24 インターン 煉獄太陽編 後編
このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。
インターン二日目、炎司たちは変わらず巡回を行っていく。今回は煉獄はおらず、代わりに、節道、和木、三毛と共に歩いていた。和木と三毛と雨水、寒田はガールズトークで盛り上がっていた。節道、炎司は終始無言で女性陣の会話を聞いていた。
「和木さんは、どうして消防士になろうとしたんですか?」
雨水が和木に尋ねた。
「私、実はね、昔家が火事になってね、そのとき、消防神……、太陽のお父さんの灼太郎さんに助けてもらったの。そのときに初めて消防士になりたい!って思うようになったの。でも、あんなことがあったから、灼太郎さんの元で働けないなあって思ってたら、太陽に誘われてね」
「あんなこと……?」
雨水がそう尋ねようとしたときだった。三毛の肩に乗っていた猫の黒丸が降りて、走り出した。それと同時に青山が、辺りを嗅いだ。
「火事だ!」
そう言うと、他のメンバーは、一斉に走り出した。炎司たちは出遅れ、走り出す。
「俺は場飛に連絡する!節道は発火元の確認。和木と三毛と猫共は、救助人の確認、救助!インターン組は三毛らと協力!以上、掛かれ!」
現場では、高層ビルに黒煙が上がっており、エントランスはほぼ全焼していた。中の人たちは外に逃げ狂う。
青山は無線で場飛に連絡を行う。節道は塞がりかけた出入り口を恩寵である“掘削”で取り除いていく。白子は恩寵である“透視”で逃げ遅れた人を探して、三毛が人の言葉で伝えている。これは三毛の恩寵である“声帯模写”で、白子に人語を模写させている。それを聞いた和木は自身の恩寵である“軟体”で瓦礫や炎を蛇のようにうねりながら、救助者の元へ向かう。炎司と寒田はすぐさま救助を行っているが、雨水はその様子を見守ることしかできなかった。
「何突っ立ってんだ!考えるな!感じたままに動け!出ないと人が死ぬぞ!」
青山の喝に漸く動き出した雨水はは、取り敢えず動きだした。すると、寒田が駆け寄ってきた。
「雨雨!取り敢えず俺と一緒に動こう!焔もそれで良いね?」
寒田がそう言うと、炎司は頷いた。寒田と雨水は、救助者を安全な場所に誘導した。そのとき、ワープゲートから煉獄と場飛が現れた。
「大丈夫か!」
煉獄は、“朱雀”を使って宙に浮くと、ビルに向かって両手を広げた。煉獄の両手に引き寄せられるかのように、炎が煉獄の元へ向かっていく。
「炎燕鶏!」
「言われいでも!」
煉獄が空中に巨大な火の玉を投げ上げると、場飛はその巨大な火の玉を囲うようにワープゲートを出現させた。次の瞬間、水が溢れた。どうやら水中に転送したようだった。しかし、消化しきれていない。他のメンバーの救助の手は落ちなかった。
「蒼炎騎士!顎盛はどこに行った?」
煉獄が青山に尋ねると、青山は辺りを見渡した。しかし、節道は見当たらなかった。そのとき、辺りに機械が握りつぶされる音が響いた。音の方を見ると、そこには方腕を失った節道が倒れていた。
「顎盛!」
煉獄が駆け寄ろうとしたときだった。そこには、両腕に漆黒の機械を纏っている巨漢が立っていた。顔にはガスマスクを着けている。服は着ているが、微かに見える肌は死人のように白かった。首元には“0-X2”と書かれているその巨漢は、煉獄に向かって口を開いた。
「貴様ガ煉獄カ?」
そう言うと、ぎこちなく首を傾けた。煉獄は一瞬にして理解していた。この巨漢が火事の原因で、上層部から忠告を受けていたホワイトキラーであることに。
煉獄は残り火を槍のような形に変容させ、巨漢に投げつけた。その巨漢は槍を受けたが、その炎は、体に染みていくように消えていった。
(炎が効かない……!吸炎系か!)
