「何もわからずじまいだ・・・。彼女のことも、彼女自身も・・」


議員はジャックスの許可を聞き、ざわついた。


「いいさ、彼女が戦いたいと言ったんだろ。責任者は私だ。私がハンターズを結成させたのだから。


フリッシュ博士の言う通り、まずは目先の課題を終わらせよう。何としててでも発電所を復活させるんだ。」


「はい。ジャックス大臣。ナナはハンターズが援護します。」


マリアは隣にいたブレスとコンタクトを取り、ブレスは黙って頷き、口を開く。


「前方は俺たちハンターズが戦い、氷結弾で


瀕死のダメージを与えた後、後方でナナが決定打を打つ。この作戦で行う予定です。」


「うむ。それが一番だろう。彼女の力を使い、今回こそ開拓を成功させよう。ハンターズ!」


「はい、ジャックス大臣。私達で国を復活させましょう。」


マリアははっきりした口調でそう告げ、会議は終了した。


am10:30  地下鉄の中


「わかりました。隊長。」


「ああ、頼んだぞ、ナナ。」


隊長と面と向き合って話している。薄い白の光源がハンターズを照らしていた。


隣にいたハッキング担当、ロバートさんが、


「では、見直しましょう。」


と頷き腕に装着しているブレスレットを起動。他の皆も呼応するようにブレスレットを見る。


左腕のブレスレットを付けると、街の立体映像が浮き上がり、自分の装着しているブレスレットにも


同じ反応が浮き出てきた。


「まず、外に出たら工業地帯に入ります。そこにはイロディアンがわんさかいるので、


撃退しつつ、後方で囲まれないようにダメージを受けた奴らをナナが仕留め、数キロ先の発電所まで前進します。」


ロバートさんがモニターを操作して、連動し、立体映像が動く。


「こんなゴリ押し作戦は従来では考えられないです。ナナのイロディアン不死身貫通能力があってこその作戦ですね。」


「ああ、こんな作戦でいったら、この人数じゃ速攻囲まれて消耗戦でお陀仏だ。」


と隊長はやれやれと済ます。


「大丈夫ですかね。この作戦、?心配です。」


新人隊員、ショウ・カラキッサさんがモヒカンを刈り上げ、心配そうに隊長に訴える。


「それはナナに聞け。俺たちはこいつの能力に賭けるだけだ。」


「えっ?」


私に振られ、少し驚いた。隊長はにやけ、私にぶらりと親指を突き上げる。


ショウさんがこっちを見つめてきた。


・・・・・。何を言おう。顎に手を押し当て考える。私に賭けると言った。それにこたえれる言葉・・・


「必ず、やり遂げます・・」


と、自信なさげに言った。ショウさんはさらに不安そうにして、不貞腐れ


るようにショウさんの眉にしわができ、口がへの字になっていた。


私はその不安な表情を見せられ、しどろもどろになり、動揺し、着ているマントをいじくる。


それを見ていた隊長がショウさんに肩を掴む。


「ま、ナナがああ言ってるんだ。心配することはない。必ずやれるさ。」


と、私をかばってくれた。


「わかりました。隊長・・」


そう言って彼は、口をへにしたまま自分のいたベンチに座る。


作戦の会議が終わった。イロディアンは前面でハンターズが迎え撃ち、私は後方で見渡し、仕留められる奴がいたら倒すと。


地下鉄の中は非常に簡素でベンチもない、薄明りの光源に


冷たい銀色の壁に牢屋のような窓、20人いるが


一個で簡単に入るほど広い。隊員達は全員リラックスしていた。


皆背負っている水発射装置が目に入る。


二つの赤いロケットに蛇のように繋がっている水色のチューブ、あのケーブルから連結しているマシンガン、


通称、「氷結弾」、あれから氷の刃を生成してイロディアンに貫き、凍結させると・・・


一通り今回の動きがわかり、ふと窓を眺める。暗い空間に浸りながら外を見ているとスマホが振動した。


中身を見ると、何だろう、インナーのポケットから取り出す。マリアさんからだ・・・


(調子はどう?、無理しないでね。でも、必ず出来るって信じているから。私はモニター室でしか見れないから


メールで伝える。開拓をお願いね。)


