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 このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。

 「これが儂の知る全てじゃよ」

 大道寺がそう言うと、喋り過ぎたのか、少し咳込んだ。海人がすかさずお茶を出す。

 「総理の計画は分かりましたが、私に話した理由は何ですか?」

 夢がそう尋ねると、海人が答えた。

 「実は頼みたいことがあってな。先ずはこれを見てくれ」

 海人がそう言うと、夢に論文を渡した。そこには、聞いたことのない原子の名称が事細かく書かれていた。

 「……これって?もしかして」

 「ああ。ヴィウランとは違う新たな原子だ。この原子は全ての原子を食べて消滅させる。言うなれば食滅原子だな」

 夢は論文に食い入るように見ている。

 「凄い……。こんな原子も知らなかった」

 「これに関しては自力だ。見つかるのに十年近くかかった」

 「待って。この論文の他に設計図があるけど」

 夢はそう言うと、論文内にある設計図を海人に見せつけた。そこには、小型飛行機のような形の設計図が書かれていた。

 「これは、奴の計画を阻止する策だ」

 「今までの話だと、総理はヴィウランを使って外国へ報復するはずでは?最悪日本へは被害はないはず」

 「それならいいんだがな。奴の復讐先は海の外だけじゃない」

 「まさか、標的は日本そのもの……!?」

 海人は頷く。

 「これはオヤジの証言だから確証はないが、オヤジと奴の関係性だ。信憑性は高い」

 「私の役割が何となく理解できたわ」

 「君の恩寵は便利だな」

 海人がそう言うと、夢は話を続けた。

 「笑里ちゃんの誘拐、それと内部からの計画の阻止」

 「その通り」

 「でもそんな計画一度も耳に入ったことない……」

 「この計画は極秘中の極秘、内情を知るのは國崎派のごく一部、君のような正義感の塊には絶対に教えないだろうね」

 大道寺が口を挟む。

 「今日の夜明け前、作戦が決行される。そのために『徒陰』ないし柱たちを集めてきた。だが、まだ人手が足りない。だから……」

 大道寺が夢に頭を下げる。

 「敵である儂からお願いされても快諾はしないのは分かっておる。だが、お願いできないか?」

 夢は暫く黙り込んだ後、口を開く、

 「私は今まで『徒陰』(貴方たち)と対立してきた。その中で私の正義は揺らいだ。どっちが正しいか分からなくなった。私は糞みたいな環境で育ってきた。だから分かる。炎司たちも劣悪な環境でそだってきたことも、それを大道寺さんが救ったことも。……私は貴方がたに協力します」

 夢の瞳には決意が漲っていた。

 「ありがとう。では、海人」

 海人は夢に小型の機器と携帯を渡した。

 「この機器は小型のインカムだ。それとこれは逆探知されない携帯です。これで連絡を取り合います。インカムは耳裏に付けておいて下さい」

 夢はそれらを身に着けると、『徒陰』の本拠地を後にした。


 夕方、夢に連絡が入り、夢は国会議事堂の地下施設に潜入した。外が騒がしいお陰で難無く潜入できた。国会議事堂の地下には『アンチラック』と呼ばれる研究施設がある。そこでは恩寵にまつわる様々な研究が行われている。夢の恩寵模倣弾もここで開発されている。

 施設内には施設長である田中(たなか)幸作(こうさく)しかいなかった。夢は背後から田中に拳銃を突き付けた。

 「突然どうしました?」

 田中は焦ることなく両手を上げた言った。

 「ここでヴィウランの研究をしていると踏んでいる。案内しなさい」

 「それは総理の御指示ですか?」

 「いいから!」

 田中は一度夢を見た後に、ゆっくりと立ち上がった。田中は両手を上げたままゆっくり歩きだす。施設の奥へ進むと、厳重に施錠された扉があった。

 「ここは私と総理と、一部の人間しか入れない。場所です。このカードキーを翳すと……」

 夢は田中を気絶させる。

 (ごめんなさい)

 夢は田中の手からカードキーを取り上げると、扉の横に翳した。扉がゆっくりと開くと、夢の視界が揺らぎ跪いた。夢が背後を確認すると、そこには横田一哉と國崎義正が佇んでいた。

