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商人の男と貴族の女ーー婚約破棄から始まる成り上がり――  作者: 葉月奈津・男
【ミーラン】編~レッドルア家発展の礎~

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第1話 レッドルア家発展の礎 ①

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 第1話 レッドルア家発展の礎 ①


「ずいぶん派手な狼煙だな!」

 とりあえず、一息入れようかというところで、妙に『高く』声が掛けられた。

 音としても、位置的にも。


「なっ?!」

 周囲から驚きの声が上がる中、カロスタークとセザールだけが平然としている。


「やっと見つけたぜ、色男」

 声の主は『上空』から現れた。

 『亜人』なのだ。


 レッドルア伯爵領とカロスタークが携わる工事現場では、当たり前に働く姿を見ることができる者たちだ。

 中でも数が多いのは獣人族。

 次が『親方』を始めとする鱗に覆われた亜人の『竜鱗族』。

 三番目が背中に翼をもつ『翼人族』となる。

 声をかけてきたのは、この翼人族の男だ。


 鳶色の翼を背中から生やし、嘴もある。

 だけど、足は普通に人間の脚だ。


「その呼び方はやめろ」

「『族長の亭主』を禁じたからでしょ?」

 色男とどっちがマシかしらね?


「普通に名前か肩書で呼べばいいのに!」

「肩書なら『族長の亭主』でもよいのではなくて?」

「まだ決まってないし!」

「向こうはその気だし、結婚なんて形式はいらないそうよ?」

 身分と血筋の存続への協力だけで構わないと相手方は言っている。

 セザールの追及は厳しい。


「何かあったのか?」

 議論は不利と感じたカロスタークが、話題を強引に変えにかかった。


「ああ。南西部の工事が終わったんだ。で、北上していいか? ってよ。聞いて来いって言われて、飛んで来たのさ。戦争のど真ん中で工事なんてしたくねぇからな」

「ああ。そういうことか」

 そりゃもっともだと、カロスタークは頷いた。


 『行速』道路がついに最終段階に入ったのだ。

 王国北西部の北端から始まり、北東部、南東部と来て、南西部も終わり。

 あとは西部を北上して、最初の道へ繋げば完工ということ。


「いやー、探すのに苦労したぜ」

 ふぃーっと、汗を拭うマネをする。

 予定がかなり狂っているからな。


 町にいるはずだったのが、もろに野戦をしてしまった。

 どこにいるかわからなかったのも無理はない。

 それで、『狼煙』と言ったのか。


「北上するので問題はない」

 これは間違いない。

 だけど・・・。


「人員は減らさせてもらおうかな」

「おいおい。まさか戦争に参加させるとか言わねぇだろな?」

「武器を持って戦えとは言わないよ。あと、危険手当は出す」

「ふーん。ま。話しぐらいは聞くぜ?」


 そういうことなので、やってほしいことを説明していくカロスターク。

 翼人族の男も真剣に聞き入っている。


「できるか?」

「そんなのなら容易いな」

「なら、頼む」

「わかった」


「『ミーラン』によろしく」

「おう。任せとけ!」

 軽く打ち合わせて、飛び立つのを見送る。

 カロスタークの脳裏に蘇るのは、旧リヴィエール伯爵家の東部での『亜人の町』を巡る戦いだ。

 あの戦いの後の行動が、今思えばレッドルア家発展の礎となっている。



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