そのとき、炎司は巨漢に向かって飛び掛かっていた。後ろに携えていた刀を取り出し、斬り掛かる。巨漢は腕の機械でそれを受けた。その腕の機械は、熱を発生させ、赤く輝いていた。炎司は思わず、相手と距離を取った。
「大道寺君!助けてくれとは言ってないが、助かった!でも、こいつは危険だ!下がってな!」
煉獄は炎司を庇おうとする。
「駄目だ、煉獄さん!ホワイトキラーは強力だ!それに奴は見るからに火に強い。それにこのタイミングは対煉獄さんに作られたに違いない!」
「……大丈夫!」
煉獄は一言残すと、場飛に命令を下した。場飛は巨漢の周りに無数のワープゲートを出現させた。簡易ガスマスクを着けた煉獄は炎を纏った。
「さあ、我慢比べだ、クソデカ男!」
ワープゲートに潜った煉獄は、ワープゲートを通じて四方八方を飛び回り、巨漢に攻撃を繰り返した。
「温イ」
巨漢はそう言うと、片手で煉獄を吹き飛ばした。煉獄はビルにぶち当たり、その拍子に煉獄は吐血した。
「……自己紹介ガマダダッタナ。俺ハ、ホワイト=フレイム。コノ生温イ世界ヲ終ワラセニ来タ」
そう言うと、ホワイト=フレイムは体から無数の炎を繰り出した。その炎は周りのビルを一斉に炎上させた。そのとき、煉獄はその炎を腕に纏わせ、ホワイト=フレイムを殴っていた。
「こんなんで気絶するようなタマじゃあねえよ!」
煉獄は“玄武”も纏い、目にも止まらぬ速さで攻撃を繰り出す。しかし、ホワイト=フレイムには効いていないようだった。しかし、そのとき、ホワイト=フレイムはどこかに消えた。
「どんな敵にも弱点は存在する。ならばその弱点を突くだけ」
場飛がそう言ったときには、場飛の後ろにホワイト=フレイムが現れていた。
(どういうこと!?奴を落としたのは、鳴門海峡よ?こんな直ぐにこの場所に戻ってこられたの?)
そのとき、ビルの屋上に人影が見えた。
「まさか、向こう側にも私と同じような恩寵が……?」
場飛はそう考え切る前に、ホワイト=フレイムに吹き飛ばされた。
「コレデモトップスリーカ。弱イナ」
煉獄は怒り狂ったように、襲い掛かった。下りていた髪は炎の揺らめきと同じように、上に持ち上がっていた。
「邪魔ダ、トップ」
そう言うと、ホワイト=フレイムは熱線を煉獄に当てた。煉獄は“白虎”で避けたつもりだったが、煉獄の左目を抉るように傷つけた。煉獄の左目は血飛沫を上げ、煉獄は倒れた。
その様子を見た青山は現場の炎を吸引する機械で、炎を吸収し、剣のように炎を伸ばした。
「そんな簡単にアイツらがやられるわけないんだ!俺の瓦斯剣、喰らいやがれ!」
青山は、ホワイト=フレイムに飛び掛かった。しかし、その攻撃は簡単に防がれ、その炎も吸収してしまった。
「炎司、聞こえてるか?」
炎司の無線から、声が聞こえた。その声は海人だった。炎司は事前に海人に連絡をしていた。
「奴の恩寵分かったぞ。奴はWK最高位と呼ばれている。恩寵は六つ。“強固”、“耐火”、“体温上昇”、“サーマル”、“熱吸収・放出”、“耐熱”だ。明らかに炎系には分が悪い。心もとないが、寒田とかに頼め」
そう言って、海人は一方的に無線を切った。
「氷貴妃」
炎司がそう言うと、寒田は視線を変えずに応えた。
「奴は熱で状況を把握してる。俺の作戦だと、被害が増える。そこでお前に力を貸してもらいたい。奴の周りに円柱を作り続けることは可能か?」
「作ってどうする。奴には温度バレバレでしょ」
