飛龍の牙
今まで俺がいた場所は、もう存在しない
地面は何かに食われた様にえぐれ、大気が失った物を補うかのように流れる
「ネブラちゃんやられとるやんどないしたん腹でもいたいん?」
そんなひょうきんな声が聞こえる
「ボッボス、す…みません、」
「ええてええて、休んどきなワイがかわるさいかい」
白髪でツーブロックの男はネブラに駆け寄り何か薬を渡す
「やってくれたのぉ兄ちゃん」
おれは返事もせずに解放段階を上げる準備を始めた
「ありゃ無視かいなえらい…」
しかしその準備が終わる前に男の姿が消えた
「無愛想やないか」
目の前に現れた男の顔
俺は急いで腕に魔力をまとわせ防御態勢を取った
「挨拶がわりや、死なんといてや」
男の拳がガードもろとも仁を吹き飛ばす
壁に衝突する仁を隠すように砂埃がまう
「しんでへんかぁ兄ちゃん?」
男がゆっくりと近づく
次の瞬間今度は男が吹き飛ばされた
「いたいやんか、この後デートやねん顔はやめてや」
「はっ、ボッコボコにしてでドタキャンさせてやらぁ」
ただで吹き飛ばされる仁ではない土埃で姿を隠して2段階目羅刹を解放させて、男に一撃を浴びせる
「そういや自己紹介がまだやったなワイはクリークまぁなかよぉしてな」
全然きいてねぇ、こいつは本格的にヤバイかもな
顔面に喰らわしたのにぴんぴんしてやがる
「俺は海道仁よろしくっな!」
俺はクリークにかまいたちを放つ
それを軽くよけるクリーク、仁はそのよけた先に魔銃を放つ
だがそれも避けられる、しかしそれは想定済み
一度避けてからの回避は一度目の回避よりも隙が大きい
そこを狙い高速で駆け寄る
「我流羅刹ノ型一ノ奥義鬼拳羅刹」
溜めが足りない分を魔力で補いながら放った一撃さすがに効いただろう
そう思ったが甘かったらしい
「なんや、そんな戦いもできんのかいな、油断したわ」
ガシッと受け止められた拳、握りしめる奴の手は鱗を纏っていた
「けど甘いわ甘い、ワイに一発食らわせたかったらもうちょっと考えや!
」
仁は拳を握られながら持ち上げられ、そのまま地面に叩きつけられる
「が!!」
「ほらほらまだまだいくで!!」
振り回され何度も地面に叩きつけられる仁
魔力で防御力をあげるがそれが間に合わないほどの力
「ほら気張りや!」
仕上げと言わんばかりに膝を入れ空に打ち上げる、
「よけなしぬでぇ」
ゆっくりの腕を上下に開くクリーク
「スキル、ドラコンバイト」
そして勢いよく閉じた
クリークの体から魔力が溢れだし、竜を型どり、大きく顎門を開いて仁を喰らおうと襲いかかる
その瞬間仁は死を感じ取る
このままでは死ぬ、ネブラに止めをさそうとした時と同じいやそれ以上の悪寒が走る
急いで体勢をたてなおし高速で何もない空中に蹴りを入れる
「我流、働ノ型、一ノ足、空踏み」
勢いよく踏み出した足は空気を蹴り仁の体を動かす
数メートル上移動したおかけでギリギリ回避することができた
「ほんまおもろいやつやなぁ、仁くん避けられると思わんかったわ」
まだまだ余裕をかますクリーク、仁は人生で一番の危機に陥っていた
正々堂々とは言えないがあれを試すか
「なめるんじゃねぇぞ」
仁は再びクリークに駆け寄る、刀を振り回すがその刀はクリークにには当たらない
次々と避けられる
「なんや急に雑やな、つまらんでそんなんわ」
クリークに攻撃の隙は与えない、常に前進、そして時はくる
クリークの後ろに壁が迫る、クリークとってそれはどうでもいいことだ
やろうと思えば仁を吹き飛ばすことなど容易だからだ
この油断が、クリークに傷をつけることになる
仁は少し距離を取り刀をクリークに投げつける
それは簡単に避けられた
しかし仁はすぐさま魔力を足を強化してクリークに近づいた
「なんや、策でも尽きたか?」
その行動はクリークには無策に見えた、よくある雑魚の悪足掻き
目の前にいるやつはとるに足らない奴だった
もう殺してしまおう、この突っ込んでくる雑魚を
クリークがドラゴンバイトの型を取る
「ドラゴンバイト」
そう呟いたときだった
死に体のネブラが声をあげた
「ボス!後ろ!」
