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39 ホワイト=デストロイヤー

 このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。

 獣柱が郡谷を倒した直後のことである。

 入江により、解き放たれた大量のWKは、日本各地で暴れまわっていた。鳶鷹は悟空の協力もあり、義正を倒していた。二人は国会議事堂の中に入り、獣柱を探した。疲労で寝ていた獣柱を起こした。

 「百~。死んでないかあ?」

 鳶鷹がそう言うと、獣柱はゆっくりと目を開けた。

 「……とびかあ。後、五分だけえ」

 獣柱がそう言うと、再び眠りに着こうとしたので、鳶鷹は獣柱の肩を物凄い勢いで振った。そのせいで獣柱は完全に起きた。悟空が獣柱に現在の状況を小走りしながら教えていた。

 「じゃあ、そのホワイトキラーを抑えることが今の私たちの目的ってこと?」 

 獣柱がそう言うと、鳶鷹は頷いた。

 「しかし、よくもお前みたいな華奢な女の子が郡谷に勝ったな……」

 鳶鷹はそう言うと、獣柱をまじまじと見た。獣柱は厚手のコートを着ているので、体格は見ただけでは分からないが、脱ぐとかなり華奢であることが分かる。

 「んねえ。もうこのコート脱いでもいい?」

 獣柱がそう言うと、鳶鷹は止めた。

 「止めとけって。そのコート着てないと、姿で威圧できないだろ?それにお前、その下、下着だけだろ」

 鳶鷹がそう言うと、獣柱は思い出したかのように自分の服装を思い出していた。

 「……えっち」

 「いやいやいや!俺はお前のようなチビに興味ないわ!」

 「仲良いな」

 悟空はそう言うと、話を戻した。鳶鷹が百に現状を教えると、国会議事堂の奥へ向かった。

 「んなあ、とび。やっぱり、大黒さんは未来が視えてるんやねえ」

 「どうしたんだ急に」

 突然の獣柱の発言に鳶鷹は少し驚いた様子だった。

 「だって、こんな戦争になることが予測できるんだから、各地にいる柱たちを招集した方が良いって海人が言ってたけど、大黒さんはホワイトキラーが各地に出ることを視ていたわけやろ?」

 鳶鷹は大道寺の過去の発言を思い出す。

 「確かに……。でも、ホワイトキラーだらけでも普通の警官や自衛隊が苦戦しないと思うんだよな……。なんかもっとこれ以上にヤバいことが起きそうなんだよなあ。……東日本大震災みたいなやつがさ」

 「んまあ、大黒さんは未来を知ると生きる意味を失うって言って教えてくれないからねえ」

 獣柱はそう言うと、鳶鷹も同意した。

 「兎に角、オヤジと合流して考えよう」

 鳶鷹と百は、エントランスの奥へと進んでいく。そのときだった。一瞬であったが、悟空が吹き飛ばされ、壁に激突していた。鳶鷹は悟空が飛ばされた方を見た。そこは煙が上がっていたが、人影が見えていた。人影は横田だった。しかし、以前の横田ではなかった。上裸になった体には、角ばった骨がむき出しになっていた。顔色は恐ろしく悪かった。

 「悟空!大丈夫か!?」

 鳶鷹は悟空の元に駆け寄ろうとしたときだった。鳶鷹の視界が激しく揺らいだ。鳶鷹は自分の身に何が起きたのか分からなかった。

 「素晴らしいストレートだ。早くて、私にも見えなかったよ。それにしても、良い順応力だよ、横田君」

 そこには入江がいたのだった。

 「入江!?お前!『獣士団』の皆はどうしたんだ」

 百がそう言うと、入江は説明した。

 「あんな雑魚ども、ただの時間稼ぎにしかならないよ」

 入江はそう言うと、横田の説明を続けた。

 「彼には少し試練を与えてね……。私から五つの恩寵を与えさせて貰ったよ。普通は一つでも与えたら、寵臓が異常をきたし、最悪、脳に悪影響を与えるが、横田君は只でさえ一つでも辛いのに、彼は私からの五つの贈り物を、自我を保ちながら受け取り切った!彼の自尊心や心の持ち方は素晴らしいよ!……そして、これが彼の最後の贈り物だ」

