第2話 固める関係 ~後編~
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「で、だ。そなたたちの婚礼だが・・・」
「いつになりますので?」
「もうじき、『行速』道路だったか? 王都にまで繋がるそうだな?」
「二、三か月中には、そうなる予定でいます」
「それを待って行う予定だ。開通祝賀会と併せて執り行われる」
「貴族を王都に集めるのを一度で済まそうというお考えですか?」
「そうだ。貴族というのは移動するだけで金がかかる。そして、金をかける分、各地で問題を起こすものだからな」
「た、確かに」
貴族というものは、自領を出るとロクなことをしない。
それは、平民なら誰もが知る事実である。
清廉潔白な貴族はかなりの少数派というのが哀しい現実だ。
「若くて可愛らしい娘を娶るのだ。一層励めるというものだろう?」
「頑張ります」
結局それか?! とは叫ばず、カロスタークは頭を下げた。
手を抜くつもりはないし、無理もしない。
やることは変わらないのだ。
『行速』道路の建設は進んでいる。
王都が近づき、王家直轄領に入った。
王都のスラムから人手を集めることができている。。
人手があれば工事は進む。
順調だ。
親方に任せておくだけでどんどん進む。
道の方はそれでいい。
預けられることになった旧リヴィエール伯爵領を発展させるのも、実は簡単だ。
前領主が行っていた滅茶苦茶な施政を改めるだけでも増収が見込める。
旧領主は目先の金欲しさに、領内の税を割高にしていた。
高く設定しているのだから、一時的には税収が増える。
ただし、誰だって税金なんて払いたくない。
割高な税を徴収されると知り、領外へ出る決断が可能な者たちは逃げ出してしまっていた。
逃げた者がいる分、その後の税収は減っていく。
税を払えない者も出て、夜逃げも起こる。
結果として、税収が激減している。
これが現状。
王家直轄になって以降も、この体制は変えられていなかった。
直轄にしただけで、王家から管理する人物が派遣されていないからである。
任せるに足る人材がいないのだ。
今回、カロスタークに管理権を与えてきたのは、そんな理由もあってのことだろう。
なので、税率を周囲の領地と同程度にまで下げ、困窮している者には補助を行う。
領外へと出た人たちが戻ってくるならば、何らかの優遇を受けられるよう取り計らう。
これだけで、ここ数年の停滞は解消されるはずだ。
活気が戻ってくれば、経済は回る。
経済が回れば、税収も上向いてくる。
難しいことではない。
王家の要望を叶えることはできるのだ。
トマを代官として派遣しよう。
それで充分だ。
三か月後。
王国北西部から伸ばした『行速』道路が王都と繋がった。
これを祝して、全貴族を招集しての開通祝賀会が大々的に行われる。
今後も続く道整備への理解と協力を求める意味合いもあってのものだ。
大規模な祝賀が開かれれば、王家の本気度がわかる。
貴族たちが自領の開発にカロスタークが携わることに抵抗感を持つ可能性を排除できるのだ。
道を整備することにデメリットなどないのだが、難癖をつけてくる面倒な人間はどこにでもいる。
これに対する牽制だ。
祝賀会はいわゆるダンスパーティー形式だった。
貴族が工事現場に集まるわけではない。
端の方に立食のテーブルがあり、食べ物と飲み物が置いてある。
中央部は広く空間がとられていて、楽団がゆっくりとした曲を奏でていた。
誰かが要望を告げればダンスミュージックに切り替えてくれて、有志がダンスをする。
冒頭、宰相が祝賀の趣旨を説明する以外は『よくあるダンスパーティー』である。
特別な点と言えば、王国中の貴族が一堂に会していることぐらいのものだ。
珍しいものではない。
併せて、カロスタークとアンヌの婚礼も行われる。
『貴族院』議長から結婚が発表され、瞬間的に全貴族に注視された。
これもまた、道整備のための後押しである。
カロスタークの名と顔を周知させ、王命を受けて動いていることを示すのだ。
ルート決定や宿場町の造成など、各地での交渉事が行いやすくなるはずだった。
もちろん、そういう事情を踏まえてのものなので、費用は王家持ちだ。
実情としては婚礼というより、お披露目会と呼ぶのが正しいかもしれなかった。
そうは言っても正式な婚礼ではある。
『お披露目』が終わると、王家や関係のない貴族がいないところで、ごく普通に婚礼が行われた。
会場は一緒だが、別のホールに移ってのものになる。
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