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遅くなりました。


 王立ヴィルム魔法学園。

 建物は王城の白亜の城と対をなす漆黒の城で外観はほぼ同じだが勿論内部はかなり違う。


 15〜18才までの子女が3年間で魔法、魔術、戦闘、領地経営そして社交に必要なマナーやダンスを学べ、貴族だけでなく数は少ないが平民も通えるこの世界唯一の魔法学園である。


 北側の樹海を背にぐるりと高い壁で隔て、森部分に研究機関である院や荒野部分に騎士団の訓練所、学園生が魔法や戦う実践の場としてコロッセオと王家の始祖が制作したダンジョンなど第1から8の通称『オクタグラムエリア』と分かれていて広大な敷地を誇る。


 ダンジョンは魔術師団が管理しているのだが、地下最奥には現国王陛下のドラゴンがラスボスとして鎮座していると云われているのだが真実を知るものは国王陛下と少数の高位貴族、S級の最終試験との噂もある。


 優秀な学園卒業生はこの世界のトップクラスエリートとして王国のみならず他国の高級官僚にスカウトされる事例があるので、留学先としても人気があるがその試験は超難関。


 魔力のある平民は国が管理し入学。

 魔力のない平民でも文官クラス1択の受験になるが特待生として全て無償なのでスラムの底辺から才覚のみで成り上がるチャンスを貰える…がそもそも超難関で1学年に1人いるかいないか。


 原則として学園生は皆入寮しなければならない。

 王侯貴族、平民、留学生、他国の王族だとしても学園内では身分関係なく皆平等であると謳われている。

 しかし寮の室内では自室と同じ扱いになり格差は存在していて無用なトラブルを避ける為に寮は貴族棟と平民棟に分かれている。


 王族は従僕と侍女各1名、爵位持ちと平民でも裕福な商家などが侍女もしくは従僕1名つけれるがそれはあくまでも寮の部屋付きなので、学園エリアには行くことが出来ない。

 

 部屋の掃除は各部屋で管理されるが、貴族棟の共有部分と平民棟は清掃業者が管理していて平民は合鍵を預けるとその都度無料で掃除して貰えるようになっている。


 食事は寮の食堂に大収容のカフェテラスがありどちらもブッフェ方式で魔力ある平民と特待生は無料。

 小規模であるが街があり、王家御用達店からおしゃれな雑貨店、カフェテラスなど学園生は自由に利用出来るようになっていて学園内で必要な物は全てここで賄える。


 

☆☆☆☆☆☆☆



 コンコンコン、ガチャ、シャー、シャー…

 カーテンの音が聞こえる…


「ヴィー様おはようございます。

 良い天気ですよ」


「おはようハンナ。ん〜〜〜」


 寝台の上で伸びをしながら、答えます。


「今朝の紅茶はアーッサムのダジリンティです」


「ん〜いい香りね。スッキリとした味わいで美味しいわ。

 暫くハンナのお茶が飲めないわね」


 入学園式に相応しく晴天。

 もし雨天予報だとしても魔法でなんとかなるのだけれども。

 

「ラウラに超特訓しましたから、変わらない味お約束します。

 ヴィー様、昨夜遅くアルベルト様も寮でなくこちらへ戻りましたので朝食は家族の皆様勢揃いになります」


「まぁ…どうせ入学園式で会うのに。

 家族揃っての朝食の為に無理してくれたのねアル兄様」


 紅茶を飲み干しハンナにカップを渡します。

 

「ルーティンのヨガウェア用意してますが、これで宜しいですか?」


「あら新作のウェアなのね…このウエアの色違い欲しいわ。

 温室でフランジパニの香りも学園ではオイルのみになるから生花堪能しないと…」


「はい、ヴィー様、こちらから時々生花も届けますよ。

 ブーケにまとめて魔法でオブジェにして貰いましょうか?」


「それ良いわね。

 楽しみにしてるわ」


 ウェアに着換え髪は高め位置のお団子に纏めて貰います。

 身体を解すストレッチし、太陽礼拝から屍のポーズまでいつものルーティンこなします。


 「わぁ〜素敵ね!!!入るのが勿体ない…」


 ハンナ渾身のフラワーバスアートに思わず「ホゥ…」と見とれてしまいます。

 

「入ってこそですよヴィー様。

 少し熱めにしてますので気をつけて入って下さい」


 汗を軽くシャワーで流してソロリと湯船に入ります。

 学園寮にはシャワーしかついてないのでゆっくり堪能する事にしました。


「ん〜良い香りだわ」


 保湿パックをつけてヘッドマッサージして貰い一瞬天国に行きかけました。

 はぁ極楽極楽…とつい前世の言葉が出てしまいました。

 マッサージも超特訓していてここ最近ラウラが青い顔してフラフラしていた原因が判明。

 ハンナ鬼軍曹モード怖いものねと一瞬スナギツネ顔になり。

 

 ふと昨夜の事を思い出し、茉莉亜と蓮は無理に転移させられたのだから気遣いしなければ…そうだマッサージ受けてもらうのも良いかもと考えていると…


「所でヴィー様、聖女様とその婚約者様が降臨されたそうですが、どんな方ですか?」


「とても良い方達よ。

 お2人には不自由ないよう気を配りたいの。

 休暇の時ここに招待したいわ。

 その時はハンナにマッサージお願いするわね?」


「はい。

 ヴィー様がお世話係なのですから事前に良い準備したいと思います。

 お好みとか事前に知らせて頂けますと色々取り寄せます」


「分かったわ」


 保湿マスクを外して猫脚浴槽から出、バスローブをかけて再度顔を保湿クリームで整えた後魔法を使い髪を乾かします。

 ハンナは火と風の魔法が使えるので程よく乾かし最後に冷風でツヤツヤのストレートロングに。 


「さてヴィー様、朝食のドレスにお着替えを。

 昨日届いたフレンチ公国最新のドレスですよ」


 ラウラが抱えて持ってきたのは薄いピンクの可愛いドレス。

 ヴィルム王国の王妃殿下が夜会で倒れたわたくしに気遣いお見舞いに下さったのですが、サイズがピッタリなのが怖い。


 それはさておきAラインのウエスト部分に切り替え、そこから足首まで薄い生地を重ねたフレアスカートにフレンチ公国王家御用達人気で中々手に入らないと言われる白い繊細なレース、鎖骨が綺麗に見える胸元にはコサージュの白バラ…これリヴァルド殿下のお印じゃなかったっけ?いや深くは考えまいスルー。

 お高そうなことだけは分かります。


 髪型は制服に着替える時にキチンとして貰うので、今は軽く緩めのハーフアップにして貰いバレッタでとめています。

 朝食のダイニングに向かっていると…


「おはようヴィー、初めて見るドレスだね。似合ってるよ」


「おはようアル兄様、王妃殿下からお見舞いに頂きましたの」


 そこへ父上と母上合流。  


「おはようヴィーちゃん。良く似合ってるわ」


「おはようヴィー。

 ドレス似合ってるけれど、胸の白バラは要らないんじゃないかな?」


「あら、王妃殿下のプレゼントのドレスにセットで届いてるのよ?付けなきゃ駄目よ」


「…」


 家族揃っての朝食はテスト明けの休暇までないので、楽しむ事にしましょう。


 最後の晩餐ならぬ朝食は我が家の料理長渾身の作で美味しくいただきました。


宜しくお願いします。

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