57 風間雄太
このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。
私が五十嵐衂漉に出逢ったのは、私がまだ19歳で新人警官だった頃だった。風間と五十嵐は同い年で同期であり、同じ交番に勤務していた。風間たち二人は警官内では問題児として、かなり有名であった。
当時も夫丈高校や大都帝国学院には、公安科が存在しており、高校卒業後に直ぐに警官になることができる。風間は大都帝国学院出身で、五十嵐は夫丈高校の出身だった。
初めは、お互い喧嘩ばかりであったが、境遇が似ているということで仲良くなった。しかし、そんな中、1989年。日本最大の人災事件が起きた。“出雲百目鬼災害”自衛隊や全国の殆どの警官が総動員したが、被害は甚大であった。そんな中、この事件において多大なる貢献をした人物が二人いた。それが風間と五十嵐であった。この二人が百目鬼拳武に対しての決定打を放ったのだった。二人は一躍英雄と囃されて、瞬く間に有名になった。また、二人は次々と活躍していった。
そして、2000年のある日のことだった。風間と五十嵐は公安として、秘密裏に海外とコンタクトをとっていた。そんな中、南極調査の任務が日本の公安に舞い込んできた。できるだけ少人数でとのことだったので、風間と五十嵐が名乗り出た。
そして、南極へ向かうと、そこにはベストロンがいた。ベストロンの力は強大で、風間は氷漬けになり、五十嵐は止む無く日本へ帰還したのだった。その後、風間は海に流され、南国の国へ流され、そこで数年過ごした後、風間は日本に戻った。氷漬けにされた際に、歳は取っていなかった。
「一つ質問良いですか?」
風間が一通り言い終えた後、夢葉は小さく手を挙げた。
「2000年だとベストロンはまだ製造されていないのではないでしょうか?」
「そうだね。まあ、正確にはまだベストロンではないね。まだ試作の段階だね。実はベストロン計画は、かなり前から始動していたんだ。田中雫君を知っているかな?」
夢葉は頷いた。
「彼の父親がベストロン計画のリーダーとなって、行っていたんだ。時代で言えば、1998年ぐらいかな?兎に角、これで私が若々しいか分かったかな?」
「まだ聞きたいことがあります。その日本刀。確か風間さんの恩寵は、“変速”。炎とは無縁の恩寵なはずです」
「ああ、これか」
風間がそう言うと、日本刀を抜いた。刀身は全体的に赤く、普通の日本刀に比べ、刃が薄かった。
「この刀は、夜桜。刀身自身に炎が宿っているいわゆる妖刀だね」
風間は刀を戻し、話を続けた。
「私があの場にいたのは、偶々だけども、氷鬼を探しているのには目的があってね……。君も薄々気づいているかもだけど、氷鬼のベースはベストロンだ。詳しくは後日、とある議会があるんだが、君も出席しないか?夜も遅いことだし」
夢葉は頷くと、風間の家に泊まらせてもらうことになった。
翌日(正確には4時間後)の朝7時。
コーヒーの匂いで目覚めた夢葉は、居間にいた風間に挨拶をする。風間は既にスーツを着ており、朝食の準備をしていた。
「お早う。9時には向こうには着いていたいから、そのつもりで準備をお願いするよ。朝食準備しておいたから、食べな」
夢葉は頷くと、開いている席に座った。テーブルの上には、“3人分の食事”が置いてあった。数分後、上の階からドンドンと階段を駆け下りる音が聞こえると、勢いよくドアが開くと、そこに夢葉と同い年ぐらいの男が現れた。
「いつまで寝ていたんだ、騎士」
騎士と呼ばれる男は、ぼさぼさの髪を掻きながら、開いている席に座った。席に座るなり、夢葉を見て椅子から転げ落ちた。
「だ、誰!!?」
男は酷く動揺しているようだった。
「こちらの女性は、神楽夢葉さん。以前話さなかったかな?これから彼女も私たちと行動を共にする」
男は起き上がり、夢葉のもとに寄ると、手を差し出した。
「俺の名前は、王騎士。よろしく!」
夢葉は王の手を握った。
朝食を済ませた3人は、日本に新設した“コネクト”と呼ばれる施設へ向かった。この施設は、日本が開国となった際に、世界各国を繋ぐ施設として設立された。このビルはそれに加え、ベストロン計画の日本拠点として存在してもいる。地下階には、製造施設や研究施設が存在する。3人は地下階の秘密会議室へ向かっていた。
「はあ……」
王は深い溜め息をつきながら、トボトボと歩いていた。
「何で溜め息をついているの?」
夢葉がそう言うと、矢継ぎ早に王は解説した。
「君もあの場面にいれば、嫌でも溜め息をつくさ!」
「まあ、分からなくもないな」
風間が口を挟んだ。
「今回の会議は、半期に1度秘密裏に行われる会議なのだが……、まあ、口で言うよりも直接見た方が分かるよ」
風間はそう言うと、進行方向に目を戻した。数メートル先を見覚えのある人物が歩いていた。
「心田総理!」
夢葉がそう言うと、心田が振り向いて嬉しそうな表情を浮かべた。
「神楽ちゃん!久し振りだね」
心田は夢葉に近づいた。
この二人は、高校時代は繋がりはあまりなかったのだが、そもそも官房長官時代に何度か顔を合わせや護衛などで関わっていた。その後、心田が総理大臣になった後も何度か護衛にあたり、親睦を深めていた。
「君もここに来たのか」
心田がそう言うと、少し苦笑いを浮かべていた。
「心田さんもこの会議に苦手意識があるんですね。そんなに過酷なんですか?」
「過酷というか……、なんだろうな、癖が強いんだよな」
心田がそう言うと、頭を掻いた。心田が風間を見ると、軽く手を挙げた。
「会議以来ですね。お元気ですか?」
風間がそう言うと、心田が笑顔で返した。
「日々、色んなものに苛まれていますよ。そちらも氷鬼は順調ですか?」
心田がそう言うと、風間も同じように苦笑いをしていた。
「ボチボチですかね……」
風間がそう言うと、腕時計を確認した。
「もうすぐ会議が始まりますよ、急ぎましょう」
「大丈夫ですよ。彼らが定時に集まった試しがないのでね」
そう言うと、のんびり4人は会議室へ向かった。
会議室に入ると、中は薄暗く14個のモニターとパソコンがあるだけだった。4人はパソコンの前に集まった。パソコンを起動すると、パソコンに繋がれたモニターも起動した。すると、連動するように半分のモニターも起動した。夢葉はモニターに映し出された人物を見て驚いた。そこに映っていたのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシア、中国、インドの6国の首脳たちであった。夢葉はその光景に、思わず後退る。そのとき夢葉は、後ろの何か硬いものにぶつかった。夢葉は一瞬で人間の感触だと気づき、後ろを見て謝ろうとしたが、ぶつかった人物を見て、更に驚いた。
そこにいたのは、田中雫であった。田中は夢葉を見下ろしながら、何も言わず、心田の元へ向かった。心田に近づいても何も発さず、田中は心田の横にあるソファに腰を下ろしたのだった。




