第1巻 第38讃歌 マルト讃歌
1 今どうしたのですか?
いつあなたがたは
私たちを両手で
取ってくださるのですか、
愛する父が息子をそうするように、
おお神々よ、
聖なる草が刈り取られる者たちよ?
2 今どこへ?
あなたがたの目標は天のどこですか、
地ではないのですか?
あなたがたの牛たちは
どこで遊んでいますか?
3 あなたがたの最新の恵みは
どこに示されていますか?
おおマルトよ、
あなたがたの繁栄はどこに?
あなたがたの
すべての高い幸福はどこに?
4 おおマルトよ、
プリシュニが生んだ息子たちよ、
もしあなたがたが死すべき者で、
あなたがたを讃える者が
不死であったなら。
5 それならあなたがたの讃える者は、
牧草地の野獣のように
決して嫌われることはなく、
ヤマの道を歩むこともありません。
6 破壊の疫病が疫病を重ね、
征服しがたいものが
私たちを打ち倒さないように:
それぞれが干ばつとともに私
たちから去りますように。
7 まことに、
ルドラの激しく力強い息子たちは、
風のない雨を
砂漠の場所にさえ送ります。
8 雷は牛のように低く鳴き、
母のように子を追いかけます、
彼らの雨の洪水が解き放たれたとき。
9 彼らが地を水没させるとき、
昼間でも闇を広げます、
水を満載した雨雲とともに。
10 おおマルトよ、
あなたがたの声の音で、
この地上の住処は震え、
そこに住むすべての人が
よろめきます。
11 おおマルトよ、
あなたがたの強い蹄の馬とともに、
コースを妨げられず、
急いでください、
輝く堤防の流れに沿って。
12 あなたがたの車の輪の縁を
しっかりとしてください、
馬と車を安定させてください、
そして手綱がよく作られますように。
13 この歌でここへ招いてください
讃美のために、
祈りの主アグニを、
ミトラのように美しい者を。
14 口の中で讃歌を形作り、
雨雲のように広がってください、
測られた称賛を歌いなさい。
15 マルトの軍勢に栄光を歌いなさい、
讃めに値し、
調和があり、
活力ある者たちに:
ここに強い者たちが
私たちとともに住みますように。
簡単な解説(全体の流れとポイント)
この第38曲は、マルト(嵐の神々)を「激しく力強い息子たち」「雨と雷の与え手」「地を震わせる軍勢」として呼びかけ、彼らの恵み・力・恐怖・保護を求める内容です。カンヴァ家の視点が続き、マルトの遊戯的な側面(鞭の音・牛の鳴き声・雨の洪水)と破壊的な力(山の屈服・闇の広がり)が詩的に交互に描かれています。
•1-3節:マルトを父のように呼び、牛(富・雨)の遊び場や恵みを求める。親しみと切実さ。
•4-6節:もしマルトが死すべき者なら讃える者が不死、という逆説。疫病・干ばつからの保護を祈る。
•7-9節:ルドラの息子として風のない雨を砂漠に送り、雷が子牛を追う母牛のように。雨の恵みと昼間の闇。
•10-12節:声で地を震わせ、強い馬で輝く流れに急ぐ。車の輪・手綱の安定を祈る。
•13-15節:アグニを招き、讃歌を広げ、マルトの軍勢に栄光を歌い、彼らを共に住まわせるよう。
全体として、マルトを「雨の恵みと破壊の両面を持つ戦士集団」として描き、ヴェーダの自然崇拝(雷雨の恐怖と恵み)と戦士信仰が融合した讃歌です。鞭の音や雷の鳴き声などの感覚的な描写が、マルトのダイナミックな存在感を強く印象づけています。




