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-Re:ika-警視庁 恩寵刑事部 特殊捜査課 通称 「零課」  作者: 灯火 由夢葉
第一幕 第一章 夫丈高校一学期
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10 焼き尽くせ!合宿!

 このストーリーはフィクションです。登場する人物や団体と関係はありません。又、一部性的な描写がございますのでご注意ください。そして、この作品は日本の歴史や神話を基にした構成があり、一部の方々に怒られそうな内容が記載される場合がございますので、先に謝ります。申し訳ありません。

 一学期の期末試験は、筆記と実技に分かれて採点されていたが、今回一年生は様々なことが起き、精神的ダメージを負った学生がいるため、実技は異例の中止となり、筆記だけとなった。赤点者はいなかったが、夏休みの最初の週では合宿が準備されており、一年生は、関西の山奥へバスに乗って向かったのだった。

 到着した場所は、関西にある大江山(おおえやま)にある木々に囲まれた自然豊かな場所であり、大きな宿舎が一軒あるだけだった。

 「毎年お世話になっている植田(うえだ)(まい)さんです。彼はここら辺の山の所有者なので、恩寵は自由に発動してもらって構いません」

 真田がそう説明すると、生徒たちは植田に挨拶をした。植田はタンクトップに短パンの質素な格好で所々が泥で汚れている。頭には麦わら帽子をかぶっている。

 「宜しくお願いします!先程も紹介がありましたが、植田です!今日は夕方なので恩寵訓練は行いませんが、明日からビシバシ鍛えていきます!」

 植田は元気よく生徒を宿舎に案内した。中には大きな食堂があり、机の上には大量の料理が並んでいた。

 「近くには、有名な観光地があるので、観光客や遠足の子どもたちが近くを通りますので、危害を加えたり、恩寵を暴発させて怪我させたりのないようにお願いします。少し早いですが夕飯にしましょうか!」

 一学年全員が座っても余りが出る程の大きな食堂に座った生徒たちは、夕食を楽しんだ。その後、軽く中を案内され、事前に決めた部屋に移動し、一日目は終了した。


 その日の夜、宿舎の見える高台の上に、二人の男が立っていた。

 「重杉(おもすぎ)の兄貴!たまたま同じ場所に遠足で来るなんて運命ですね!」

 「うるさいのぉ、(たま)(むし)ぃ。やけに賑わしいと思おたら、高校生が来とるやないかい。“美味そう”やなァ」

 そこには中学生に見えない程巨体で、関西弁の坊主頭の男が立っていた。重杉の口から耳にかけて縫い目があり、口が裂けているように見えて気味が悪い。一方、その男を兄貴と慕う玉蟲と呼ばれる男はランドセルを背負っている。眼下まである襟で表情は分からない。

 「ああもう我慢できひん!明後日にでも襲おか!」

 そう言って、重杉らは去って行った。


 二日目の朝六時半。

 寝ぼけ(まなこ)な生徒たちは外の変化に驚く。

 「僕の恩寵は“植生”。どんなに小さな芽でも一気に成長させ、操ることができるんだ」

 太い木々はアスレチックのように複雑に絡んでいた。

 「目が覚めましたか?」

 真田と水田寺が背伸びをしながらやって来た。

 「今日から恩寵を伸ばす訓練を行います。先の職業体験で気づいた人もいると思いますが、貴方方と本業の方々では実力に大きな差があったと思います。彼らは恩寵を伸ばす訓練をしている人が多いです。それには一週間程度の訓練が必要とされますが、夫丈高校では約三日で行います。ただでさえ辛い訓練を縮小して行うので、より辛いと思いますが、めげずに頑張ってください」

 そう言うと、真田は植田に生徒を任せて宿舎に戻った。

 「僕が君たちに合った木々を用意するから覚悟しな!」

 午前中は、軽めな訓練を行ったが、全然軽くはなく生徒は皆息切れや体がボロボロになった。

 お昼は大きなおにぎりがたくさん並べられ、生徒たちは我先にと食べ始めた。

 お昼の途中、大きな荷車を引いてきた若者が現れた。

 「『ばぁ 神便鬼毒(しんぺんきどく)』です。お酒持ってまいりましたあ」

 そこには、大きな荷車を引いてきたタキシードを着た小さな男の子とご老人が植田の元へやって来た。

 「今日もご苦労様です!今日もいい香りだなあ」

 植田が手で仰いで匂いを嗅いでいる。辺りには芳醇な香りが漂う。

 「植田さん。お酒も扱っているのですか?」

 生徒の一人が植田に尋ねた。

 「このお酒は品質が良くて、料理によく使えるんですよ!それに嗜みたいときもありますよ!それにしても酌斗(じゃくと)君、大きくなったね!」

 「えへへ、おかげさまです」

 その酌斗と呼ばれる男は気弱そうに頭を掻いた。

 「今日は合宿をしているのか!結構結構!儂は酒井(さかい)(ひげ)(きり)じゃ!近くにあるバーの店長じゃ!そして儂の横にいるのが、酒井酌斗(さかいじゃくと)。儂の孫じゃ」

 「よ、宜しくお願いします!」

 酌斗は髭切に紹介されると、深々と頭を下げた。

 「酌斗は中学三年生で、君たちとは年下じゃが、仲良くしてやってくれ」

 そう言って二人は、酒を売ると山内にあるバーへ帰っていった。

 午後も訓練が行われた。午前とは比べものにならないほど辛い訓練を終え、生徒たちは疲労困憊だった。生徒たちは倒れるように眠った。

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