 入江はそう言うと、横田に触れた。横田に衝撃が走る。横田は藻掻き苦しんでいる。

 「や、止めろ!」

 悟空は入江を止めようと、入江に襲い掛かる。しかし、“空圧”で吹き飛ばされる。

 (駄目だ!さっきの戦いで疲労が溜まり過ぎた!少しでも回復していれば……!!)

 「数日前に複製が完成したから君に贈るよ。……“空圧”を」

 横田に恩寵を与え終えた入江は、“ワープ”で消えていった。横田は暫く悶えていた。吐血で辺り一面に広がっていた。百は心配で悟空の元へ歩み寄っていく。

 「離れろ!百!」

 鳶鷹が叫ぶが、遅かった。横田が無意識に出した大量の鋭利な骨が溢れ出て、その骨が何本も百に突き刺さる。百は吐血し、倒れる。

 鳶鷹と悟空が駆け寄るが、百の意識は既に遠のいていた。

 「死ぬな!お前の夢、まだ叶ってないだろ!お前、高級肉たらふく食いたいって!叶えたいだろ!」

 悟空はそう言うと、話を続けた。

 「鳶鷹、お前は炎司の元へ行け。俺と百でこいつを止める」

 「分かった。頑張れよ!」

 鳶鷹がそう言うと、鳶鷹は飛んでいった。

 「戦えるか、百」

 百は力強く頷く。百は影から狼たちを呼んだ。

 「横田を……、奴を止めるぞ!」

 悟空がそう叫ぶと、横田は不気味に微笑んだ。


 「私一人で完遂できると思っていたが……。これでは『終わりを告げる者達』の皆に合わせる顔がないよ」

 入江と夢はまだ会話をしている。

 「貴方さっきから“Z”や“終わりを告げる者達”って、一体なんのことよ!?」

 夢がそう言うと、入江は説明した。

 「私は先程言ったように総理大臣の為に動いてはない。大山杭刑務所。君も何度か名前を聞いたことはあると思うが。私は今からそこへ向かわなければならない」

 「まさか、禰宜(ねぎ)猛也(たけや)に用があるの?」

 夢の発言に、入江は感心した。

 「ほほう。禰宜猛也を知っているのか。相当歴史を学んだんだな。……そうだよ。私の本当の目的は、歴史の再来だよ。私は禰宜を開放し、百目鬼(どうめき)(けん)()を復活させる」

 「百目鬼ですって!?待ちなさい!入江!百目鬼を復活させたらどうなるか分かっているの!?」

 夢は入江を止めるのに必死だった。それは、文面から見ても百目鬼の被害の甚大さを知っているからであった。


 “出雲百目鬼災害”。百目鬼が起こした日本史上最大の人災事件。一九八九年に島根県の出雲で起きた人災で、退役軍人で“恩寵二つ持ち”の百目鬼拳武が、千六百名近くの自衛隊や警官、消防隊を動員したが、彼を倒すことは出来なかった。そのとき、若かりし頃の神楽醍醐と五十嵐衂漉によって、致命傷は与えられたが、彼の直接的な死因は、(ちょう)(ぞう)(がん)の進行によって身体が蝕まれた結果だった。彼の恩寵は“自然(しぜん)災害(さいがい)”に“次元(じげん)”。数多存在する恩寵の中でも、トップクラスのレベルの強さを誇る。

 

 「まさか、百目鬼の恩寵を奪って、我が物にしようとしているの?」

 夢がそう言うと、入江は首を横に振った。

 「不正解。彼には協力して貰うのさ。全てはZ様の為だよ……。それでは」

 そう言うと、入江は“ワープ”で消えたのだった。

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