しかしもう遅かった、クリークの背中は大きく切り裂かれた
仁が無策に投げたと思われた刀は壁に綺麗に跳ね返りクリークを襲った
我流、投ノ型、二ノ剣、剣礫
威力と使う場所が限られる仁の技のひとつ
「ぐっ!」
それだけでは終らない、そこに仁の追撃がくる
「鬼拳羅刹!!」
綺麗に決まり、拳は腹にめり込む
「がっ!!」
まだまだ終らないさがった顔にアッパー、そのまま打ち下ろしの拳
打ち下ろした、動きを回転させ、テンプルに蹴り
回転時に刀を拾い大烈斬の型に入った
「終わりだ、大烈斬!!」
振り下ろす刀、決まったそう思った仁
その希望は刀と共に折られた
パキン!と甲高い音が響く
ふりおろした刀はクリークの腕に阻まれいとも簡単にはおれたののだ
その腕は先ほど同様鱗を纏っているが、その鱗がさっきまでのものとは見るからに違う、赤黒く、鉄のように鈍く光る
「嘘だろ」
名刀ではないがそこそこの刀だったそれがおれるって
仁はとりあえず距離を取ることにした
地面を蹴ったその時だった、クリークが目の前に現れ仁の腹を殴った
「ほんま調子こいてたらいてこますぞクソガキが」
「ぐっ!がっは」
内臓にダメージが通り吐血する、一撃で仁は地面に倒れる
「お前だけは絶対殺す、後々面倒くさそうやからな」
クリークが力をため、ドラゴンバイトの構えに入る
「今度こそ死ねや」
ゆっくり腕を閉じるクリークその時だった
「させねぇっす!!アースジャイアント!」
後ろから急に現れたパーシバルが魔術をクリークに向かって放つ
「ちっ!」
クリークは構えをやめ岩の巨人の一撃に拳を合わせる
巨人の拳は粉々砕けクリークの視界を奪った
「ちっパーシバルかいな」
クリークが土煙を払った時にはそこにはもう仁の姿はなかった
クリークは悔しそうに地面を踏む
「海道仁、あいつだけは絶対に殺したる」
びきびきと地面にヒビが入る
「ボスすみません、俺がいながらこんな事態に」
ネブラがボロボロの体に鞭うってクリークの足元に跪いた
「しゃぁないわ、ありゃバケモンやまだ底をもっとるこの場所でお前がかてる相手やないわ」
すぅーっと深呼吸をしながら気持ちを落ち着かせるクリーク、ゆっくりと竜化を解いて行く
「生存者は何人ぐらいおるんや?」
「死亡したものは入り口の見張り、防衛隊長エズルとその全部隊、それと敵前逃亡をした隊員を一人自分が処刑しました、残りは後ろに下がらせているので生存率6割ほどでしょう」
「まぁ上場やわ、今すぐ引き上げるでここはもうばれとる基地かえんとな、パーシバルが来とるってことは人質も女も全部持ってかれとるやろしな」
「はっ!すぐに準備を」
少し回復して体力を戻したかネブラは霧の様に消え、作業にとりかかる
「ほんま厄介者やけど、ちょっと楽しみなってきよったわ爪の奴にもしらせたるか」
クリークはこれからの強敵になるかもしれない者への期待を胸にゆっくりと闇へきえた
パーシバルは仁を抱え洞窟を抜け森にはいった
「大丈夫っすか?これのむっす」
仁を寝かせポーションを仁に飲ませた
「かっ、ゴホッたったすかった」
ポーション種類によって様々な効果を発揮する液体、漫画で読んだことがあるが体験するとすごい効き目だ
内蔵がやられボロボロだった体も元通りだ
「それよりあいつはだれだ、クリークとか言ったか」
「クリーク、飛竜の牙のリーダーで強さで言えばランスロットさんレベルの怪物っすね、まさか奴がかえっくるとは自分のリサーチ不足っす」
あいつは想定外の敵だったってことか
「久々に感じたぜ死の恐怖ってやつを」
「ほんと申し訳ないっす、けど奴に遭遇して生きてられるなんてやっぱりランスロットさんが見込んだだけはあるっす」
「あいつはは何者なんだ、クリークってやつは」
「クリーク、クリークドラゴニル、今回の標的の山賊団のボスで、その元締め山賊団飛竜の三人いる幹部の一人っす」
「はぁ?!三人いる?!ってことはあいつレベルがあと二人いるってことかよ」
しかも幹部ってことはあいつよりついやつがいるってことだ
「その通りっす、まぁ三人のなかで一番強いのがクリークドラゴニルですけど」
