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58 会議

 このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。

 「さっさと始めるぞ、総理」

 田中がそう言うと、会議室の空気が一気に重くなった。王は夢葉の服を軽く引き、耳元に口を近づけた。

 (なあ、言ったろ?恐くてもう帰りたい……!)

 「聞こえてるぞ、餓鬼(がき)

 田中がそう言うと、王は一気に夢葉との距離を置き、直立不動となった。膝は生まれたての小鹿のように震えていた。

 「……まだ、各国の“レジェンダリ”は揃っていないのか……」

 「レジェンダリ……?」

 夢葉は思わず反芻してしまう。

 「風間さん」

 田中は風に視線を向ける。

 「俺は暇じゃない。出来れば物事を円滑に合理的に行いたい。本会議で必要最低限の情報は新入りだろうが把握させてもらいたい」

 「……すみません。神楽ちゃん。レジェンダリというのはね……」

 「待ってください!」

 風間との会話を夢葉は遮った。

 「田中先輩!私は夫丈高校のOBです!貴方がどれほどの人間だったかを知っています。貴方のような人がどうしてしまったのですか!」

 夢葉は田中に向かって言葉を並べるが、田中には響いていない様子だった。

 「止してくれ」

 そこに炎丈鉄郎(えんじょうてつろいう)が現れ、夢葉を止めた。

 「アイツが変わったのは、百目鬼のせいなんだ。アイツの両親は百目鬼の災害に巻き込まれ亡くなったんだよ。それにアイツの大切な人も……。アイツは今、時間に囚われているんだ。あまりアイツを疲れさせるな。不眠症なんだ」

 炎丈はそう言うと、田中の元へ歩いていった。

 「……そういうことなんだ。話を続けてもいいかな?」

 風間にそう言われ、夢葉は静かに頷いた。

 「君は海外にも恩寵のような力を持っている人がいたのは、知っているよね?」

 夢葉は先ほど同様に頷いた。

 「海外では、彼らをミュータントと呼び、日本で言う自警団(ヴィジランテ)と同じように役職を与えた。そして、政府や国家に最も多大な貢献をした人物をレジェンダリとして、表彰するようになったんだ。日本で言う公務員ランキングのナンバーワンってところかな」

 「なるほど……。ここに田中先輩がいる理由ってまさか?」

 「うん。彼が一応日本のレジェンダリ扱いだね。それに、彼はベストロン計画に携わっているからね」

 「説明はそれくらいでいいだろ」

 田中の発言によって、二人の会話は終わってしまった。どうやら、役者が揃ったようだった。

 「これから、ベストロン計画の緊急会議を行います。……キャプテン・スターライトは自由ですね……」

 心田がそう言うと、アメリカの首脳は大声で笑った。

 「彼女は自由が売りなのさ!まァ、別に彼女がいなくても物事は進む!」

 アメリカの首脳はそう言うと、田中を見つめた。田中は表情一つ変えなかった。むしろ眉間の皺が深くなっていた。アメリカの首脳の額には汗が一滴流れた。

 「おい!そんなことよりも早く議論をしよう」

 声をあげたのは、イギリスのレジェンダリのエンシェント=ジェントルだった。

 「そうだ!我々は愉しくおしゃべりするために集まったのではない!」

 ドイツのレジェンダリのアトミアル=テュールが机を叩きながら言い放った。

 「では先ず、各国のベストロンの出現情報を提示しよう。風間さん」

 「はい、日本では先日、10体目の氷を纏ったベストロンに遭遇しました。恐らく同じ製造者だと思われます」

 風間が言い終えると、首脳たちの間でひそひそと会話が聞こえた。

 「もう10体目か……。既にジャパンにまで被害が出ているようだな。ドイツでは、革命のように日々ベストロンが現れるがな!」

 「イギリスも同じく」

 イギリスの首脳はそう言うと、中国を指差した。

 「ベストロンの製造元はチャイナだよね?お宅らが裏で糸引いてるんじゃないの?」

 イギリスの首脳にそう言われ、中国の首脳は机を叩き、怒号を挙げた。

 「こちらはあくまで体だけだ!コアの開発は、ジャパンなはずだろ!!」

 「何度言わせれば良いんだ……?」

 田中の発言に、一瞬にして沈黙が訪れた。

 「どの国も既に製造を中止している時点で、国単体の行動ではないのは明らかだろ。恐らくこれはベストロン自身の行動だ。それに加え、国ではなく個人でベストロンに協力している者がいる」

 「誰なんだ?」

 アメリカの首脳がそう聞くと、田中は首を横に振った。

 「まだ分からない。そこで俺から頼みたいことがある。……先日、ここにいる風間さんがベストロンに有効な手立てを見出した。それは“歴史に残らない名刀”と呼ばれている武器だということだ。そして、俺の友人たちの尽力で、その名刀が4つあり、その内3つの居場所を突き止めた。今、その情報を転送する」

 田中はそう言うと、各国に情報を転送した。

 「これは……、また、面白いものを見つけて来たね」

 エンシェント=ジェントルがそう言うと、アトミアル=テュールは手を叩いて笑い出した。

 「エクスカリバーにティーチとは!!ガッハッハッハ!!」

 田中は表情を変えない。

 「大マジだ。どれも確証はないが存在している代物だ。エンシェント。エクスカリバーの調査を風間さんのグループと共にお願いしたい。それにアトミアル。お前にも妖刀ティーチについて協力して貰いたい」

 「……まあ、それしか手掛かりがないなら、しょうがないな」

 アトミアル=テュールはそう言うと、硬貨を弄りだして黙りこくってしまった。

 「皆さん、頼みます」

 田中はそう言うと、席から立ちあがり、去って行ってしまった。

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