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第23話 【真相解明】王女様を救出して無事帰還……と思いきや、黒幕はお前だったのか!? 影で糸を引いていた奴の化け皮を剥ぎ取ります!

 数日間に及ぶ長い強行軍の末、俺たちは傷ついたエレノア王女を抱え、命からがらアマリア王国へと戻ってきた。


 城の奥深く、重厚な扉に守られたエレノア王女の寝室。


 静かな室内に、ベッドに横たわる王女の弱々しい呼吸音だけが微かに響いている。命に別状はないものの、背中に深く刻み込まれた黒い『刻印』の影響か、その意識は未だ朦朧としたままで、まともに声を発することすらできずにいた。


「エレノア……! ああ、エレノア……!!」


 車椅子に揺られ、伏していたアムルガード国王が、エルル王妃に支えられながら寝室へと駆け込んできた。


「すまない……すまない、エレノア……ッ! ワシらの愚かさのせいだ……! 国の安寧のためなどと騙され、お前をあのような恐ろしいヴェルガルドへ引き渡してしまったばかりに……ッ!」


 国王の体調は、エレノア王女を救出した影響か 霊体が引き剥がされたことによって奇跡的に回復し、なんとか会話ができるまでに持ち直していた。しかし、最愛の娘の痛々しい姿を前に、国王の目からは溢れ出る涙が止まらない。


「ああ、愛しい我が子よ……! 本当によくぞ生きて帰ってきてくれました……!」


 泣き崩れる国王と、その肩を抱きしめて共に涙を流すエルル王妃。

娘を救い出せた安心感と、自らの政治的判断が招いてしまった悲劇への激しい後悔が、重く部屋の中に満ちていた。


 そこへ、静かに扉を開けて一人の男が入ってきた。黒髪に眼鏡をかけた冷徹な側近――ハインツ。


「おお、エリオ……。 無事だったのだな。王女様を連れ戻したと聞いて駆けつけたぞ。」


 ハインツは安堵の表情を浮かべながらエリオに声をかけ、そのまま倒れ込んでいるエレノア王女のベッドへと静かに近づこうとした。


「エレノア王女様……ああ、ご無事で本当に良かった……」


 ハインツが王女の元へ手を伸ばそうとした――次の瞬間!


 シュンッ……!!


 言葉もなく様子を見ていたノアが、右手の人差し指と中指をクイと手前に動かし、死の呪気を纏わせた尖った一撃を、ハインツの首元目がけて容赦なく突き刺した!


———パリィンッ!!


 奥の窓ガラスが割れる。


「あぁっ!?」


「っ…!な、襲撃か!?なにが起こっておる!!」


 アムルガード国王とエルル王妃が当たり前のように驚愕する。それはそうだ。2人からすれば突然激しく窓ガラスが割れたのだから。


 しかしハインツは眉ひとつ動かすことなく、まるで最初からその軌道が見えていたかのように、身体を後方へ滑らせてノアの一撃を完璧に回避してみせた。


「ユウキ殿!私が盾になります!」


 そう言いながら、エリオが息を荒くさせてエレノア王女が寝ているベッドの前に仁王立ちする。


「…………。」


 静まり返る室内。


 ノアはハインツに向かって挑発的な笑みを浮かべた。


「……へえ。お前……なんで避けた? ……いや、なんで『避けられた』んだ……?」


 ノアの問いかけに、ハインツの眼鏡の奥の瞳が冷たく細められる。


「急に何をされるかと思えば……危険な気配を感じて咄嗟に身を引いただけのこと。王宮内…それもエレノア王女の寝室でこのような暴挙は――」


「ハインツ…?お主…一体誰と話して…」


 状況が飲み込めないアムルガード国王が思わず口を開く。


「…っ!」


「白々しい演技はもう終わりだ、ハインツさん。」


 俺が前に踏み出し、冷徹な視線をハインツへと向けた。


「最初から……ハッキリと視えていたんだろ? 死者であるシロやノアの姿も。エレノア王女の幽体も。」


「……何のことですかな?」


「隠しても無駄だ。俺たちはアマリア王国へ戻る道中、全てのピースを繋ぎ合わせたんだ。……エレノア王女を救出しにヴェルガルド王国に行った夜のこと、俺の首を寸分狂わずに狙った刺客、あれはあんただろ、ハインツさん。」


 ハインツは無言のまま、ピクリとも動かない。俺は言葉を重ねた。


「俺たちが追い詰めた後……裏口で死体になっていたギルドの受付嬢。あれはお前が『すり替え』のために用意し、口封じに殺した身代わりだ。」


「(……私が……あの女性の死体の腕を確認した時……分かったの……)」


 シロが静かに前へ進み出て、ハインツを指差した。


「(彼女の腕には……屋根の上で私の攻撃を受けたはずの『跡』が……どこにも残っていなかった……。つまり、あの刺客と死体になった受付嬢は……別人……!)」


 あの夜、シロの呪怨攻撃を物理的に弾き返し、屋根の上を人間離れした動きで逃げ去った本物の刺客――それこそが、ハインツだったのだ。


「ハ……ハインツ……!?」


 事態の急転直下に、エリオが目を白黒させ、悲痛な叫びを上げた。


「やはり…お前なのか…?ハインツ…。ユウキ殿から、お前が黒幕だと聞いた時は到底受け入れられはしなかった……!今でもそう思っている…何かの間違いだと…。国王陛下に忠誠を誓い、私と共に王女様を心配していた……一番の理解者だったではないか……!?」


 エリオは信じたくない一心でハインツの顔を見つめた。最後まで、自分の仲間であり同僚であった男を信じようとしていたのだ。


「ハインツ……! 答えろハインツ……! ユウキ殿たちの言っていることはデタラメだと……! お前が王女様を陥れるはずがないと……笑って否定してくれ……ッ!!」


 エリオの血を吐くような叫びが、豪奢な寝室に虚しく響き渡る。


 しかし――いつまでもハインツは否定しない。


 ただ静かに人差し指で眼鏡のブリッジを押し上げると、今まで見せたことのない、冷酷で嘲笑に満ちた「真の素顔」を露わにするのだった。


第23話を読んでいただきありがとうございます!


黒幕は家臣のハインツでした。エレノア王女を救出しても「終わった気がしない」とわだかまりをないがしろにせず、最後まで推理したユウキたちの鋭い考察力に脱帽です。


「いつまでも信じていたエリオが不憫だ。」「ハインツをコテンパンにして欲しい!」と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録と下部の**評価(★★★★★)**をよろしくお願いいたします!


明日も21:00に更新します!


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