「たまんねぇな…最高だぜ」
仁のそんな変態じみた発言に耳を疑うパーシバル
「うわぁ、やっぱりランスロットと同じ人種っす」
引いてますって感じを全力でだしているパーシバルにムカつきながら仁は肝心な事を聞きそびれている事に気付く
「そう言えば人質はどうなったんだ?」
一人たりとも姿がないが
「先に馬車で返しているっす」
「そうか、無事ならいい」
「あまり無事とは言い難いっすね」
パーシバルははにかみながら顔に影を落とす、悔しそうで悲しそうそんな表情を浮かべる
「生きてればなんとかなるさ」
励ましにもならない事を言いながらまちへ帰る準備をはじめた
町の入り口のにつく頃にはもうすでに日は落ちていた
門をくぐり役所に報告に戻る
「今戻ったっす」
「おぉ生きて戻ったか」
そこにはランスロットとジルがゆっくりお茶をのみながら座っていた
「報告っす、人質は150人ほど解放したっす、全員ほぼ瀕死っす、体より心が問題になりそうです」
「そうか、すぐに治療に当たらせろ」
「アジトは死体の数から少なくとも半分は壊滅っす」
「半分?任務は殲滅だったはずだが」
「悪食クリークドラゴニルが帰ってきた為、全滅前に撤退したっす」
すこし、顔を曇らせて、ご苦労様とパーシバルの肩を叩き下がられた
「初依頼から苦労をかけた、良く生きて帰ったもんだ」
「全くだ、久々に感じたよ、死の恐怖を」
「しかし流石だな、アジトを半壊させて、クリークのやろうから生き延びるなんてよ、俺が見込んだだけはある!ガッハッハ」
豪快に笑いながら、仁の背を叩くとすぐに難しい顔になりソニアを呼ぶ
「ソニア、お前も聞いただろう」
「はっ!飛竜の牙アジトの偵察を強化いたします」
「半壊させたならもう場所は変えているだろうが、一応頼む」
指示を得たソニアはすぐさま姿をけす
「被害者の回復にソフィは…ノイマンちゃんにつかまってるか、ジル、お前いけ」
しょうがないとしぶしぶ立ち上がり出口に向かった
「これで一安心か」
ふぅーと息つくランスロット
「落ち着いたとこ悪いが聞きたいことがあるんだが」
「なんだ?」
「クリークドラゴニルってやつの攻撃ドラゴンバイトだったかあれはなんだ」
「あれか、奴ら山賊団飛竜そこから別れる3つの山賊団がある」
パーシバルが言っていた3つの幹部のことか
「それぞれ牙、爪、翼の山賊団にわかれ、格リーダーには特別なスキルが与えられる牙のリーダークリークにはドラゴンバイトってわけだ」
「特別なスキルか」
あんな空間を削るスキルがあるのか
油断ならねぇな、見た目にはない攻撃がくる可能性があるってことだ
「まぁアイツみたいなスキルをもってるやつそうはいねぇ、貴重な体験だったな」
「体験でしにかけてりゃ世話ねぇぜ」
そりゃそうだと豪快にわらうランスロットにイラつきながら、拾った銃の事を思い出した
俺はアイテムボックスから拾った銃をだす
「これを敵から奪ったんだがなにかわかるか?」
「ほぉ、魔光銃だな、魔力をエネルギーにして打ち出す銃だ、威力があるが一発でかなりの魔力をくう代物だ」
「連続発射は?」
「普通の人間はできない、俺らなら十発が限度かな」
やはり俺の魔力はかなり高いようだ、覚えておこう
「そうか」
「かなり貴重な物だ、大事にしろよ」
「へぇ、大事につかうよ」
俺は銃を収納して、出口向かおうとする
「おい報酬うけとってけ」
おっと忘れるところだった
「どこでうけとればいい?」
くいっと顎で受付をさす
「そこにカードもってきゃ受け取れる、クリークの件で色をつけておいた」
「太っ腹なことで」
俺は受付嬢にカードを渡す、受付嬢は慣れた様子で奥から麻袋を持ってきた
「こちら金貨100枚はいっております、ご確認されますか?」
百万か、これでしばらくはいけるな
「いやいい、ありがとう」
俺は麻袋を受け取り役所をでる
これからどうするか宿に戻ろうか、そうおもっていると、遠くのほうからノイマンが歩いてくるのが見えた
「仁!!やはりこの世界は面白い!!」
そのにやけ面に嫌な予感を感じた




