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《殲滅の魔女》は虚弱体質 〜魔力無限の最強魔導師ですが、コミュ障なので学園潜入任務はお断りしたいです〜  作者: ことりとりとん


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69.秘密のつらさ



 帰還後、下手にルーレストと話すと学生キアラと同一人物だとバレるので、アズーラ中尉と早々に撤収する。


「しかし、レンツァー師の動きを止めるとは、さすが魔族ですね。

 いつものように魔獣を相手にするのとは、また違いましたか」


「……はぃ。難しい、です」


「しかし、最後の一撃はかなり効果があったように見えました。獣の形をしている以上、やはり炎は怖いのでしょうか」


「……そぅ、かも、しれませんね」


 実際は炎が怖いのではなく魔王に言われたから帰っただけだが、そんなことはアズーラ中尉には分からない。


 今まで、キアラ・レンツァーが極秘任務で学園に潜入している時は、何か困ったことがあればアズーラ中尉に相談出来た。


 でも、魔王の秘密は、誰にも相談出来ない。


 魔族のみんなはキアラが魔王だと知っているけれど、彼らはニンゲンの都合は分からないので、相談は出来ないのだ。


 誰にも言えない秘密を抱えて、周りの人を騙しながら生きるのは、キアラにはあまりにもつらい。


 (……でも、仕方ないんだ。

 魔王として生きれば、秘密にしなくても良くなる。

 でも、それはここから居なくなることだから。

 ……私は、やっぱり、ここに居たい)


 魔王になってしまえば、ラクかもしれない。

 魔王城だって、長く居れば友だちもできて、いい所だと思うかもしれない。


 (でも、私は、ここに居たい)


 キアラは、魔法学園が好きだ。

 そして、そこで出会った人達が好き。


 クラスメイトや生徒会、手芸部の先輩たち。

 そして、魔法兵団のアズーラ中尉や団長も、キアラの大切な人になっている。


 その人たちと一緒に居るためなら、キアラは秘密を抱えていられる、と思う。


 けれど、実際問題、キアラと仲の良いルーレストと魔族が、目の前で戦うさまを見てしまった。

 今回は何とかいい感じにまとめられたけれど、毎回こうはいかないだろう。


 どういう流れになるのかを知って、対策を立てないと。


「……魔王戦、って、どうなるんですか?」


「基本的には、拠点で戦うことを目指します。魔族を3~5人ほど倒せば、魔王が出てくることがほとんどです。

 魔境の奥深くまで行くのは大変なので、その消耗を考えたら、基本的には『魔王が出てくるまで待つ』という方針になりますね」


「……もし、出てこなかったら、どうなりますか」


 少なくとも、今代魔王はわざわざ戦いに行こうとは絶対にしない。


「その場合、魔王城まで行くことになりますね。人間の魔境での活動限界は6時間程度ですから、第4拠点から飛行術で飛んで行きます。

 実際の戦闘にかけられる時間は4時間ほどになりますが、その程度の時間があれば決着は付くようですね」


「……じゃあ、なんで、魔王城に行かないんですか?」


「勇者が倒される危険が非常に高まるからです。今まで、魔王が完全復活した時は全て勇者が倒された時で、それはほとんどが魔王城での決戦時のことです。

 魔王を殺せるのは勇者だけですから、虎の子の勇者をなるべく守ろうとしています」


「……なるほど」


「いずれにせよ、まだ時間はかかります。その間、レンツァー師には同行任務が下されますから、学園任務との調整を含め大変だと思いますが、よろしくお願いします」


「……はぃ」


 キアラとしては、自分の居ない所で魔族とルーレストが戦って欲しくない。

 自分が居れば、今日みたいにそこそこの雰囲気と盛り上がりを作ってそれっぽい感じに出来ると思う。


 それをやったとて、根本的な解決にはならないし、いつかルーレストと一緒に魔王城を攻めることになるのかもしれない。


 でも、キアラはなるべく今のこの楽しい時間を長く守りたいと思っていた。


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