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第4話 ここにコメ欄指示待ちのバカ1匹

「よし、次どっちに行けばいい!? 師匠たち頼む!」


あれからというもの、晴真は完全にコメ欄を信じ切っていた。

『右行け』と言われれば右へ曲がり、『罠注意』と言われれば警戒して進む。

配信のテンポも良くなり、いつの間にか同接は3人から「15人」まで増えていた。


言うまでもないがまだ少ない方だ。


『おお、なんか指示通りに進んでる』

『素直なアホは扱いやすいな』

『まあ教えた通りやってれば1層は安全だし』


「へへっ、だろ? 俺、教えられたことは素直に実行するタイプだからさ! コメ欄の言った通りにしてれば余裕だわ!」


コメ欄に有識者が多いのか!調子良く進んでいく晴真。コメ欄との間にも、どこか「奇妙な信頼関係」のようなものが生まれつつあった。


そんな時、一人のリスナーがコメントを書き込んだ。


『あ、この先の分岐を左に行くと、安全に回収できる小宝箱があるよ』


「マジ!? 宝箱あるの!? 師匠マジでサンキュー!」


それを見た他のリスナーも思い出したようにコメントする。


『あー、確かそこにあった希ガス』

『初心者用の固定湧き宝箱だっけ』

『あれ、そこだっけ?』


「よっしゃ! 宝箱GETして一獲千金への第一歩だぜ!」


晴真は一切の疑いもなく、教えられた通り左の通路へとダッシュした。

突き当たりにあったのは、確かに古びた木の宝箱。


「うひょー! 宝箱発見! いただきま――」


晴真が宝箱へ手を伸ばそうと一歩踏み出した、その瞬間だった。


ガチャンッ!!


「え?」


足元の石畳が突然パカリと観音開きになった。


「うわあああああああああああああっ!?」


底が見えない暗闇へと、真っ逆さまに落ちていく晴真。絶叫がダンジョン内にこだまする。


その頃、コメント欄は未だかつてない大パニックに陥っていた。


『えっ!?』

『待って、なんで落とし穴あるの!?』

『あ、やばい!! 先週のダンジョンアップデートで罠配置変わったんだった!!』

『マジで!? 故意じゃない事故じゃん!!』

『おい金髪生きとるか!?www』

『ごめんマジで忘れてたwwww』


――ドサッ!!


「ぐへっ……!? い、痛ぇぇええ……死ぬ……腰抜けた……」


数メートル下へと落下した晴真は、大量の土埃を上げながら這い起きた。

全身の激痛に耐えながら三脚のカメラを覗き込む。


「お前らぁぁぁ! 騙したなクソが!!」


『すまん本当に悪気はなかったww』

『構造変更忘れてたわw』

『ほら言ったやろ』


「ふざけんな! ここどこだよ!!」


晴真が周囲を見回すと、そこは1層の明るい岩肌とは打って変わり、湿り気のある不気味な紫色の苔で覆われたエリアだった。


壁に刻まれた看板には、大きく『地下3層』の文字。


「……は? 3層……? 一気に2階層も落とされたのかよ……!?」


絶望に顔を歪ませる晴真。

そして、この危険すぎる3層で、晴真の「ある欲望」が爆発することになるのだった。

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