異変
血の雨が止んだのは数分後だった
そこら中に散らばるワイバーンの死体その数32体
それらを全て収納して街に帰還した
その頃に日は落ちていて、門限ギリギリといった感じだった
役所入っても昼間のような騒ぎはなくおちついていた
「クエスト完了だ」
受付嬢にそう伝えると、驚いた顔をしてソフィを呼びにいった
しばらくして慌てた様子のソフィが走ってきた
「クエスト完了ってもうワイバーンを倒されたのですか?!」
「そういったんだがほら、これが証拠だ」
俺は収納からぼとっとワイバーンロードの頭をおとした
「こっこれはワッワイバーンロード!!!大変だ、誰かジルさん呼んできて、仁様ノイマン様をこちらへ」
奥に通され待つこと数分ジルが現れた
「ワイバーンロードが現れたって?詳しく聞かせてよ」
挨拶も無しに本題にいく辺り事の深刻さがでている
「話も何もワイバーンを討伐にいったらワイバーンロードがいたそれだけのことだが」
「それだけが大変なんですよ」
頭を抱えるジルそのわけを話し始めた
「ワイバーンロード自体Aランクの魔獣ではありますが、そこまでの強さはありませんしかし腐ってAランクワイバーンならまだはぐれの可能性がありましたが、ワイバーンロードとなると小鬼の森にでていい魔獣ではありません。なにかがこの国付近で起こっているということです」
「生態系が大きく崩れているそういうことか?」
ノイマンが口を挟む
「そうです、恐らく住処を追われたのでしょう本来ワイバーンロードがいる場所はもっと奥にあるワイバーンマウンテンですから」
「その奥にはこいつより強い魔物が住み着いたそういうことか…」
俺はワイバーンロードの頭を叩く
「そうですね、しかしワイバーンロード以上の魔物がこの街の近くに来るなんてすこし調査をするしかないですね」
珍しく難しそうな顔をするジル
しばらく流れる沈黙を破ったのは誰の声でもなく、勢い良く開かれた扉音だった
「調査なんて悠長なことは言ってられないようだ」
扉を開いたのは返り血で真っ赤に染まった鎧を着ているランスロットだった
ランスロットはドサッとおおきな二首の獣を床に下ろす
「街の周りをパトロールしてたら急にオルトロスが襲って来てよ、おかしいと思ってきてみりゃワイバーンロードもここら辺んに来ていたとわな」
「はぁ~オルトロスが街のすぐそばまで来てたなんて、一体何がこの付近にきてしまったのやら」
「これは一斉捜索をする必要があるな」
「ですね、Bランク以上の冒険者に依頼をAランク冒険者には出動命令を出さなければ、ソフィお願いできますね?」
「わかりました、すぐに発令いたします」
俺たちに一礼してすぐにソフィは部屋をでる
「ノイマン、仁今帰ってきたところでわるいがもう少し働いてもらうぞ」
俺達の肩に手を置き一言残してランスロットも部屋を出る
その顔はヘラついたのもではなく、真剣で殺気だった戦士の顔になっていた
「また明日朝にこのギルド来てください、詳しい内容はそのときに」
そう言い残すとジルも忙しそうに部屋を去る
「めんどくさそうな事になりそうだ」
宿に戻り飯を食って寝て、朝役所に向かった
その雰囲気はいつもの喧騒とは違いピリッとはりついて、十組のパーティー総勢で50人程の男女が集まっていた
その奥にはランスロット、パーシヴァル、ジル、ソフィとソニアそれと2mをこえているであろう巨漢が横並びになっている
「おっきたか、お前らで最後だ」
ランスロットがすぐ俺たちに気付く、そんなに遅い時間でも無いのに俺達が最後のようだ
「では説明を始める、パーシヴァルはじめてくれ」
「うす、皆様にお集まりいただいたのはこの街周辺の調査そして異変の排除です、皆様ご存知でしょうが、この街周辺にいま高ランクの魔獣集まって来るっす、ワイバーンロードにオルトロスなどが確認され討伐されて、このランクの魔獣が住処を追われる程の異変が起こっているっす皆様には東西南北に分かれて異変の原因を排除してもらうっす」
オルトロス、ワイバーンロードという魔獣の名前にどよめきが起こる
「何か質問があればお応えするっす」
「ワイバーンロードとオルトロスは誰が始末したんだ?」
「ランスロットさんとその奥にいる海道夫婦っす」
どこからか質問が飛びその回答に全員がこちらを振り向く
「まだ夫婦じゃねぇよ」
「む?ちがうのかあの時責任を取るといったではないか」
俺のつぶやきにノイマンが食い下がる
「いやその…いやそれでいい」
笑い声が役所に響き、場が少し和む
「ぷっ、ほっほかに質問ないっすか」
パーシヴァルが噴き出しながら場を進める
「東西南北に分けてと言っていたがどう分ける、おれは海道夫婦とは一緒に行きたくないな、惚気られたらたまったもんじゃない」
銀髪の男が声をあげる
「各Aランクパーティーの4組に東西南北それぞれにあたってもらいそこにBランクパーティーの皆様についてもらう予定っすから、銀の剣の皆様と海道夫婦は別行動になるので安心して欲しいっす」
「おいおいあいつらAランクかよ、Bランクに同情するぜ」
ギャハハはと銀髪男のパーティーらしき奴らが下品に笑う
