第11話 毒と薬は別物に見えて、本質は同種たらん ⑧
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「来るって言ってた」
『亜人の町』外の野営テントに入ってくるなり、ミーランが知らせてくれた。
本当に手紙を届けてくれたのだ。
頼んだときは断られる前提だったし、受けてもらえたあとも半信半疑だったのだけれども。
「一両日で来るって言ってた」
しかも意外なほど早い。
「とりあえず管理栄養士は確保っと」
ライアンは人手も増えるはずだと言っていたから、それも期待できる。
それにしても・・・。
早いといえば、もう一つ。
「往復に三時間か」
エルフの長に聞いたところでは、馬で片道二日かかるとのことだったのだ。
それが、ミーランは一時間で踏破してのけたことになる。
飛行能力があるというのはかなり高いアドバンテージのようだ。
「あと、なんか書いてよこしたよ」
手紙が渡された。
見た感じライアンから預かった手紙そのままのようだが?
「?」
開いてみると、確かに変なところに書き込みがあった。
「レシピ、かな?」
一応疑問符をつけておく、精霊の御業の賜物なのか言葉がわかるだけでなく文字も読めるが、何となく信用出来ていない。
「セザール、ライアンを呼んできて」
「はい!」
掃除を終えて、手持ち無沙汰にしていたので頼んだ。
「オー。こいつぁ、レシピだな。先生直筆の文字、懐かしいぜ」
待つことしばし、やってきたライアンが手紙を見て歓声を上げた。
なんか、すごく嬉しそうだ。
目尻に涙まで貯めている。
指摘したら全力で否定しそうなので見て見ぬふりで流したけれども。
「完全版とはいかねぇが、かなり好転するだろうってよ。作ってみるか?」
「もちろんだ。後回しにする理由なんてないだろ」
猶予は貰っているが、問題解決が早くて困る人なんていない。
準備はエルフのメイドたちも手伝ってくれた。
エルフの長宅を借り受けたのだ。
厨房ではめったに使われない大人数用の調理器具や、食器が引っ張り出されては磨かれていく。
ミーランはさっそく仲間の所へ行って自分と同じく族長候補である姉以下、名だたる重鎮たちを招待してくることになっている。
その間にライアンとカロスタークは、セザールは荷車を引いて買い出しだ。
「レバーはやっぱ外せねーよな!」
自分もそう思っていたとウンウン頷きながら羊のレバーを買い込み、ホラソンという濃い緑色の葉野菜も大量に買い入れて積み上げる。他にも青い実の果実、紫色の根菜などが荷車に乗せられていった。
あとはこれを調理すればいい。
それはライアンの役目で、カロスタークは待つだけだ。
一息入れられる。
と、思ったのだが?
「なぜこうなった?」
ミーランの後ろを歩きながら、カロスタークは頭を抱えている。
カロスタークも翼人族の重鎮巡りをすることになったのだ。
族長候補として競う相手である姉はもちろん、他の重鎮たちの元へ行くことも歳若の『』には気が重いと言われて拒絶できなかった。
一人では不安なので、領主になるだろうカロスタークも連れて行こうという思惑なのだろう。
だったら、買い出しに行く前に言えよとカロスタークなどは思ってしまう。
市場を歩き回ったあとで森の中の翼人族居留地まで行くというのは、それなりに疲れるのだ。




