主
白狼と別れてから数時間がたち日も暮れ始めた頃、ノイマンと犬っころが騒ぎだす
「そろそろ食事の時間ではないのか?」
「腹減った!!なにかくわせるのだ!!」
キィーキィー叫ぶ2匹にそろそろ限界だ
「わかったつの!パーシヴァル悪いが適当なところで止めてくれ」
「了解っす、道的にもちょうどいいっすからここで夜を明かっすっす」
タイミングよく平地があったのでそこで朝を待つことにした
料理ができる時間も待てない2匹に街で買ってあったパンを食わせて、肉に香味料をもみ込み焚き火でやく
それと同時に簡単なスープをつくった
「仁さんって料理上手っすよねぇ、料理人でもやってたんすかぁ?」
肉をひっくり返しスープをかき混ぜる俺を隣で見つめるパーシヴァル
「そんな大層なもんじゃねぇよ、両親が死んでから俺と妹で暮らしていたからなこれくらいは身につく」
「そっそうなんすね、なんかすみません」
「すまんすまん暗い話になっちまったな、もう昔の話だ割り切ってるよ」
おれはパーシヴァルの頭をガシガシと撫でる
「さぁ飯にしよう」
おれはパンを奪い合うように食べている2匹に声をかける
一人増えただけなのにどうしてこんなにもちがうのか
つくったスープは空、肉もない
「まだ足りていないぞ、もっとたべたいのだ」
「そうだぞ仁、私はまだ食べれる」
2人、、いや2匹はまだ騒ぐ
「ダメだ!少なくとももう1日はかかるこれ以上は出せない」
「だが腹は減ったぞ!」
「そんなに食べたきゃ食材取ってこい!!」
冗談でいったそんな売り文句でおれは鹿を捌くはめになった
満腹になった俺達にすこしまったりとした時間が流れる
ノイマンとパーシヴァルは夢の中へと船をこいでいる、おれは焚き火を見つめながら、両親が生きていた時の賑やかな食事を思い出し感傷に浸っていた
2人が完全に夢の中に入った時、ウルが立上り声をかけてくる
「少しよいか」
その眼にはなにか決意のような物が込められていた
「お前ら親子は人を呼び出すのがすきだな」
俺はそっと立上りウルについていく
数分歩いた先はすこし開けた場所、その中心で立ち止まるとウルは狼の姿へ戻る
「我と戦え」
「なにかと思えば上等だ、どっちが格上かきめようじゃねぇか」
野生動物の群れにはリーダーがいる、リーダーの選別は色々な方法があるが大体一番強い奴だ
「手加減は無用では行くぞ!」
ウルは魔力をまといながら襲いかかってくる
攻撃は単純、力はあるが使い方を知らないといったところだ
避けて距離を取れば試合は簡単だが、それではダメだ
完全な格上と思わせるには真正面から叩き潰す必要がある
「羅刹解放」
俺は魔力を片腕に集中させる
「鬼拳!!」
拳と前脚、魔力と魔力がぶつかり弾ける
押し負けたのはウル数メートル飛ばされる
「うむやはり力では勝てぬか、すこしまて」
くるりと空中で態勢を立て直したウルは俺にまったをかける
「ちっまったは一回だけだぜ」
時間を与えるとウルは人化のスキルをもう一度使う
しかし完全な人化ではなく腕や足に獣の面影が残っているちょうど漫画に出てくる獣人に近いイメージだ
「待たせたな」
数回手をグーパーさせるとニヤリと笑うウル
「かっこよくなったじゃねぇか」
明らかに纏う魔力が違う、俺は夜叉まで解放する
暫しの睨み合い、風が強く吹いたのを合図に二人は駆け出す
ぶつかる拳、どちらかが一方的にはじかれる事は無い、互角の勝負、その均衡を崩したのはウルだ
魔力の出力を上げ、火力を上げてきた
俺のが少し押され始めている、このままおれも魔力の出力を上げてもいいがそれでは完全に優位には立てないだろう、こいつに認めさせるには泥沼の結果じゃだめだ