と書いてあった。なんだか安心した。少し緊張がとれたかも。


私は微笑みマリアさんに返信した。(ありがとう、頑張るね(^▽^)/)と・・・


顔を上げると、イヤホンをつけて頭を軽く降ってるショウさん。確か、クラシアと同期の人って聞いた。


黒とオレンジがかったモヒカンでチャラそうな見た目の人だ。


となりには立って装備の調整をしているマラシイさんと目が合った。


マラシイさんは前回、浅い目標を掲げて説教くらったから、少し気まずい・・・。


私は軽く頭を下げたが、


マラシイさんは冷ややかな目でそっぽを向き、武器の標準に目を向けた。少し傷ついた・・


「そろそろ発電所だ、到着するぞ。」


運転してるドレイクさんから通信が入る。


列車は徐々にスピードが落ちていく。それと同時に緊張もして来た。嫌な汗をかき、心臓も張り裂けそうだ。


大丈夫なのか・・・私にできるのかと・・鼻息が上がってゆく。


「大丈夫?、ナナ。」


「えっ?」


隣にいたクラシアが心配そうに見つめる。


「大丈夫・・・。ちょっと緊張してるだけ。」


「私もそうだよ。私も・・こんなに震えてるもの。ほら・・」


私の手にクラシアの手が重なる。小刻みに震えるのを感じた。


ジャケットの裾からクラシアの腕が見える。包帯が巻かれてるのが見えた。


また切ったんだと、そう思った。


「ナナだけじゃない。私も怖い、怖くて前日ちょっと切っちゃったから。怖くて・・・。」


そっか、私だけ初陣だからてっきり・・・。


「だから怖がることは普通なの・・・。こうやって自分から痛みを思い出さないと、いざ食われてもいいように。」


「それが自分を傷つける理由?」


クラシアは腕をしまい、そうだと、静かに頷いた。


慣性が働き、列車は完全にとまった。


向かい側にいた隊長がすぐ立ち上がり、


「よし、作戦通りに行くぞ、発電所の中心部まで移動する。」


隊長がそう言った後、私達は列車を降り、横のライトが重圧な鉄製の大きい扉を照らしていた。


いよいよ戦いが・・・。


「いよいよだな。」


マラシイさんがため息交じりに呟く。


ロバートさんがカードキーを通すと、鉄製の扉はゆっくりと重厚な音を立て、開き、真っ暗な階段が現れる。


すると中から気圧による熱い風がそよいだ。


「暑・・」


風はまるで動物の唸り声のように重く、耳に残った。


階段は自動で明かりがつき、一面を照らす。奥まで、長く続いていた。


一同は一斉に銃を構える、クラシアも・・・手慣れている感じがする。


階段を上がった時、隊長が・・


「この奥が発電所だ・・、気合い入れとけよ。」


と隊に発破をかける。


隊長は円囲みの中の一番前、大きな背中が私の目に入る・・・


隊長はこの背中を任して今まで、生き残って来たんだ。


不死身のイロディアンに・・・。


だったら、私が何としてでも発電所を開拓しないと。今までの犠牲者を無駄にしないように・・・。


そう思い階段を登りきると、大きな鉄製の扉が立ちはだかる。


隊長は


「準備はいいか?みんな。」


と言い、黙って頷く。私も、覚悟は出来ている。


「わかった。ロバート、開けてくれ。」


「わかりました。今回は全員生き残れるといいですね。。」


「ああ・・いや、全員で生き残ろう、ナナがいるんだ、出来るはずだ。」


ロバートさんは番号を打つと、扉がまた両端からゆっくりと開く。


扉の向こうには、眩い光が漏れ、私は顔を遮った。


隊長やロバートさんを見ると、いつの間にかゴーグルをつけ、徐々に開く扉に銃を構えていた。


光に慣れ、扉に目を向けると、陰湿な曇り空が広がっていた。


ああ、この感じ、久しぶり・・・。暗い地下都市とは違い、曇ってるとは言え太陽が浴びれる。


その空の下には亀裂の走った道路、その先に細長く、荒廃した、大きい廃工場が広がっていた。


灰色の工業地帯。ペンキははがれ、周りのパイプはボロボロ。


