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42 桜、舞い散る

 このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。

 国会議事堂は度重なる戦いで、今にも崩壊寸前だった。特に入口付近では、六つの恩寵を与えられた横田と『徒陰』の百、悟空の戦闘が続いていた。状況は二人側の圧倒的に不利な状態だった。只でさえ“硬化”の恩寵だけで強かった横田に様々な恩寵を得たことで、本物の化け物へと化していた。

 横田は、背中から無数の骨を出現させ、雨のように攻撃を行う。悟空の筋斗雲が三人を守るが、攻撃は貫通する。

 「百!今の俺じゃ、奴に勝てない!」

 悟空が叫ぶが、百には聞こえていない。百は横田のたった今の攻撃で、吹き飛ばされたからであった。百のツキノワグマが襲い掛かるが、容易に吹き飛ばされてしまう。

 「駄目だ、気絶してる。……クソ!攻撃する暇もないぞ!」

 悟空はそう言うと、筋斗雲を使って百を救出した。百の半身が欠損している。

 「……どうするの……?」

 百が何とか言葉を絞ると、悟空は考え込む。

 「……百、俺を“契約”できるか?」

 悟空がそう言うと、百が考えながら頷く。百は覚悟を決めていた。

 「……最後の“永続契約”……。……私の命を、差し、出します……」

 「……分かった」

 悟空はそう言うと、百の手を握った。悟空は自分が百の体内に吸われているかのような感覚に陥った。

 「……悟空はもっと、強くなるよ……」

 悟空は頷くと、呻き声を上げ始める。身体が猿のようになっていく。百の“契約”は百自身が死んでしまったら意味がない。悟空は筋斗雲で百包んだ。

 (百は以って後数十分……。その間にアイツを止める!)

悟空がそう思ったときには、既に背後を取られ、足蹴りがきていた。しかし、横田の足は骨折していた。悟空の頑丈さが勝ったのだった。

 「“(げん)獣化(じゅうか)誓約(せいやく)”」

 悟空は阿修羅にように三つの顔を持ち、六本の腕に馬のように強靭な足を手に入れた。悟空の急激な体温上昇により、自身の周りから水蒸気が溢れた。悟空はそれを纏い、まるで金剛力士像のようだった。悟空が天に腕を掲げると、雷を纏った如意棒が現れた。そして、残りの腕が地面に手を入れると、金属製の剣が現れた。結果的に、如意棒と、四本の剣を持った状態となった。それを見た横田は、腕から何本もの板のような骨を出現させ、腕に纏わせた。

 横田は何も言わないが、自覚があるのは分かる。いや、感じる。悟空は察したように頷いた。

 先に仕掛けたのは悟空だった。悟空が一本の剣を投げると、それは稲妻のような見た目で飛んでいく。横田はそれを拳で弾くと、横田の頭上には悟空が飛び立っていた。悟空の如意棒が横田の頭上に振り下ろされる。しかし、横田は片手で受け止める。しかし、その衝撃は手を貫通し、地面に響いた。その影響で崩壊が更に進行する。そのとき、天井が崩壊し、落下してきた。悟空は如意棒で、横田は拳で天井を破壊すると、直ぐに攻撃に移行した。早かったのは、横田であった。横田のストレートが悟空の顔半分を捉えた。顔を貫通させたかのように見えたが、悟空の顔が横田の拳を砕いたのであった。横田の“再生”で拳が再生されるまでに、数秒の時間を要する。悟空はその数秒で横田の顔面に後ろ蹴りを喰らわすことが可能であった。悟空の後ろ蹴りが横田の顔面に直撃した。しかし、“白虎”で後ろ蹴りが来ると感じた横田は、顔面に剣道の面のように骨を纏わせた。しかし、威力は十分で、横田は微かによろめいた。その隙を悟空は見逃さなかった。そのまま、半回転し、如意棒を背後から、横田の腹部に向かって突き刺した。その攻撃は見事に決まり、横田は吹き飛んだ。

 僅か数秒で出来事だった。そのときだった。

 「……“(じゅう)”」

 横田の口から微かに聞こえたこの言葉を理解するのに、数秒要した。これは横田本来の恩寵である“硬化”の変化、つまり先ほどまで最高硬度が“伍”だったはずであるが、今は“拾”が可能ということになる。

 悟空の六本の腕の内、二本が吹き飛ぶ。

 (考えすぎた!)

 悟空は、百の方を見る。まだ微かに息をしているのを確認した。その一瞬の余所見が命取りだった。悟空の左胸に横田の鋭利な骨が貫いた。悟空は吐血する。悟空は倒れる。横田は悟空に止めをさそうとする。そのときだった。今までに感じたことのない程大きな揺れを感じる。体幹の強い横田ですら立ってられない程の揺れで、横田はしゃがみ込んだ。天井から一本の巨大な石柱が降ってくる。その石柱は横田の首を抉り落とした。数秒後、大量の瓦礫が二人を襲った。


 炎司が“次元”で飛ばされた直後、鳶鷹は到着していた。

 「炎司!」

 そこには呆然としている國崎と心田がいた。

 「なあ、炎司は……」

 鳶鷹は斃れている大道寺を見つける。すぐさま駆け寄り大道寺を抱きかかえた鳶鷹は、大粒の涙を流した。

 「……すまない。私にはどうすることもできなかった」

 心田が鳶鷹の元に歩み寄る。

 「……あんたを責める義理はねえ。それに元々オヤジはこの戦いで死ぬつもりだった」

 そのとき、巨大な地震が三人を襲う。

 「君は鳶鷹君だよね?大道寺先生から話は聞いている」

 「じゃあ、あんたが心田さんか。話は後だ。ここは崩落する。俺に乗って」

 「だったら、奴も乗せてくれないか?奴を厳正に処罰したい」

 「……分かった」

 鳶鷹は頷くと、硬直している國崎も乗せ、国会議事堂の前まで避難した。


 先ほどの地震で殆どの建物が崩壊していた。鳶鷹は二人を降ろすと、悟空と百を救出しようと再び飛び立った。

 暫く飛んだ後、悟空のような太い腕が瓦礫から姿を現しているのを見つけた。すぐさま降り立ち、鳶鷹はその腕を掴んだ。冷たい。反応がない。鳶鷹は嫌な予感が駆け巡る。ゆっくりと持ち上げる。全然重くない。鳶鷹は腕を持ち上げると、膝をついて泣き叫んだ。腕より先の体がない。鳶鷹は吐いてしまう。

 目線を上げると、百の服が見つかる。よく見ると百の周りには瓦礫がない。すぐに悟空の筋斗雲のお陰であることが予想できた。鳶鷹は駆け寄る。しかし、見ただけで分かってしまう。息をしていない。鳶鷹はその場で再び泣き崩れてしまった。

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