その笑いにつられてか他のパーティーも笑い始めた
「弱い犬ほどよく吠える、なるほどこういう事を言うのか」
ノイマンが下品に笑う奴らをゴミをみる目で見ながら鼻で笑う
ことわざも翻訳の効果でしっかりと意味まで伝わってしまったようだ
「弱いだと?このAランクパーティー銀の剣のリーダーの俺がか?」
銀髪男の殺気とどすの効いた言葉でざわつきはとまる
「なんだ弱いだけじゃなくて頭も悪いのか?」
その言葉の完全にキレた銀髪男が腰のロングソードに手をかける
「あぁ?このクソアマ」
めんどくさい事になりそうだそう思っているとドォッン!という爆音が響く
どうやら爆音の正体は巨漢が持っていた鎚をおろしたようだ
「やめねぇか」
爆音の後ではあまりに小さな一言、しかしたしかにここにいる全員の脳まで揺らす一言
「親父!!しかしよ、あのクソアマが!」
「シルバ俺の言葉が聞こえねぇのか」
「ちっ!」
シルバと呼ばれた男はしぶしぶといった感じで矛をおさめる
しかし似てない親子だ
「すまねぇな、うちの小僧がちょっかいかけてよ」
「かまわない、挑発をかったのはうちのもんだからよ」
両者和解のあとパーシヴァルが司会を再開する
「全4組にわかれ各方向にAランク冒険者のパーティーそれと我々円卓の騎士のランスロット、トリスタン、そして自分が、ギルド部門からジルが各一名づつつくっす、チームはランスロットさんから」
パーシヴァルがさがりランスロットが前に出る
「爆炎の獅子と俺で東、海龍の魔女とジルで西、銀の剣とトリスタンで南、そんでもってかっ海道夫婦には…ぷっ北をパーシヴァルと担当してもらう、Sランク以上の魔獣が予測される発見次第魔石を投げて合図をだす、1組で当たらず他の班の到着を待つように」
ランスロットの号令の後、各班にBランクパーティーが振り分けられいよいよ出発って時にランスロットからAランク冒険者だけのこるように声がかかる
「出発の前に各班のリーダー格だけでも自己紹介がいるとおもってな、まぁ知り合いじゃないのは海道夫婦位だろうけどな」
残ったのは俺を含めた9人
赤髮の男から自己紹介がはじまる
「俺はレオ、レオ・イフリート爆炎の獅子のリーダーをやっている、前衛で体術と魔術を使って戦うよろしくな海道夫婦!」
ばんばんと背中を叩くレオンという男、なんでこうこの世界のゴツイ男はこうも背中をたたきたがるのか
「私はサーペ・シードラコ、後方からの水魔術での攻撃得意としています、よろしくお願いいたしますね海道夫婦」
上品にお辞儀をする青髪のきれいな女性、しかしながらその笑顔の奥に何やら腹黒い物を感じさせる人だ、あまり怒らせない方がいいだろう
「っち、おれはシルバ・ペンドラゴン、銀の剣のリーダーをやっている足だけは引っ張んじゃねーぞ」
悪態をつくシルバ、こいつとは仲良くはなれなそうだな
「おれは海道仁、基本的に前衛だあと海道夫婦はもうやめてくれパーティー名はまた考えるからよ」
「私はノイマン・カイドウ、魔術での後方支援を得意としている、パーティー名は海道夫婦でいい」
こいつ、、恥ずかしくないのか
少し気恥ずかしさもあり俺は顔を背ける
そんな俺たちを暖かい目でニヤニヤしながら眺める一同とイライラする一人の銀髪
「かぁー!やってらんねぇよ、親父!早く行こうぜ」
「あぁ、俺はトリスタン・ペンドラゴン、息子がすまないな」
トリスタンはシルバにせかされながら自己紹介を済ますとシルバと一緒に自分たちの班と合流した
「まぁこんなもんだろ、じゃ各自健闘を祈る」
ランスロットが号令をかけ、俺達も自分の班と合流する
門の傍に待機している2つのパーティーが俺達に気付くと少し落胆するような表情をみせる
「げっ海道夫婦かよ」
そのうちの一人の少年があからさまに落ち込んだ
「馬鹿声に出すな」
そのその少年はリーダーと思われる男に頭をはたかれる
しかしクスクスという笑い声は2パーティー両方から聞こえる
(ったくあいつらのせいで完全になめられているな)
俺パーシヴァルを睨む
そっと目線をはずすパーシヴァルにあきれながら俺はこれからの事をかんがえて少し〆る事にした
〆るといいっても暴力をふるうわけではないこいつらもBランク力量くらい測れるだろ
「またせてすまない、おれは海道仁よろしく頼む」
おれは手をさしだす、もちろんたっぷりの殺気をこめて
リーダーらしきふたりがまえにでできて手を交わす
両方とも俺がにっこり笑ってやるとひっという声をあげて仲間のもとへさがる
リーダーのおびえっぷりに異変を感じたパーティー全員が俺をみる
「俺を小馬鹿にするのは結構だが、いまから行くのは戦場だ気を引き締めてくれ」
俺は笑顔のまま通り過ぎ一番後ろにいた頭をはたかれた少年の肩に手置いて念を押す
「はっはい」
さっきまでの生意気フェイスはどこへいったのか、従順になった少年をみてすこし笑ってしまった
「やっぱり怖いっす仁さんって」
「大人げないことをするものだな」
こいつら誰のせいでこんな面倒な脅しをかけなくちゃいけないと思ってやがる
今晩あの二人の飯なしだなそう心にきめながら俺たちは自己紹介程々に街を出た




