第1巻 第78讃歌 アグニ讃歌
1 鋭く、そして速き者、
万象を知る者よ
我らゴータマの徒は、
聖なる歌をもって
汝を気高く称えん
汝の栄光が、
いや増さんことを。
2 富を希求しながら、
ゴータマはありのままの汝を
歌をもって礼拝する
我らは汝を称えん
汝の栄光が、
いや増さんことを。
3 かのアンギラス族のように、
我らは戦利品( spoil )を
最も鮮やかに勝ち取る
汝を呼び求める
我らは汝を称えん
汝の栄光が、
いや増さんことを。
4 魔障を退ける
最高の討ち手であり、
我らの敵を
震え上がらせ、
追い払う汝を
我らは汝を称えん
汝の栄光が、
いや増さんことを。
5 アグニに向けた
この心地よき賛歌を、
我らラーフーガナの息子らは
高らかにうたった
我らは汝を称えん
汝の栄光が、
いや増さんことを。
解説
この第78曲は、全5節にわたって同じリフレイン(折り返し句)が繰り返される、極めてリズミカルで祝祭感に満ちた讃歌です。讃歌を編んだ詩人一族の誇りと、アグニへの絶大な信頼が一体となっています。
* 1–2節:アグニの呼び名である「ジャータヴェーダス(万象を知る者)」の敏捷な性質がうたわれ、制作者である「ゴータマ」の名が明確に示されます。一族が求める地上の富と、神への純粋な賛美が、心地よい韻律の中で重ね合わされています。
* 3–4節:神話的な父祖「アンギラス」の伝統を受け継ぐ者として、アグニを「最高の戦利品獲得者」として呼び求めます。4節では、宇宙の魔障ヴリトラを打ち破る力と、地上の現実的な敵である「ダスユ」を退ける土着的な防衛神としての威力が強調されます。
* 5節:最終節では、この詩人の家系である「ラーフーガナの子ら」という具体的な署名が残され、アグニに捧げられたこの「心地よき歌」が、一族の永続的な栄光の誓いであることを示して幕を閉じます。
第78曲は、全5節すべてが「我らは汝の栄光のために賛美を捧げる」という力強いリフレイン(折り返し句)で締めくくられる、非常に音楽的でリズミカルな讃歌です。作者であるゴータマ・ラーフーガナの一族が、アグニ(ジャータヴェーダス)への絶対的な勝利への確信と感謝を、歌うように高らかに表現しています。