俺は攻撃を止め、飛んでくるウルの拳を紙一重で躱すと、ウルの顔にカウンターを放つ
「迎槍拳!」
自分の推進力と俺の推進力、その全てが力となってウルを襲う
吹き飛ばされたウルは受け身も取れずドサッと地面に落ちる
フラフラと立ち上がり、悔しそうな顔をするウル、しかし目は死んでいない
また勢い良くとびかかってくる
俺はまた攻撃を躱し今度は腕を取る
取った腕を勢いそのまま背負い投げをしてウルを地面に叩きつけた
「カッ」
空気を吐くウルの上をとり拳を顔の前で寸止めする
「柔よく剛を制すだぜ、ウル」
おれはよく母親に言われたセリフを思い出しウルに与える
ウルは悔しそうな顔をした後、意識を失った
こいつは強い、命の取り合い、こいつの魔術等の殺傷能力が高い攻撃を使った戦いだったら、俺も苦戦しただろう
しかもまだまだ成長途中、これからが楽しみだ
「はぁしかしやりすぎちまったか」
俺はこいつを今から馬車まで運ばないといけない事に気付きもう少し手加減すればよかったと後悔した
俺はウルを担いでテントまで戻った
テントに戻るとパーシヴァルが起きていて、いきなり消えた俺に文句を言ってきた
「あっ仁さん!!離れるなら一声かけてくださいっす!」
「すまんすまん、急用ができてよ」
そういう俺の背中にボロボロのウルが寝ているのに気付く
「ドっどうしたんすか?!」
「まぁちょっとな」
「あぁーほどほどにしてくださいっす」
何かを察したパーシヴァルはそこから踏み込んで来なくなった
ウルを寝かせるため、馬車に入るとノイマンがねていたのでウルを横に寝かせ毛布をかける
「パーシヴァルも寝とけ、警備は俺がやる」
「そうさせてもらうっす」
ふぁあと大きなあくびを一つしてウルの隣にいくパーシヴァル川の字で寝ている3人はまるで姉弟のようだった
数時間後日が登ってきたころノイマンが先に起きてきた、恐らくおれが作っている朝飯の匂いに気づいたのだろう
「朝早くからいい匂いをさせているではないか」
「鼻がいいやつだ」
おれは町で買った卵と昨日の鹿肉を焼いた物とパンをノイマンに出してやる
おれが出した朝食を2回おかわりしたノイマンは急にしゃべりだす
「それで?決着はついたのか?」
「ばれてたか」
「当たり前だ、朝起きて見たらボロボロのウルが寝ていてたのだ、気付かない方がおかしい」
「そらそうか、まぁあいつは成長途中だ、今は主として認めてくれただろうよ」
俺も目玉焼きを頬張りながら答える
「今はか、マウンティングもほどほどにしておきたまえよ」
そんな会話をしているのウルものそりのそりと起きてきた
俺はウルの分の皿を準備しているとウルは俺の足元に来てかしづく
「我が主、服従のあかぶっ」
俺はウルの頭を木べらで叩く
「なっ何をするのだ!!我が下手にでて主従契約を結んでやろうとしているのに!」
「だからだよ、めんどくせぇよ契約なんて、俺のいう事に絶対服従の駒なんていらねぇ、俺の声をききそれに答える、その関係を結ぶのに変な鎖はいらねぇよ」
「くくっアッハッハッハ、生意気な事をいう人間だ、知らんぞ我が寝首を掻っ切っても」
ウルは大笑いをして、悪そうな笑みを浮かべる
「やれるものならやってみろ、返り討ちにしてやるよ」
俺はウルに朝食を差し出しながら答えた
それからパーシヴァルが起きてきて、全員が朝食を食べ終えてから出発する
適度な揺れと満腹になったからか俺は強い眠気に襲われ少し寝る事にした
「パーシヴァル悪いが少し寝る、着いたら起こしてくれ」
「了解っす」
その声を聞いた瞬間俺は眠りにおちた




