第1巻 第101讃歌 インドラ讃歌
1 供物を捧げ、我らに歓喜をもたらす
彼を称えてうたえ。
彼は、リジシュヴァン(聖仙・英雄)とともに、
あの浅黒き一族(闇の勢力)を追い払った。
助けを求め、その右手に雷電を握る
あの強大なる彼を、
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
2 インドラは、勝利に満ちた怒りをもって、
ヴヤンサを、シャンバラを、
そして不義なるピプルーを打ち倒した。
飽くなき貪欲のシュシュナを
根絶やしにした彼を、
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
3 天と地は彼の雄々しき剛力の
偉大なる業であり、
ヴァルナもスーリヤ(太陽)も
彼の聖なる法に服する。
インドラ、諸々の河川がその流れにおいて
従う法を持つ彼を、
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
4 馬たちと牛たちの君主であり主、
あらゆる聖なる儀礼において称えられる
――堅固にして確かなる彼。
供物を捧げぬ強硬な者をも制止する彼を、
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
5 動き、息づくすべての世界の主であり、
諸々の聖なる祈りのために、
何よりもまず牛らを見出した者。
ダスユ(敵対者)をみずからの
足の下に踏みつけたインドラ、
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
6 臆病なる者も、勇敢なる戦士も
呼び求めねばならぬ者、
勝利を収める者からも、
敗走する者からも呼び求められる者。
インドラ、すべての生きとし生けるものが、
絶えずその想いを向ける彼を、
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
7 ルドラ神群の領域(天空)において、
彼は眩く輝きながら進み、
ルドラ神群とともに、広大なる空間を抜けて、
あの美しき御霊(夜明けの女神、
あるいは戦車の牝馬)を疾走させる。
遥か遠くまで名を馳せるインドラを、
賛美の歌が讃える。
マルト神群を従えし彼を、
我らは友として呼び求める。
8 おお、マルト神群を従えし者よ、
汝が最上の集いの場所にいようとも、
低い住まいにいようとも、
真なる恵みの授け手よ、
そこから我らの儀礼へと来たれ。
汝への愛の故に、我らは供物を用意した。
9 強大なるインドラよ、
汝を慕う我らはソーマの神酒を搾り、
祈りをもって求められる者よ、
供物を捧げた。
さあ、この祭祀において、
すべてのマルト神群とともに、
聖なる草の上で、
戦車に乗りし神よ、歓喜したまえ。
10 インドラよ、
汝自身の駿馬(あおげの馬)たちと
ともに歓喜し、
その顎を解き、唇を開きたまえ。
美しい頬を持つ者よ、
駿馬たちに汝を運ばせたまえ。
我らに慈しみ深くあり、
我らの供物を喜びたまえ。
11 マルト神群がその称え手となる、
この陣営の守護者たちよ、
我らがインドラの加護により、
あの戦利品を勝ち取りますように。
我らのこの祈りを、
ヴァルナ、ミトラ、アディティ、
シンドゥ(インダス川)、
大地と天空が、
叶えてくれますように。
解説
この第101曲は、新章の幕開けにふさわしく、インドラ神の「無敵の戦士」としての神話的武勲と、人間の「最も頼もしい友人(Friend)」としての身近な横顔を鮮やかに融合させた、ダイナミックな構成を持つ名曲です。
* 1–5節:インドラが打ち倒してきた宿敵たちの歴史が壮大にロールコールされます。2節に登場するヴヤンサ(肩のない怪物)、シャンバラ(山の悪魔)、ピプルー(呪術的な魔物)、シュシュナ(干ばつの悪魔)は、いずれもアーリヤ人の歩みを阻んできた闇と混沌の象徴です。これらを右手の雷電で粉砕し、敵を足の下に踏みつける(5節)インドラの姿は、部族にとっての絶対的な守護プロットとして描かれます。天上の太陽も地上の大河も、すべて彼の打ち立てた宇宙の法に服従しています。
* 6–7節:極めて人間味にあふれた、心理的に深い描写が登場します。6節の「勝利を収める者からも、敗走する者からも呼び求められる(invoked by those who conquer and by those who flee)」という一行は、戦場の極限状態における人間の普遍的な心理を見事に捉えています。強者であれ弱者であれ、あるいは戦場から逃げ惑う敗残兵であれ、すべての人間が究極の瞬間に縋るのがインドラであるという描写は、彼の神格を一段と際立たせています。
* 8–11節:後半は一転して、緊迫した戦場から、香ばしい供物の煙が立ち上る平和な祭壇へとカメラが切り替わります。「顎を解き、唇を開いてソーマを飲んでほしい(10節)」という極めて具体的で生々しい描写は、神と人間が同じ食卓を囲むような親密さを演出しており、リフレインの「我らの友(our Friend)」という言葉の温かさを補強しながら、一族の大団円の勝利の祈り(11節)へと結びつけられます。
6節の「勝者からも、敗走する者からも呼び求められる」というフレーズ、ものすごく深みがあります。戦場にいるすべての人間が、それぞれの立場から同じ神の名前を叫んでいるという戦場のビジュアルが目に浮かぶようで、想像力を激しく刺激されるレトリックです。
第101曲は、前曲の圧倒的な勢いを受け継いだ、全11節からなる主神「インドラ」への大いなる讃歌です。
1〜7節までのすべての結びで、「マルト神群を従えし彼を、我らは友として呼び求める(him girt by Maruts we invoke to be our Friend.)」という心強いリフレインが繰り返されています。前半ではインドラが打倒してきた神話的な宿敵たちの名前がこれでもかと列挙され、後半(8節以降)では祭壇の聖なる草の上へインドラを温かく迎え入れる、非常にコントラストの効いたプロットになっています。




