第14話 山には山の木を、野には野の花を ~後編~
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「今後の領地経営について、ですね?」
ミヌミエーラ男爵が聞いてくるのに頷くカロスターク。
「だけど、細かい話はしなくていいんじゃないかと思った」
「と申されますと?」
「ここに来る前に確認したら、ミヌミエーラ男爵は軍に所属していていずれは将軍にもなろうかと期待されていたと聞いた」
「将軍になるというのは言い過ぎですが、間違いでもありません」
「なら、無理に内政をやってもらう必要はないと考えた」
「私に内政をさせても無駄だという点には同意しますが」
なら、どうするというのか?
ミヌミエーラ男爵が戸惑いと不安で表情を暗くした。
「現在、私は三つの領地と一つの町を管理下に置いています」
モンモラシー男爵領、ミヌミエーラ男爵領、今回分割されてできたレッドルア準男爵領、そしてオルトレオーネ子爵領の町だ。
「この三つを私は同時に管理します。モンモラシー男爵には補佐をお願いしました。令嬢のセザールも手伝ってくれます。内政はこれで回せるでしょう」
「私は必要ないということですね」
ホッとしたような、残念なような表情になるミヌミエーラ男爵。
「そうではありませんよ。ミヌミエーラ男爵には、この三つの領地における貴族軍の育成に力を入れていただきたい」
「騎士団の育成?」
「ええ。貴族軍は普段、町の警備をしています。ですが、ひとたび戦争や紛争があれば国軍と並んで戦争に参加することになる」
「確かに」
その通りだと首肯するミヌミエーラ男爵。
「ですが、貴族軍の多くは戦場での活躍が期待できないと言われています。そこで、我々の貴族軍だけでも『国軍並み』に鍛え上げようというわけです」
「いざというとき、共に戦えるようにですか」
「そうです。各貴族軍が単独でも動けて、いざとなれば三つの貴族軍を一つの軍として運用が可能なようにしていただきたい。『国軍』と肩を並べても遜色ないくらいにね」
「それは、かなり重要かもしれません」
「そうでしょうとも」
当然だと、カロスタークが大きく頷く。
「私が各地の内政面を発展させ、モンモラシー男爵が維持に気を遣い、ミヌミエーラ男爵が軍政を担当する。これで一つの共同体とできれば強いと思いませんか?」
「な、なるほど。素晴らしい!」
それなら自分にもできる。
ミヌミエーラ男爵が嬉しそうだ。
「セザールがモンモラシー男爵領関係の副官役をしているから、フランソワはミヌミエーラ男爵領側の副官をよろしく」
「え? あ? はい。頑張ります!」
音がしそうな勢いで頭が降られた。
『側女』が二人になった瞬間である。
(まだ、隣に立っていられるのなら……)
フランソワは、胸の奥でそっと願い。
そっと、息を吐いた。
我知らず、その息は甘かった。
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