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リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


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59/61

第1巻 第60讃歌 アグニ讃歌

1 まるで素晴らしい宝物のように、

マータリシュヴァンは

輝かしい祭司をブリグに

贈り物として運びました、

犠牲の旗、

善き守護者、

二度生まれた者(註: 再生族の意味)、

速やかに動く使者として。

2 神々と人々は、

この支配者の命令に従います、

礼拝される神々と、

慕い礼拝する人々は。

彼は朝の明け前に祭司として座り、

家の主、

人々にとって崇拝に値する者、

定めを行う者として。

3 私たちの美しい、

心から生まれた、

最も新しい讃美が

彼に届きますように、

彼の舌は、

生まれたときから

蜜のように甘い者に;

死すべき祭司たち、

人々が強い努力で、

美味しい食物を供えて創造した者に。

4 人々に善く、慕われる浄化者は、人々の間に選び抜かれた

祭司として置かれました。

アグニが私たちの友、

家の主となり、

家の中の富の

守護者となりますように。

5 そのような者として、

私たちゴータマ(最も優れた者)たちは

讃歌であなたを高めます、

おおアグニよ、

富の守護の主として、

あなたを

賞を得る速い馬のように

飾りながら。

彼は祈りで豊かになり、

早くすぐに来ますように。



解説

この第60曲は、アグニを「マータリシュヴァンによって運ばれた贈り物」「二度生まれた者」「速やかな使者」「家の主」「浄化者」として美しく讃える短い讃歌です。ブリグ族やゴータマ族(作者集団)の視点が強く、アグニの起源と人間社会での役割が簡潔にまとめられています。

•1節:マータリシュヴァンがアグニをブリグに宝物として運んだ神話的起源。二度生まれた者(天と地から)として。

•2節:神々と人々が従う支配者。朝早くから司祭・家の主として座る。

•3-4節:心から生まれた新しい讃美が届き、美味しい食物で創造された浄化者。家の富の守護者。

•5節:ゴータマ族が富の守護主としてアグニを讃え、馬のように飾る。早く来て豊かになるよう祈る。

全体として、アグニの神話的起源(マータリシュヴァンによる運搬)と、人間社会での実践的な役割(祭司・守護者・浄化者)を強調した優しい讃歌です。短いながらもアグニの温かさと重要性がよく表れています。


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