閑話 (聖女視点
遅くなりました。
ヴィー達と別れてこれから住む事になる聖女の部屋に案内され、私付きになった侍女のビアンカさんから一通り部屋の説明を受けた。
彼女は以前神殿で働いていて令嬢教育経験もあるそうで、この国の礼儀作法とか色々教えてくれそうだ。
王城内に用意されている歴代聖女の部屋は居間と執務室、そして寝室と奥にはお風呂とトイレがついていてかなりの広さで最高級のスィートルームというか以前テレビで見たヴェルサイユ宮殿みたく絢爛豪華の一言。
落ち着いたクリーム色の壁にかけられたこの国であろう白亜の王城の風景画、季節により魔術で適温に温度管理されているので暖炉は飾りだそう。
窓のカーテンや家具は気に入らなけば好みで変えて良いと言われたけれど、貧乏性の私は断った。
王城で働く人の仕事を増やしてしまうし、何より余計なお金が使われた上に撤去する家具が何処かにおし込められるのもモッタイナイ。
以前住んでいた8畳ワンルームとは雲泥の差だ。
猫脚のバスタブの蛇口は魔石をはめ込まれていて、魔法使えなくても魔力持ちな人が触れば日本での生活感覚で設定されている温度のお湯は出るしトイレはどういう仕組みなのかボタン押したら消えてなくなる仕組みで更にクリーン魔法が付随されるようで何とトイレットペーパー要らずと便利過ぎ!!!
執務室には宰相室か?と思わせるかなりの量の本があり、立派な机に座りこごち良さそうな椅子がある。
後で文字が読めるか確認したい。
居間にあるアンティークのソファーには刺繍されたフカフカクッションが並べられ、前には豪奢なテーブルが置かれている。
寝室は憧れの天蓋付きのお姫様ベッド、クイーンサイズで寝台部分が私の身長だと少し高くてよじ登らないといけないな…と考えたら後から来た侍女の方がさり気なく足台置いてくれた……デキル侍女ビアンカさん。
テーブル挟んで蓮と座ってたら、何も言わなくても用意されたアフタヌーンの3段スタンドに軽食と菓子が盛られたのが置かれ先程と違う良い香りのする紅茶が出された。
ティーセットはさすが王城、細工も素晴らしくめっちゃ高そうなのでウッカリ割らないよう細心の注意が必要だ。
説明が終わる頃に魔術師団長のリカルドと名乗るイケメンさんが来て、私達が異世界から持ってきたカバンの中身を見せてくれと懇願された。
代々聖女様が異世界から持ち込んだ文明の知恵や利器は王家の禁書に記される事になるそうだ。
その場で見せたスマホやタブレットに興味を持ったリカルドさんが詳しく話を聞きたいとテンション高く言われ苦笑……近いうちに機会を設けますからと言って出ていき、流石に疲れたので寝る前ビアンカさんに暫く蓮と2人きりにして欲しいと頼むと呼ぶ時はこのボタンを押してくださいと言い出ていった。
魔法使えなくても押すだけで王城内の何処に居てもビアンカさんにベルが聞えるとか凄いなぁ。
因みに24時間交代制で別の侍女さんに移る?そうで、設定とかどんな仕組みなんだろう?後で聞いてみたい。
婚約者でも部屋に2人きりには出来ないとかで、薄く扉は開いている。
部屋のドア前に警備の兵士の方がいて、扉越しにビタッと聞き耳はたてられてはないだろうけれど、イザという時は駆けつけられるようにはなってる訳で、蓮は向かいから私の隣に移動し顔を寄せ小声で話す。
「ねぇ蓮…どう?」
「やっぱり○MSと○INEは使えないな」
「……アンテナ立ってないやんて」
思わずビシッと怪しい関西弁でツッコミいれてしまう。
「ゴホン……離れたら連絡手段ないのは辛いわね。
ヴィーが魔術が使えたら伝書鳩ならぬ伝蝶で、
魔法が使えたら魔石アクセサリーを通じ『念話』で連絡取れるって言ってたから早く習得したいな」
お互いスマホを取り出しじっと見つめる…当然!?異世界にアンテナはないのでネットも電話も使えない。
しかし○ndroidの○Dカードや○Phoneオフラインでも使えるアプリなどは起動出来るので、ダウンロードしている物が見れるのは嬉しい。
「だな……しかしまさかあいつが異世界転生してたとは。
良かったな、また会えて」
「うん、あんな形で突然別れる事になって辛かった。
こちらではヴィーかぁ…銀髪紫眼モデル並みに綺麗で羨まけしからんボディ……乙女ゲームの悪役令嬢っぽいけど蓮が知ってるゲームでは違うよね?後、浮気しないでね?」
実はヴィーのビジュアルが蓮の好みドンピシャなのを知っていたりする……海外のディーヴァで金髪碧眼だったけど見目がソックリ。
蓮曰く歌だけだよ…って言ってたけど、それだったら部屋にポスター貼る必要ないよね?
「あいつだけでなく他の女も絶対にないから安心しろ」
「ありがとう。
だけど蓮は私に巻き込まれて大切な家族と離れ離れになってしまった……本当にごめんね」
私は小さい頃に交通事故で両親失った。
交際すら反対されて駆け落ちしたとかで親戚との交流もなく天涯孤独になったのだけど、今まで生きてきた世界に二度と還れないんだと思うとこらえてた涙がハラハラと止まらない。
頭を撫でてくれる蓮はいつも私に優しい。
仲の良かった家族が突然いなくなる……彼の家族に申し訳ないとは思うけれど異世界転移も蓮と一緒だから耐えられると複雑だ。
更に失った大親友までこちらに転生してくれてたなんて……。
「いやお前が世界から消えてしまう位ならこちらを選ぶ。
幼なじみと死別した上に、茉莉亜まで突然いなくなったら……一緒で良かったよ」
さり気なく抱きしめてくれた蓮とこちらにいてくれた親友、聖女としてこの世界で頑張っていこうと思った。
☆☆☆☆☆☆☆
夜になり蓮は隣の部屋に移動、ビアンカさんに湯浴みの用意して貰い1人になりたかったので手伝いは断った。
お風呂くらいのんびりゆったり入りたい。
バスタブの縁に温めて丸めたタオルをバスピロー代わりにしてぼーっと天井を見てたらうっかりブクブクと寝落ち溺れかけてビアンカさんを慌てさせてしまった。
お風呂上がり火と風魔法の応用で髪を乾かして貰い(超便利だ)髪をブラシですきながら最後は冷風でツヤツヤに。
寝衣は繊細な刺繍とレースと肌触りの良い物で着替えや顔の保湿までいたれりつくせりお手伝いして貰いとお姫様気分……いや聖女様かこの私が。
フカフカの寝台(足台ありがたかった)で落ちつき、精神的にも疲労あったようで意識を失うように寝てしまった。
目が覚めたら夢だった?……いや現実だった。
乙女ゲームやラノベのヒロインみたく召喚された聖女として王城に住む事になろうとは誰が想像出来るだろう?
ビアンカさんが用意した寝台の上でアーリーモーニングティーしながらヴィーと早く逢いたいなと思った。
宜しくお願いします。




