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元素の魔神VSリリー&ラスティ3

「なっ!」


 すでにラスティは魔神を攻撃圏内に捉えていた。

 あと数歩でラスティの攻撃が魔神に届く位置だ。


 ……そう、私たちは最初からこれを狙っていた!

 霊魂の壁はすべて魔神の注意を逸らすための作戦に過ぎない。


 魔神は先程まで爆発の魔術を使っていたし、霊魂の壁が解除されたことで気を抜いて隙ができているはず。

 そして、元素術と強化術では強化術の方が発動は圧倒的に早い。


 つまり、魔神が何の魔術の準備もしていない今、魔神とラスティの位置関係であれば、ラスティの方が間違いなく早く魔神に攻撃を届かせることができる!


「ラスティ!」

「任せておいて!」

「クソッ、ここまで全部作戦だったのかッ!?」


 ラスティが踏み込む。

 強化術によって強化された脚の瞬発力は尋常ではない。


 このまま行けば魔術を唱えておらず動揺する魔神を確実に倒せる。


 ――はずだった。


「”戻れ”」


 魔神は、ただそう唱えた。


 ……そこから、私の目に映る景色はスローモーションに見えた。


 魔神に向かって飛び出したラスティの背後から、高速で剣が飛んでくる。

 あの剣は、魔神が最初に私に向かって放った剣だ。


 確かに、魔神は今から元素術で新たな魔術を唱える余裕はなかった。

 しかし、魔神は最初の剣を作り出した魔術をずっと解除していなかったのだ。

 一から元素術で創造するのと、すでに創造されたものを操作するのでは、圧倒的に後者のほうが素早く行える。


 それこそ、強化術と同等の速度で。


 これは、剣が消えていないことに気づかなかった私の落ち度だ。



 そして、そのまま剣は、ラスティの胸を貫いて、地面に刺さった……



「ラスティィィィ!!!!」


 剣によって地面に縫い留められたラスティを前に、魔神が口を開く。


「危なかった……。あーしがやってきた戦いの中で一番危なかったかもしんない。ほんと、ひやひやしたよ」


 もはや、私には魔神が何を喋っているかなどどうでも良かった。


 ただ、ラスティが無事であるかどうかだけが心配だった。

 ラスティが死ぬなんて信じたくない。


 だけど……明らかにあの剣は心臓を貫いている……

 無事なわけがない……


 頭が……痛い……


「ラスティ……ラスティ……!」


 私はとにかくラスティに向かって駆け出した。

 だけど、砂を踏み、灰を踏み、私の足は取られて転んでしまう。


 そうして顔を上げれば、魔神がこちらを見ていた。

 胸の前に掲げた手の先には、炎の球が浮かんでいる。


「よくやったと思うけど、あーしには届かない」


 何の感情も感じ取れない魔神の目を見て、私は怒りを覚えた。


 ――何故、私の大切なものを奪っていくんだ……!


 なぜ。

 なぜ?

 なぜ!?


「じゃあね」


 私に向かって放たれる炎の球。


 だが、私の心の中にあったのは死に行く恐怖などではない。

 ただ、怒りだけが心を支配していた。

 この眼前に迫る炎のように。



 ――そこで、私は意識を失った。


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