「その中で更に円柱を作って、体温を探られないようにする」
「そこからは?」
「ない。無策だ」
「何?」
そこで漸く寒田は炎司を見た。
「今はこの方法しかない。頼んだ」
そう言って、炎司はホワイト=フレイムに向かって走り出した。
「……人使い荒いわね。雨雨。お願いがある」
寒田はあたふたしている雨水を呼んだ。
「な、何?」
寒田は雨水に耳打ちした。雨水は静かに頷いた。
炎司がホワイト=フレイムに近づくと、炎司とホワイト=フレイムは氷の壁によって囲われた。炎司は片腕で炎の渦を作り出した。炎司は二刀流で、ホワイト=フレイムに斬りかかる。
雨水は恩寵でビルの炎を消火していく。それと同時に、三毛と協力し煉獄を起こした。煉獄は左目を止血しながら、雨水に尋ねた。
「雨雨ちゃん、済まねえな。それより、あの野郎は?」
雨水は大きな氷の円柱を指さした。
「まさか、焔君だけで戦っているのか?」
雨水が頷くと、煉獄は止血用に布を結び、立ち上がった。煉獄は雨水の頭を撫でて走り出した。
炎司とホワイト=フレイムとの激闘が続く中、炎司はほぼ一方的にやられていた。炎司は肩で息をしている。ホワイト=フレイムは余裕の様子だった。ホワイト=フレイムは掌から火炎を放射した。炎司は“白虎”で避け、“玄武”による攻撃は有効なのだが、何せ疲労が凄いので、連続で発動ができない。ホワイト=フレイムが炎司に向かって、構えたとき、遠方から煉獄が飛んできた。
「遅くなっちまったな!」
煉獄は炎を器用に扱う。
「“狻猊炎”!」
炎は獅子のような容姿となり、ホワイト=フレイムを襲った。ホワイト=フレイムは瞋恚炎を吸収したが、許容を越え、ホワイト=フレイムは吹き飛んだ。
「やはりな!お前の恩寵は上層部から共有済みだ!吸収でも限界値があるんだな!焔君!炎を貰うぞ!」
煉獄は二本指で炎司の紫の炎を操った。煉獄が指を頭上に上げると、巨大な四つの銃弾の形の炎を作り出した。
「“四聖炎極”!」
四発の攻撃が、ホワイト=フレイムを襲った。ホワイト=フレイムの服やガスマスクや両腕の機械が破壊されていく。
「クソ!やっぱり片目だと命中率は低いな……」
「煉獄さん!奴の弱点は人と同じです!そこを狙ってください!」
炎司はそう叫ぶと、全身に炎を纏わせた。
「“甕速日”」
炎司は高速で動き、隙を探る。その間も炎司と煉獄は攻撃を繰り返す。
「良い“神域”の使い方だな!!そろそろ“覚醒”できるんじゃないか?」
煉獄はそう言うと、地面に着地し、拳を構えた。
「良いか大道寺君。“神域”の真骨頂は、いかに使いこなせるかによる。見た所、君の使い方は何重にも重ねることで覚醒同等の威力を出しているが、それでは体がもたないよ。見てな。これが覚醒だ」
そう言うと、煉獄は目を閉じ、抜刀前のような姿勢を取った。刹那、ホワイト=フレイムは炎の血しぶきをあげて、倒れた。
「“侍極・羅刹天炎上”」
煉獄は振り向き言った。
「これが、覚醒した“朱雀”と“玄武”だよ。“朱雀”は途轍もない速さを得て、玄武は内側から莫大な衝撃を放つことができる。俺は“麒麟”以外の“神域”が使えるのさ」
そう言うと、煉獄は跪いた。ホワイト=フレイムの周りを囲っていた氷はいつしか解けていた。炎司は煉獄の元へ駆け寄る。そのときだった。ホワイト=フレイムは静かに起き上がっていた。ガスマスクは破壊され、髑髏のような顔が煉獄を睨んでいた。
