第20話 戦後の静寂の中で
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~セザール×カロスターク~
夜の見回りを終えたセザールが、カロスタークのテント前で立ち止まる。
中では、彼が地図を見ながら何かを考えている様子。
ふと、彼女の気配に気づいて顔を上げる。
「どうした? もう休んでいいぞ」
「……あなたが無事で、本当によかったと思いまして」
そう言って、セザールは湯を差し出す。
その手が、わずかに震えているのを、カロスタークは見逃さなかった。
「ありがとう。君がいてくれて、助かったよ」
セザールは微笑む。
けれどその瞳の奥には、“この人を守れるのは私だけ”という静かな決意が宿っていた。
自分が『彼』のそばにいられる理由の最大の理由がそこにある。
騎士爵を己の手で手に入れるだけの実力があるのだ。
この力があるから、『役に立つ女』をアピールできる。
それが、誇りと安心をもたらしてくれる。
~ミーラン×カロスターク~
翼人族の野営地。
勝利の宴が終わり、夜風が静かに吹き抜ける。
ミーランは、焼きたての“おおきびケーキ”を手に、カロスタークのもとへ。
「……あんた、ちゃんと食べてる?」
「ん? まあ、ぼちぼち」
「……はい、これ。ミズーリが焼いたやつ。あたしが味見したから、たぶん大丈夫」
カロスタークが笑って受け取ると、ミーランはふいっと背を向ける。
その頬は、ほんのり赤い。
……なんで、こんなにドキドキしてるんだろうかと、考える。
背中越しに聞こえる彼の笑い声が、やけに胸に響いていた。
~ネルケ×カロスターク~
捕虜となったヒルデガルドの監視任務を終えたネルケが、夜の静けさの中でカロスタークのもとを訪れる。
「閣下。……あの方を見て、思いました。私は、今まで生きていなかったのだと」
「……そうか」
「私は、閣下のもとで生きていきたい。……それが忠誠なのか、それ以上なのかは、まだわかりませんが」
カロスタークは何も言わずに頷く。
『それ以上』というところで、少し眉が動いたが、小さく肩を動かしただけで流している。いまさら感が強かったのだ。
ネルケは静かに頭を下げ、去っていく。
その背中には、“自分の意志で選んだ道”への誇りがにじんでいた。
~フランソワ×セザール~
翌朝、野営地の片隅で、フランソワがセザールに声をかける。
物資や人員を引きつれて、追ってきていたのだが、『勝った』と聞いて、駆けつけてきたのだ。
「昨夜、殿下と話してたわね」
「……見てたの?」
「見えるところでやってたから」
フランソワは微笑む。
けれど、その笑みの奥には、静かな対抗心があった。
「私も、閣下にお茶を淹れて差し上げたの。……あなたより、少し早くね」
「そう。なら、次は私が先に行くわ」
二人の間に、火花が散る。
けれどそれは、戦場ではなく、心の中の戦いだった。
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