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第3話 身寄りがない僕たちですが、二人が『怪異』になった切ない過去を知りました

「この街の荒れ方…何があったの?」


 俺が尋ねると、ノアは小さな拳をぎゅっと握りしめ、ぽつり、ぽつりと語り始めた。


「……『戦争』だよ。」


「戦争……?」


「数か月前、隣国との戦争でこの街・『アレシア』が戦場になったんだ。兵士どもが雪崩れ込んできて……僕の本当の親は、身勝手な兵士の剣にかかって殺された。」


 ノアは激しい憎悪を瞳に宿し、歯を食いしばる。


「家も焼き払われて、一人で泣き叫びながら逃げ惑ってた僕を……見知らぬ『お姉ちゃん』が、崩れてくる瓦礫と兵士の刃から庇って抱きしめてくれたんだ。それがシロ姉ちゃん。」


「シロちゃんが……」


「…(コクコク、と小さくうなずく)」


 俺がシロを見ると、シロは静かに目を伏せ、ノアの手をぎゅっと握りしめた。


「シロ姉ちゃんだって、普通の女の子だったんだ。血の繋がりも何もない、ただの赤の他人の僕を守るために、必死で覆いかぶさってくれて……。でも、乱入してきた兵士たちの攻撃と落ちてきた瓦礫のせいで……僕たちは理不尽に殺されたんだ。」


 ノアの声が震え、その全身から冷酷な殺気が漏れ出す。


「人間の欲望や身勝手な都合で、僕たちの命も、平和な暮らしも全部奪われた……!僕の強い無念とシロ姉ちゃんの強い想いで、僕たちはここにいる(ルビ点)。生きている人間には姿も見えない、声も届かない……ただ存在しているだけで周囲を殺す化け物として。」


 ノアは剥き出しの憎悪を込めて、俺を睨みつけた。


「僕は……自分たちの身勝手で僕たちを死に追いやった人間どもが憎くてたまらない! だから世界中の人間を呪い殺そうとしてたんだ。苦しめて苦しめて皆殺しにしてやるってね……でも、最初から失敗した。お前のせいで。」


『……(シロは優しくノアの手を包み込む)』


「シロ姉ちゃんの冷たい手に気づいて温めてくれて、僕たちに温かいスープをくれて……。」


 二人のあまりにも切なく、理不尽な過去。人間の醜さと残虐さに巻き込まれ、最期の瞬間に絆で結ばれた二人は、お互いを「最後の保護者」として守り合ってきたのだ。


 俺の目から、ポロポロと涙が溢れ出してきた。


「うぅ……二人とも、そんな辛い目に遭っていたんだね……っ」


「なっ……!? なんでお前が泣いてんだよバカ!」


「だって……可哀想すぎるじゃないか……!血が繋がっていなくたって関係ないよ。シロちゃんもノアくんも、俺にとっては大切で愛おしい家族だ!」


 俺は二人の小さな身体を、力いっぱい抱きしめた。


「これからはもう、寒い思いも、寂しい思いもさせないからね。俺がずっと、二人においしいご飯を作って、温かい居場所になってあげるから!」


「ユウキ……お前、マジで変な奴だな……。」


 ノアは呆れたように言いながらも、俺の胸にぽすっと顔を埋めて静かに泣いた。


 シロもまた、俺の背中に手を回し、二度と離れないと言わんばりの力で抱きしめ返してくれた。


 …強い…これが呪怨がこもった力なのか…。


 ――こうして、二人の過去を知った俺は決意した。


「よし!明日からは稼いで、二人のために美味しい肉と、甘いお菓子を買って帰るぞ!」


「うんッ!忘れんなよ、ユウキ!」


『……(両手をあげてとても嬉しそうに頷く)』


 第3話を読んでいただきありがとうございます!

 

 ノアの強い憎悪の正体は、身勝手な人間の戦争に巻き込まれた理不尽な死でした。最期に守ってくれたシロとの絆がとても切ないです。


 「ノアの言うことも一理ある」「2人の活躍が見たい」と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録と下部の**評価(★★★★★)**をいただけますと大変励みになります!


 明日も21:00に更新します!

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