表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された「帳簿の令嬢」は、十年分の記録で王国を詰ませる  作者: 青雨あき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/16

第四話 王宮会計監査室、爆誕

ミレーヌ様の証言は、想像より深刻だった。


モルダート商会の男が男爵家に出入りし、殿下の予定、警備の配置、王宮の間取りまで報告させられていたこと。断れば家を潰すと脅されていたこと。


 証言はすべて記録し、彼女の署名を取り、写しを三部作って別々の場所に保管した。

原本はお父様経由で、国王陛下へ。



 ――そして、監査の日。


 王宮の大会議室。国王陛下、宰相閣下、財務卿、そして顔面蒼白の王太子殿下。

わたくしは監査人補佐として末席に座り、帳簿の山と共にその時を待った。



「グランフェルト公爵令嬢。そなたの記録と、王太子府の帳簿に、齟齬が三百件以上あると聞くが」


 陛下の声は重い。わたくしは立ち上がり、一礼した。


「はい、陛下。ですが本日申し上げたいのは、殿下の浪費ではございません。浪費は――囮ですわ」


 会議室がどよめく。わたくしはページを開く。

「王太子府の支出のうち、隣国系商会に流れた総額は二千三百万リル。うち市場価格との差額、およそ八百万リルの行方が不明です。同時期に、王宮警備の配置図が隣国に渡った疑いがある。つまりこれは浪費事件ではなく――国庫を経由した、諜報資金の洗浄です」


「馬鹿な! 私は、私はただミレーヌに……!」


 殿下が立ち上がりかけ、陛下の一睨みで崩れ落ちる。財務卿が震える手で帳簿をめくり、呻いた。


「照合が……完璧だ。日付、金額、証憑、すべて揃っている。我が財務府の記録より、正確ですぞ……」



 陛下は長く目を閉じ、開いた。


「グランフェルト公。娘御の帳簿を国事とする。本日をもって王宮会計監査室を設置。監査室付き筆頭に――エルディア・グランフェルトを任ずる」


 ……あら。わたくし、婚約破棄されたばかりの傷心の令嬢なのですけれど。


 まあ、よろしくてよ。帳簿がわたくしを呼んでいますもの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