今にも倒れそうに傾いている、いくつものボロボロの看板、ここもかつては一つの工業地帯でひとつの街だった・・・


後ろのドアが自動で閉まり、もうすぐには帰れない。嗚咽しそうな、緊張がして来た・・


するとブレスレットが点滅音を発信する。ブレスレットから浮かんだ映像を見ると、高速でこっちに迫る赤いポイントが・・


視線の先に、獣のように走るイロディアンが、


「来たな、」


隊長が先に先人を切り、装置を起動しジェット機のように吹っ飛び、そいつを殺そうとした。


「隊長ッ!、横からッ!!」


レーダーには横から高速で迫る反応が、インカムで隊長に伝える。


「わかってるさ!」


と早口でこたえ、


前方のイロディアンを銃で撃ち、数秒怯ませ、横の屋根から爪を立て、


ダイブするイロディアンをノールックで噴射し避け、すぐさま氷結弾を起動、銃口のしたから氷の刃ができ、


正面から食らいかかるイロディアンを紙一重で交わし、刃を腹に突き刺した。


すぐに切り離し、再び刃を起動。前方の奴にめがけて振りかざす爪を避け、刃を突き刺し、即座に吹っ飛び、


滑らかに地上に着地しこちらに戻る。


イロディアンは徐々に白く変化しさっきまで機敏に動いていた奴が、ロボットみたいにかくかくとぎこちなく動き、


乾いた爆発音が鳴る。イロディアンは白い冷気を上げ、動きが止まった。


その光景をかっぽじるように見ていた私。


「凄い・・・。」


これが隊長の力、一気に二体も仕留めた。凄い・・・。流石隊長なだけある、無駄のない洗練された動き。


しかし振り向いた隊長の表情はにやけもせず、険しかった。


「ナナ、よく見とけ、これが俺たちの限界だ。」


と隊長は、首で仕留めたイロディアンを指す。


ドライアイスのように白く凍った奴ら。だが、邪悪に赤く光る眼は消えていなかった。


「目が消えていない・・・」


私の時は確か・・消えたはず・・・。そう思った同時にイロディアンの指がピクピクと痙攣するように動く。


まさか、死んでないの・・?、うそでしょ。あれだけ冷気をあげて凍らせてるのに・・


イロディアンの体は徐々にかくかくと動き出し、氷のかけらがじわじわとはがれ、元の緑色に戻りかけている・・。


凍ったまま無理やり唸り声をあげ、こちらに引きずるように迫る。


「これ以上、ほっておいたら氷結弾の効果が切れて完全に復活する。ナナ、お前の力を見せてくれ。」


「・・わかりました。」


「あいつらは元々人間だ。楽にさせてやってくれ。」


私は頷き、隊長は後ろに下がる。腕を触手に変形。


隊長は生でその光景を見て、おお・・・と息を漏らす。


右手で押さえイロディアンに向けて、腕を発射。中距離まで俊敏に伸び、腹部に命中し、奴らは砕くように崩壊し、崩れた。


砕けた顔を見つめると赤い眼光は徐々に消え、イロディアンの体はしぼむように小さくなり、煙をあげ、蒸発した。


「おお・・」


「凄い・・、本当に倒せるんだ・・」


皆の反応が気になり、振り向く。


後ろで見ていた隊員達は皆、目を見開き、驚いていた。


その中でもクラシアは一際子供のように目を輝かせていた。


「がせじゃないんだな。お前の力は。」


そう言った隊長の表情がさっきよりも、少し明るくなった気がした。


「ええ、倒せます。」


私は口を上げようとしたが、人を殺した罪悪感が混じり、口角が上がるのを抑えた。


「やっと・・いけるかもしれないな。」


その時、ブレスレット式のレーダーから警告音が。


「隊長、イロディアンの反応がッ!!」


ロバートさんが言う。


レーダーを見ると、数多の赤いポイントがこちらに迫ってくる。


同時に周りから屋根を伝う音、そして飢えた獣のような唸り声が風に混じり、耳に入ってくる。


「待ってくれないようだな・・・」


隊長は一呼吸し、私達に告げる。


「ここはイロディアンの巣窟だッ!!