 「どうして……!」

 夢はそう言うが、二人は何も答えなかった。


夢が目覚めると、目の前には強化ガラスに覆われた空間だった。

 「漸く目を覚ましたかね」

 そこには國崎敏正が立っていた。夢の両手両足は手錠などで拘束されている。

 「ここは零課の簡易収容所ですね」

 「現状も把握してそうだな」

 敏正がそう言うと、誰かに手招きをしていた。すると、そこには、横田、義正、悟空がいた。皆俯いていて視線が合わない。

 「義正!一哉!悟空!」

 名前を呼んでいる夢を見て、國崎は嘲笑した。

 「呼びかけても無駄だよ。彼らは心田君の恩寵で洗脳されているからね」

 彼らの他にも、内閣総理大臣補佐の人たちもやって来た。

 「お久しぶりだね、憾咲さん。憶えているかな?」

 夢は先ほどの映像ぶりの入江を見て叫びかけたが、止めた。その映像のことが知られれば、何が起きる分からない。

 「沈黙か……。じゃあ、この映像を見てもらおうか」

 入江がそう言うと、液晶を夢に見せつけた。そこには、崩落している夫丈高校と、生徒の死体の山が映っていた。

 「彼らはまだ死んでいない。でも君が十秒黙るごとに一人、いや五人死ぬよ」

 「……私が合成映像を見抜けないほど馬鹿に見えますか……?」

 「でも確証はないんだろ?……十秒経つぞ」

 入江はそう言い残し、液晶を消した。夢は思わず俯いた。

 「まあ、言いたくなったら、言ってくれ。私たちは今さっきの一件で少々忙しいからね」

 入江はそう言って、敏正と一緒にその場を去った。

 数秒後、夢が視線を上げたときには、悟空が手を差し伸べていた。横田と義正は気絶している。

 「……ありがとう」

 「その様子だと、俺が岩柱だということは聞かされているな」

 「まだ信じられないけどね」

 拘束の解かれた夢は悟空の手を取ると、立ち上がった。

 「まさか洗脳が効かないなんてね」

 「俺は我が強いからな」

 悟空はそう言うと、髪から爪楊枝のような棒を取り出した。瞬く間に巨大化したその棒を使って、扉をこじ開けた。

 「筋斗雲!!」

 悟空がそう叫ぶと、入口から黄色の雲がやって来た。

 「情報は俺が手に入れた。取り敢えずここから抜け出そう」

 悟空にそう言われ、夢は悟空の手を掴む。二人はその場から離れたのだった。


警視庁から脱出した二人は、暫く空を浮遊していた。

 「まさか貴方が『徒陰』の岩柱だったとはね」

 夢がそう言うと、悟空は微笑んだ。

 「面白いだろ?この展開?」

 悟空がそう言うと、夢は微笑みながら、話を続けた。

 「よく今まで嘘つけたわね。入江をも欺くなんて」

 「俺は小さいときからオヤジから色々教わったんだ。今じゃ一二を荒そう嘘つきだぜ」

 悟空は舌を出して微笑んだ。

 「状況はどうなっているの?」

 夢がそう言うと、悟空は答えた。

 「残念ながら、夫丈高校が襲撃されたのは本来だ。WKたちがな。ただ、先生たちはやっぱり強いよ。それに、1-A組1-B組の皆も戦ってくれた」

 「全部言ったの!?」

 「んまあ、言ったというか、半分知ってたというか」

 「どういうこと?」

 「俺らが『徒陰』であるのは周知、そもそもオヤジ……政宗さんに恩を感じてる人は日本中に沢山いるってこと。なんなら五十嵐さんも察してたと思うよ」

 夢はそれを聞いて、変に納得した。

 「夢の家が監視されてるかもしれない。このまま拠点に行くけど、良いか?」

 悟空がそう言うと、夢は頷いたのだった。

 

 襲撃された夫丈高校では。

 「……なんか嫌な感じね」

 操園がそう言うと、水田寺が頷いた。

 「校長先生が亡くなった後に、謎の白い人型に襲われるのは不吉ですね……」

 「今は生徒の安全を喜びましょう……」

 白銀がそう言うと、沈黙が訪れる。

 「……校長は殺された」

 そのとき、教頭である豪炎寺が口を開いたのだった。

 「どういうことですか」

 「私は彼から話を聴かされていた。私は近いうちに殺されると」

 「どういうことですか!」

 真田が怒鳴り上げた。

 「誰かの陰謀の中を数多の人間が巻き込まれている。誰かが止めなくては……」

 「大道寺先生……」

 真田が呟く。

 「呼んだか?」

 そのとき、職員室に大道寺が現れた。横には炎司と鳶鷹がいる。

 「大道寺先生……、どうやら全てを知っている様子ですね」

 真田がそう言うと、頷いた。

 「君たちには知る権利がある。良いかな?(たてがみ)(きく)()も」

 二人は頷く。

 「先生は今までずっと戦っていたんですね」

 真田が言った。水田寺が止めに入る。

 「待て待て。流石に信じられないぞ?『徒陰』が実は政府の闇を止めようとしてたなんて」

 「いや、それは私からも説明させてくれ」

 名乗り出たのは、豪炎寺と臥龍岡だった。

 「私たちは以前、政宗と一緒に働いていた時期がある。彼はそのときから國崎総理大臣を止めようと躍起になっていた」

 「でも……」

 「信じてくれなくもいい」

 大道寺が言う。

 「儂も手の届く範囲の人たちは救いたいが、儂の手では救いきれん。だから、君たちにも手伝ってほしい」

 真田は立ち上がった。

 「私は先生のお陰で今こうして生きています。白龍院先生の仇も含めて、手伝わせて下さい」

 「良い漢になったな、真……」

 大道寺は立ち上がると、鳶鷹が持っていた白龍院のコートを手に取り、真田にかけた。

 「お前こそが、嬰児の意志を継ぐに相応しい。形見として残しておきたかったが、お前に託そう」

 真田は深々と頭を下げた。炎司と鳶鷹は気を遣って職員室を出た。外には茂が立っていた。

 「……隠しごとはなしだ。敵は誰なんだ」

 炎司は俯きながら言った。

 「これは今までの戦いの非じゃない。俺らは死ぬ覚悟で挑んでいる。お前たちを巻き込みたくない」

 「じゃあ!みすみす死にに行く友を見送るだけにしろってか!」

 茂は炎司と鳶鷹を蔓で拘束した。

 「……また戦うのか?勝てないぞ?」

 炎司が呟く。

 「いや、もう俺、いや俺たちは俺たちの戦いをする。勿論お前らには迷惑を掛けない。……だから!」

 茂は二人を抱擁した。

 「生きて一緒に高校を卒業しよう……」

 茂はそう言いながら涙を流す。二人も頷きながら、涙を流した。その様子を窓越しに見ていた真田は大道寺に言った。

 「……いくら覚悟したって、まだ16歳の子どもですね。私も草木君と同意見です。私の教え子です。生きて帰らせてあげてください」

 大道寺は深く頷いた。

 「全力で善処しよう」


 物語は、プロローグに戻る。

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