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第71‐80話 媚びるな媚びろ、驕るな驕れ、隠すな隠せ、咎めるな咎めろ、裏切るな裏切れ

 「それじゃ、始めるねー!」

 ニニィの声は高らかに響く。


 小野は激しく呼吸をしながらどこかから訪れる死に身を構えていたが、突然宙に体が持ち上がると、バタバタと動く四肢などないかのように体幹が後屈を始め、小野は必死の形相を取り、一層曲がり、顔が激しく歪み、背骨が折れて後頭部に太ももが付き、微かな呼吸をしていたが、今度は首が後屈を始め、最早抵抗はなく、頚骨が折れると小野は床に落ちた。


 渡辺は泣き咽びながら合間合間に薄黄色の液体を口から床に出していたが、突然ふらついて横倒れになって、顔を赤くして息を荒くして、右腕の皮膚がぼこぼこと盛り上がり、続いて左脚が盛り上がり、体全体が歪に赤く腫れあがり、そこから漿液が鈍く流出し、激しく呼吸していたが、顔の周りも唇も、舌も腫れあがり、首元をガリガリと引っ掻きもがいて――痙攣ののち、死んだ。


 坂本は顔を真っ赤にしてケースに蹴りを入れながら何かを叫んでいるが、多少振動が伝わるくらいで何の効果もない。突然立ち止まって頭を抱え、ばたりと後ろに倒れ、身を丸めて、一層強く頭を抱え、口から泡を吹いて、びくり、びくりと足が勝手に動き、腕に力が抜けても依然として泡を吹いて痙攣し、二度と立ち上がることはなくなった。


 時田は必死の形相で両腕を壁に叩きつけていたが、急に股間を押さえるとそこから赤黒い染みが灰色の作業着に広がり、地獄のような形相を浮かべてケースの壁を背によたよたと倒れ込み、強く押さえているうちに今度は右足首から下が千切られ、時田がそれを見て何かしようとするかしないかの内に今度は左足首から下が、そして、右手首、左手首と千切れ、彼の顔は真っ青になって赤い液体の中で動かなくなった。


 岩倉はケースの壁に手のひらを押し当てて絶望的な表情を浮かべていたが、突然顔を凍らせると前後に腰を不規則に動かし、そこから鮮血が2又滴り、2本の赤い柱が伝った液体によって露になって、白い靴下をじっくりと染めていき、岩倉の体はビクン、ビクンと体を揺らしていった。

 すでに瞳がガラス玉のようであり、肌の色は青白く、次第に揺れる場所が腹へ、リズミカルにうごめき、胸へ至り、ぐいぃと反らせ、そして首元を震わせて――薄赤い唇から尖った赤い柱が、脳天から尖った赤い柱が突き出してきた。


 (由香里ちゃん……きれい……)

 白川は恍惚と透明なケースの中を見つめる。


 「それじゃ、これで40日目の『透明な殺人鬼ゲーム』は終わり。また明日ねー」

 ニニィの言葉とともに透明なケースは下に沈んでいき、沈み切ると参加者の体の自由が戻った。


 白川はよたよたと足を進めるとケースが姿を消した場所で止まった。

 (由香里ちゃん)

 そしてそこに座ると床面を愛おしそうに見つめ、撫で続けた。



**




今回の犠牲者 岩倉由香里

一番大事な人 父


 美少女。有象無象のアイドルは比較にならないほど。当人にとって容姿はおまけであり、実力が第一で日夜勉学やお稽古に励んでいる。ただ、上級国民であること、美少女であることがそもそものハードルを下げていることに気づいていない。どうしてこの人はこんな仕事をしているんだろうと普通に言い出すくらいだしね。

 ちなみに1度誘拐されたことがある。未遂も含めれば数えきれない。そのため常にSPが近くにいる生活を送っている。


今回の犠牲者 小野優太、渡辺百夢、坂本太朗、時田直之

一番大事な人 それぞれ


 一人一人の人生は大事なんだろうけど、岩倉に比べたら有象無象だよね。全員分同じことやったら、マンネリになるし。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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