炎司が叫ぼうとしたときには、煉獄はホワイト=フレイムに掴まれ、左腕を逆側に曲げていた。煉獄の左腕から無残な音が響き渡る。ホワイト=フレイムが雄叫びをあげると、ホワイト=フレイムの周りに何十体ものホワイトキラーが突如現れた。
「良クヤッタナ。煉獄。モウ楽ニナレ」
ホワイト=フレイムがそう言うと、ホワイトキラーたちは煉獄に向かって、飛び掛かった。そのときだった。青山と寒田がそれを阻止した。
「まだ倒れちゃいねえ!」
青山がそう言うと、ホワイトキラーたちを何体も斬りつけた。
「俺らが登場するの待ってただろう!」
寒田がそう言うと、巨大な氷の槍がホワイトキラーの体を突き刺していく。それでも数で圧倒され、二人の背後のホワイトキラーが襲い掛かろうとする。しかし、そのホワイトキラーは下半身だけとなり、その場に落ちた。
「ランキング三位がみっともなかったね!さあ、番狂わせの始まりだ!」
場飛は叫びながらワープゲートでホワイトキラーたちを真っ二つにしていく。炎司も無心になって斬りかかる。ホワイト=フレイムが炎を放射しようとしたが、その炎は宙を舞い、ホワイト=フレイム自身に喰らった。
「もう“手加減”は無しだ!上層部に奴らは尋問するから殺すなと言われたが、無理だ!もう手段はねえ!焔君、頼んだよ!」
煉獄がそう言うと、炎司は煉獄に向けて炎を放出した。煉獄は槍のような形の炎を六本作った。
「“六道炎極”」
六本の槍のような炎は、ホワイト=フレイムに直撃し、空高く吹き飛んだ。煉獄は逃がすまいと煉獄自身も“朱雀”で宙に浮いた。煉獄は炎を折れた方の拳に炎を纏わせて殴りかかるが、ホワイト=フレイムは抵抗しようと、その拳にかぶりついた。
「なぬ!でも、好都合!」
煉獄は自分自身を燃え上がらせた。
「俺の恩寵は、炎を操るだけだからなあ。炎の耐性は無いんだわ。俺はお前が羨ましいよ」
煉獄は更に炎の温度を上げていく。煉獄の体が爛れていく。
「これで仲良く死のうぜ!」
空高く浮上した煉獄は、自身の限界をも超えた火力を出し続けた。更に煉獄の全身が爛れていく。それはホワイト=フレイムも同様で、皮膚が燃え尽き、骨が露わになっていく。
「“黄泉・涅槃寂静”!」
ホワイト=フレイムは丸焦げとなり、地面に落下した。煉獄も同様に地面に落下した。煉獄は何とか立ち上がるが、今にも死にそうな様子だった。炎司たちもホワイトキラーを全滅させていた。煉獄はその様子を見て安心したのか気絶しそうになる。しかし、倒れる寸前で足をついた。ホワイト=フレイムはまだ起き上がっていた。所々に骨が見え、どうして生きているのか分からない程、皮膚がただれていた。
「もう一回……、喰らうか……?」
そう言ったときだった。ホワイト=フレイムの頭が吹き飛んだ。
「遅くなって申し訳ないです」
そこには、田中が立っていた。両腕には先の尖った黒い盾を着けていた。髪も後ろで縛っている。右目には大きな傷がある。
「田中さん?」
炎司がそう言うと、田中は炎司に気づいた。
「無事だったか?」
田中が歩み寄ると、そこには完全に気絶した煉獄がいた。
「……これは不味いな。炎燕鶏はいるか?直ぐに夫丈高校に転送しなきゃ間に合わないぞ」
そう言い、田中が場飛を探そうとしたときだった。新たなホワイトキラーが現れた。ホワイト=フレイムほどではなかったが、かなり巨大なホワイトキラーが数体現れた。
「んー。大道寺君、煉獄さんを頼むよ。ここは俺一人で事足りそうだから」
田中はそう言うと、炎司に背を向けて歩いていったのだった。




