第2話 叙任式という名の卒業式 ~後編~
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「クレール、ギョーム。おめでとう。騎士団、楽しみにしているよ」
友人二人にカロスタークは声をかけた。
「・・・・・・」
「—————」
なぜか無言と呆れた視線が返ってきたけれど。
「はぁ・・・」
「ふぅ———」
「え? な、なに?」
予想外の反応に慌てるカロスタークに、今度はダブル溜息が与えられた。
「いきなり『準男爵』になって、しかも王の勅令まである人に言われてもさぁ」
「うん。裏がないことは知ってるけど、なんか腑に落ちないっていうか、釈然としないね」
「むっ?」
多少自覚のあったカロスタークは一瞬口籠った。
「なら・・・騎士団作るのに資金が足りないなら言ってよ。格安の利息で貸し付けるよ・・・ならいいか?」
腕組みをして、背伸びまでしてそんな言葉を吐き出すカロスターク。
「ぷふっ!」
「あははっ、そうそう。それならまだいいや」
「まったく。こっちは無理難題吹っ掛けられて困ってるんだぞ?」
眉間にしわを寄せて言ってみるが、友人二人はとりあう様子がない。
「カロスタークは本気で悩んでるときは一人で抱え込むからね」
「困ってるって言えてる間は心配しないよ」
問題なし、と断定された。
「まぁ、そうなんだろうけど」
なんか釈然としない!
憮然とするカロスタークだった。
「まぁ、オレのことは心配いらないとお墨付きをもらったことだしいいとして。お前たちはこれからどうするんだ?』
家に帰って領地内の仕事をするのか、独立して実際に騎士団を立ち上げるのか。
前者であれば「元気でな」としか言えないし、後者なら、冗談ではなく資金援助ぐらいできる。
「一度家に帰ってからかなー。貴族軍で一部隊預けてもらえるかもしれないし」
「俺もだな。『鍛えてやる』って身内で可愛がりを受けるか、『経験積んで来い』って放り出されるか。たぶん、帰ったら親父たちから腕試しされて、それで判断されると思う」
「そうか。なら、しばらくは会えないな。でも、まじめに『騎士団』作るときは声かけろよ?」
「はいはい。頼りにしてますよ」
「カロスタークなら、返せる当てがあるかちゃんと判断してくれるから借りやすいよな」
「あー。世の中には多いからな。返せないとわかった上で多めに貸し付けておいて、あとから根こそぎ奪っていくってやからが。そんなのから金借りたら怒るからな? マジで」
「わかってるって」
「カロスターク以外からは借りないよ」
こうして、叙任式という名の卒業式は終わった。
明日からは学院に通うことはない。
「さて。忙しくなるよ」
「「「はい」」」
従者と副官らを連れて、カロスタークは慣れ親しんだ学院を後にした。
振り返れば、夕陽に染まる校舎が静かに佇んでいた。
カロスタークは、もう一度だけ深く頭を下げた。
いろいろあったが、カロスタークを育ててくれた場所には違いない。
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