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リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


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38/56

第1巻 第38讃歌 マルト讃歌

1 今どうしたのですか?

いつあなたがたは

私たちを両手で

取ってくださるのですか、

愛する父が息子をそうするように、

おお神々よ、

聖なる草が刈り取られる者たちよ?

2 今どこへ?

あなたがたの目標は天のどこですか、

地ではないのですか?

あなたがたの牛たちは

どこで遊んでいますか?

3 あなたがたの最新の恵みは

どこに示されていますか?

おおマルトよ、

あなたがたの繁栄はどこに?

あなたがたの

すべての高い幸福はどこに?

4 おおマルトよ、

プリシュニが生んだ息子たちよ、

もしあなたがたが死すべき者で、

あなたがたを讃える者が

不死であったなら。

5 それならあなたがたの讃える者は、

牧草地の野獣のように

決して嫌われることはなく、

ヤマの道を歩むこともありません。

6 破壊の疫病が疫病を重ね、

征服しがたいものが

私たちを打ち倒さないように:

それぞれが干ばつとともに私

たちから去りますように。

7 まことに、

ルドラの激しく力強い息子たちは、

風のない雨を

砂漠の場所にさえ送ります。

8 雷は牛のように低く鳴き、

母のように子を追いかけます、

彼らの雨の洪水が解き放たれたとき。

9 彼らが地を水没させるとき、

昼間でも闇を広げます、

水を満載した雨雲とともに。

10 おおマルトよ、

あなたがたの声の音で、

この地上の住処は震え、

そこに住むすべての人が

よろめきます。

11 おおマルトよ、

あなたがたの強い蹄の馬とともに、

コースを妨げられず、

急いでください、

輝く堤防の流れに沿って。

12 あなたがたの車の輪の縁を

しっかりとしてください、

馬と車を安定させてください、

そして手綱がよく作られますように。

13 この歌でここへ招いてください

讃美のために、

祈りの主アグニを、

ミトラのように美しい者を。

14 口の中で讃歌を形作り、

雨雲のように広がってください、

測られた称賛を歌いなさい。

15 マルトの軍勢に栄光を歌いなさい、

讃めに値し、

調和があり、

活力ある者たちに:

ここに強い者たちが

私たちとともに住みますように。




簡単な解説(全体の流れとポイント)

この第38曲は、マルト(嵐の神々)を「激しく力強い息子たち」「雨と雷の与え手」「地を震わせる軍勢」として呼びかけ、彼らの恵み・力・恐怖・保護を求める内容です。カンヴァ家の視点が続き、マルトの遊戯的な側面(鞭の音・牛の鳴き声・雨の洪水)と破壊的な力(山の屈服・闇の広がり)が詩的に交互に描かれています。

•1-3節:マルトを父のように呼び、牛(富・雨)の遊び場や恵みを求める。親しみと切実さ。

•4-6節:もしマルトが死すべき者なら讃える者が不死、という逆説。疫病・干ばつからの保護を祈る。

•7-9節:ルドラの息子として風のない雨を砂漠に送り、雷が子牛を追う母牛のように。雨の恵みと昼間の闇。

•10-12節:声で地を震わせ、強い馬で輝く流れに急ぐ。車の輪・手綱の安定を祈る。

•13-15節:アグニを招き、讃歌を広げ、マルトの軍勢に栄光を歌い、彼らを共に住まわせるよう。

全体として、マルトを「雨の恵みと破壊の両面を持つ戦士集団」として描き、ヴェーダの自然崇拝(雷雨の恐怖と恵み)と戦士信仰が融合した讃歌です。鞭の音や雷の鳴き声などの感覚的な描写が、マルトのダイナミックな存在感を強く印象づけています。


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