元素の魔神VSリリー&ラスティ2
魔神が杖の先をこちらに向け、その瞬間、空中に浮かんでいた剣がすべて私に向かって飛んでくる。
「"魂の開放”」
剣はおそらく土元素で作り、それを操作して飛ばしてきている。
金属で形成された剣は純粋に物質としての強度が高く、魔術によって剣自体を破壊して攻撃を凌ぐのは難しいだろう。
それが"魂の開放”のような比較的威力の低い術であれば、なおさらのことだ。
だが、あえて私は最も素早く、数を撃てるこの魔術を使った。
私の目の前の地面から上空に向かって霊魂が放たれる。
「その程度の威力であーしの魔術が相殺できるとでも?」
魔神の言う通り、これで剣を止めることは不可能。
だからこそ、剣に直接ぶつけるように使い方はしない。
「”連鎖”!」
目の前の地面から放出される霊魂の両隣から、さらに霊魂が上空へと放出された。
私が杖を地面に突き、魔力を送り続けるとそれは連なるように次々に広がっていく。
連鎖的に噴火していく火山のように、次々に地面から霊魂が吹き出して、壁のように私の眼前を覆った。
「なるほど、相殺できないからちょっとは工夫したわけね。確かにこれであーしからはあんたの位置が分からない。けれど、死霊術師であるあんたはあーしの位置を魔術で特定できているはずだ」
そう、この霊魂の壁は攻防一体の魔術。
魔術の相殺はできずとも魔神は私に攻撃を当てることが難しく、私は霊魂を操作して魔神に攻撃を仕掛けることができる。
「手応えなし、ね」
魔神の放った剣が私の元いた位置の後方に次々と突き刺さる。
当然、私はすでに元の位置から移動していた。
その剣が当たることはない。
「さっきの元素術師も結構なもんだと思ったけど、あんたもなかなかやるじゃん。でも、避けられない規模の魔術を撃てば……」
そう来ることは分かっていた。
魔神の力で辺り一面を薙ぎ払ってしまえば相手が見えないことなど関係ない。
しかし、魔神と言えど高威力の魔術を使うには少し時間がかかるはず。
少なくとも力の魔神は大技の前には少しとはいえ溜めの動作があった。
だから、攻撃させる隙を与えなければ良いのだ。
「”掃射”!」
私は壁にしていた霊魂を一斉に、魔神の方向へと倒していく。
「ちっ、これも見越しての魔術だったってわけね……」
横一列に壁のようになっている霊魂が倒れ込んでくれば、魔神に逃げ場はない。
魔神は飛べることが分かっているが、倒れ込んでくる壁であれば上空へと逃げる選択肢を消すことができる。
そのために、私は壁を作り出したのだ。
これは、ルドーさんの戦い方を見て思いついたものだった。
だが……
「"爆発”」
魔神が魔術を唱えた瞬間、小規模な爆発が起こる。
魔神に向かって倒れていっていた霊魂の壁の一部は、その爆発の威力によって吹き飛ばされてしまった。
すぐに私はその部分を修復しようと試みるが、爆発は連続して起こっていて壁を修復することができない。
「確かに悪くない作戦だけど、単純に威力が足んないね」
やはり、魔神の魔術のほうが威力は高く、霊魂で爆発を消すことはできない。
これでは壁が倒れきったとしても魔神の位置には穴が空いていて何のダメージもないだろう。
だから、私は魔力を送るのをやめて、霊魂の壁をすべて消した。
「諦めたってこ……」
これまで、倒れ込んでくる壁に対処するために魔神は上を向いていた。
だからこそ気づかなかった。
壁とともに跳んできていたラスティに。
「なっ!」




