第6話 毒と薬は別物に見えて、本質は同種たらん ③
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考えをまとめたカロスタークが訪れたのは、エルフの長のところだった。
一つ、確認しておかなければいけないことがある。
「どのようなご用件でしょうか?」
突然の訪問となるのだが、いやな顔の一つもなく招き入れてもらえた。
エルフたちは既に、カロスタークを領主と考えているようだ。
そうなる公算は高いが、まだ未確定だというのに。
「ひとつ、確認したいことがあってね」
そう言いながら、カロスタークは自分が座っている席からテーブルに目を向けた。
明らかに石で作られた硬いものだ。
だが、問題なのは素材とかではない。
表面に浮き出ている、ある種の模様だった。
どう見ても、貝や魚の・・・化石、なのだ。
石の中に埋もれていたであろうそれらを、うまく利用して簡素な石製家具を飾っている。
先日も気が付いていたが、リヴィエール伯爵家の襲撃が喫緊の問題だったので流していた。
だが、今回は無視できない。
貝や魚の化石がある。
それはつまり、この辺りの地層には海だった頃の痕跡があるということだ。
だとするならば・・・。
「もしかして、岩塩が採れたりしないかと思って」
岩塩。
すなわち、塩が石のように固まっているもののことだ。
洞窟などで採れる例があったはずである。
海の痕跡があるここなら、もしかしてと思ったのだ。
「とれますよ?」
なんだ、そんなことか。
そんな感じに軽く肯定された。
ごく普通に採れるようだ。
「量もある?」
「あると思う。近くの丘に洞窟があって、ノームが住み着いているのだ」
『ノーム』。
土の精霊を祖とする亜人のことだ。
正式には『ノームノイド』と言うべきなのだが、祖となる『ノーム』が人間の前に姿を現さなくなって数百年が経っている。
このため、簡略化して『ノーム』で通っている。
ちなみに、他の四大聖霊の中で実体を持っているのは他にウンディーネだけだ。
亜人とまで言えるだけの実体があるのは数百体に満たないと言われている。
「そのノームは岩ならどうとでも加工するが、塩の塊は何ともできないそうでな。邪魔な固まりを掘り出しては、外に捨てておる。洞窟の外で山になっておったはずじゃ」
捨てんなよ。
思わずでかかった罵声を、カロスタークは慌てて呑み込んだ。
好都合なのだし文句を言うことではない。
「じゃ、明日から何人かで、岩塩を運んでもらえるかな?」
「手の空いた者にやらせよう。急ぐわけではないのだな?」
「ああ。別に急ぐことはないしノルマもない。雨ざらししておくのはもったいないというだけのことだ」
「わかった」
けっこうな重労働だと思うのだが、軽く受けてくれた。
長からすれば、力仕事をするのは他の若いものだからだろう。
「さて、まずは塩分を確保した。次は鉄分だな」
長宅を出たところで、カロスタークは周囲を見渡した。
時は昼時、おいしそうな匂いが街のあちらこちらで上がっている。
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