目標の発電所まで進みつつイロディアンを攻撃ッ!!、ナナ率いる班が後方で仕留めつつ前進ッ!!、散開しろッ!」


「了解ッ!!」


そう言った瞬間、


隊員たちは水発射装置を起動、私と三人の隊員を軸にし、一斉に散らばった。


凄い、人が宙に浮いてる


装置から静かに、だけど激しく白い蒸気が噴射し、まるでジェットのように皆空中で散らばる。


「私達も行くぞ。援護するから隙が出来たら打つんだッ!!」


「はいッ!!」


私含め、四人の班。


その中のリーダーはマラシイさん。


マラシイさん達は銃の引き金を引き、噴射して飛び、屋根へと移り、走った。


「おお・・・」


目の前で人が飛んだ、凄い・・・


私も触手に変形させ伸ばし建物に突き刺し、触手を戻しその力で屋根へと着地。


みんなとは違う方でマラシイさん達についていく。



周りでは隊員が屋根を伝い、飛びがかるイロディアンを銃撃している。


360度、装置から噴出する蒸気と銃撃音と火花に溢れ、戦場の真ん中にいるのを強く実感する。


近くで戦っている別の班の隊員。工場の屋根に着地にたち、数体のイロディアンが隊員に食い掛る。


迎え撃ち、空中で怯むイロディアンだが、すぐに立ち上がってきた。


「前へ進めッ!!、後ろは私達に任せろッ!!、ナナはあの上で待機して引き寄せたイロディアンを薙ぎ払えッ!!」


「・・了解ッ!!」


マラシイさんが指を指した方向には他の工場よりも数段大きい所だった。


マラシイさんが隊員に指示、私たちは迫るイロディアンを発電所の方向に


進みつつ迎え撃つ。マラシイさんは空中で浮き、イロディアンを見定め、正確な射撃で百発百中決め、


二人の隊員は一回り大きいイロディアンと好戦、連携して、一人が囮になり、屋根の死角まで引き連れた所に氷結弾をぶち込む。


私は指示された場所で待機、何時でも迎撃出来るように触手を最大まで伸ばす。


余りの長さに、下にとぐろのように巻きついている。


一回り高い所だから、周りがよく見える、無骨で灰色の工場の屋根の上に隊員達に引き寄せられ、数を増やすイロディアン・・


レーダーを見ると、赤いポイントがどんどん増え、まるで赤い波のように迫ってくる。


マラシイさんがこちらに迫り、数体のイロディアンを引き寄せ、


「ナナッ!!、今だッ!!、全部薙ぎ払えッ!!」


マラシイさんが空中で指示。


周りは合計20ほど、私は後ろに駆け足で走り、とぐろを巻いた触手をほどき、伸ばす。


伸びきったのを感じ、思いっきり体をイロディアンの方向に捻る。


隊員達は一斉に私の後ろに装置を噴射し退避。


「死ねッ!!」


40メートルほど伸びた鋭利な触手を目一杯、周りの奴らに向けて薙ぎ払った。


煙突ごと引き裂き、奴らは触手の刃で顔、体、腕が豆腐を切るように引き裂かれ、氷った奴は砕け散

り、うめきをあげ、次々と倒れる。


赤い血が噴水のように吹き出し、灰色の工場を赤く染め、蒸発した。


「すげえ・・」


隊員が空中で呟いていた。


「はぁ、、はぁ・・やった。」


腕を戻しつつ、喜んでいるのも束の間、マラシイさん達が着地し、


「喜んでる暇はないよ。前方の討伐したイロディアンも殲滅するんだ。」


と、返り血を腕で吹き、白い髪をなびかせる。


「疲れてないか?」


マラシイさんが気遣う。私は息を整え、汗を吹いた。


「・・問題ありません。任務を続行します。」


地上をみると他の班が氷漬けにし、固まっている奴らがいたるところに。


そしてどれも、邪悪な眼光の光は消えておらず。固まった体が動き始める。


「よしッ仕留めるぞッ!!ナナッ!」


「はいッ!!」


私は固まったイロディアンに向け、発射した。私に出来ること、出し切ってやる。


人類の為に、私は負けない!!



ーー第11話に続くーー

セミナーに行っていたのと、シナリオの見直しで遅れてしまった。

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