第14話 裁きから再起を促す、方向は整えて
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「さてと」
マルガリータに背を向け、カロスタークが向き合ったのは全裸に毛布の女。
「敗戦の言い訳はできるかな?」
「っ——」
シャリィアだ。
「敗戦は罪ではない!」
全裸を晒していながら、シャリィアは強気——いや、強がっている。
あるいは、全裸でいることに慣れてしまっているのだろうか?
敗北しただけであれば、確かに罪に問われることはない。
しかし・・・。
「いい加減なことをほざくな!」
国軍で将軍候補と目されていたミヌミエーラ男爵には通じない。
「ろくに偵察もせず、不用意に進軍。敵の策にまんまと嵌った。貴様の行動は明白に軍規に反している。多くの証人もいるのだぞ!」
弁解の余地などないと断罪される。
先の戦いでの敗走については完全に調べがついていた。
今後の戦い方を決めるうえで不可欠だからだ。
それで知れたのは、シャリィアの傲慢と怠惰からくる愚策の数々。
勝敗は時の運などと、とても言えない人為的ミスが目立つ。
敗因がはっきりと浮かび上がってくるのだ。
軍事裁判を開けば、議論の余地なく有罪となる状態だった。
「敵との内通すら疑われる利敵行為だ」
「そ、そんなことはしていない。私が愚かだったことは認める。だが、王国への忠誠は揺らいでなどいない!」
必死な様子で取りすがるシャリィア。
「・・・・・・」
ミヌミエーラ男爵は、生ごみでも見るような視線を向けて無言だ。
利敵行為を働いた軍人は問答無用で絞首刑である。
罪人には言葉もないと、態度で示していた。
「まぁまぁ、ミヌミエーラ男爵。シャリィア殿をそう責めるものではない」
思い切り突き放されたところへの歩み寄り。
カロスタークの第二の天性とも言える交渉術が冴えわたる。
「ここから王都へ送還して、沙汰を待つような余裕がないのも事実だ」
処刑は確実と絶望を味わわせてから、希望を与えようとの誘導が行われていく。
「わ、私は、どうすればいい?」
生気のない顔に縋るような色が加わった。
一縷の望みというものだ。
溺れる者は藁にでもすがる。
シャリィアが己の命運をカロスタークへ譲り渡した瞬間である。
「第三軍の司令官として活躍すればいい。過去の失敗を塗り替えるような勝利でな。機会を与えてやろう」
命を捨てて働け。
そういうとだ。
「わ、わかりました。やってみせます」
「そうしろ。とりあえず、セザールが面倒を見てやれ」
教育し直せ——意訳:洗脳せよ——と指示が出た。
帝国は王国を滅ぼすべく戦を仕掛けた。
いくつかの町を焼こうというのではない。
つまり、帝国軍の侵攻はまだまだ続くはずだった。
予想される最大戦力は30万。
そのうちの5万は消えたとしても、まだ25万いる。
対する王国軍は全兵力をかき集めて25万。
他の国へのけん制も考えれば、動員可能な最大は15万が限界だ。
王族直轄の近衛も動員したとしての数でである。
現実的には12万といったところだろう。
もちろん、非常事態ということで民兵の動員もすれば数は増やせる。
ただし、数で質を凌駕することは難しいのが現実だ。
帝国の精鋭一人に対して民兵五人で何とか勝てるかどうかというところ。
単純計算で、150万人を動員してようやく五分となる。
帝国も同じことをすれば、その数はさらに増え国家の存続自体が難しくなると思われた。
ゆえにカロスタークが宰相から事前に言われていたのは、初戦で勝って戦闘継続を諦めさせることだった。
ところが、その初戦で大敗している。
今回の勝利で何とか±0に戻せたかと言うとそうではない。
帝国は、「勝てる」と踏んで攻めかかってくると思われた。
「第三軍と、後詰めで来る第四軍。レッドルア、ミヌミエーラ、モンモラシーの貴族軍。セザール騎士団。約8万で帝国軍を迎え撃たなければならない」
銅貨10枚を元手に金貨1000枚を稼ぐ方が簡単だ。
これが何かの試練だというのなら、
商人にもクリア可能な試練をくれ。
カロスタークは、ままならない現状に溜息を吐くのだった。
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