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第31話 狩り

「さっさと出てこい! コソコソとしてんじゃねぇ!」

おかしい。 俺は完璧に隠れていたはずだ。 足音も立ててないし、誰にも見られてないからバレているはずがない。 おそらく別の人を見つけたのだろう。

「でかいしっぽがゆらゆら見えてんだよ! 早く出てこい!」

じゃあ俺か。 俺のもふもふなしっぽが物陰から出てたらしい。

「バレたならしょうがない。 はい、大人しく出てきたので見逃してね」

隣のメイダは気付かれてないと思うので、メイダにそこに待機するよう伝えて、俺だけ姿を現した。声をかけてきた奴らは全部で4人だった。全員こわーい顔をしている悪党っぽいやつらだ。

「はんっ! 獣人なら見逃すわけねーだろ。 しかも狼獣人だとはな。 俺たち運がいいぜ! 狼獣人は高く売れるんだからな」

獣人って売れるんだ。大人達は獣人のこと嫌ってるんじゃないのか?

「おいおい、俺が誰か分かってんのか? ちまたでは有名な殺し屋をやってるんだぜ。 この鋭い爪を見な」

イチかバチかで嘘ついてみる。逃げてもいいけどメイダがやつらにバレると面倒だ。

「制服のまま言われても信用できるわけねーだろ! 痛いようにはしないから大人しくしな」

あっ、俺たち制服のままだった。なんで着替えてこなかったんだろうか。後悔してももう遅いので、大人しくする。

「うぅ〜、大人しくするので乱暴しないでください。 売るなら優しそうな人のとこでオネシャス」

「それは無理だな。俺らは高く売れるとこで売るだけだ」

そう言って4人は俺を縛る縄を持って近づいてきた。

「逃げられないよう縛るから手を後ろにしろ」

なんだこいつら。 何も警戒せずに近づいてくるじゃん。 俺にとったらやりやすいから良いけど。

「へへっ、巡回してたらこんな収穫があるとはな。おい前ら、他の奴らに見つからないように見張れ」

完全に4人が油断し、俺から注意が離れたところで、俺は俺の後ろにいるやつの顔面を、素早く振り返って全力でぶん殴った。

ドゴォ! というでかい音とともに殴られた男はふっ飛んで気絶した。 

見張っていた3人もでかい音を聞いてこちらを振り向いてくる。

「何してんだお前! 大人しくしてれば痛い目に合わせなかったっていうのによぉ!」

「ハンッ! 大人しくするわけねーだろバーカ! 獣人の力舐めんじゃねぇ!」

「調子に乗りやがって! 多少傷つけてもいいから気絶さs、グハッ!」

俺は相手が言い終わらないうちに間合いを詰めて、相手の顎を思いっきり蹴り上げた。

そして戸惑っている2人のうちの片方にすばやく駆け寄ってまたもや顔面をぶん殴って気絶させた。

「はいあとお前だけー!」

最後の1人は魔法が使えるらしく、火の玉を飛ばしてきた。

「くらいやがれ!」

でも俺はフレンダとの模擬戦で知っている。まあまあ弱い魔法なら殴って消せることを。

なので俺は向かってくる火の玉を殴って消した。

「何ですかあのちいせー火の玉はぁ、やる気あるんですかー?!」

「ヒィッ、このバケモンが!」

そう言って最後の1人は俺に背を向けて逃げ出した。

狼獣人に背を向けて逃げちゃダメだよ。

逃げた人間に俺はあっという間に追いつき、後頭部に拳を思いっきりふり下ろした。

あー気持ちよかった。 前絡まれた時は何もできなくてストレス発散できなかったんだよな。

「ご主人様ー。 終わったから出てきていいよ」

「よくやったわねレイ。 護衛としてもペットとしても100点満点!」

「うへぇ」

メイダは俺の頭を撫でながら褒めてくれた。

「でもしっぽはこれから気をつけなさい」

「はーい」


大きな音を立てたので人が来ると思い、俺とメイダは倒れている4人を放置して場を離れた。

今度はきちんと隠密しながら匂いを辿っていると、

物陰に隠れている制服を着た生徒を見つけた。その女子生徒はチワワらしき犬を抱えている。

「うわぁ!? 獣人だ! お願いします見逃してください! 私は食べても美味しくないですよ!」

「落ち着け。 俺はアストラル学園の生徒会役員だよ。 制服着てるでしょ? 悪い狼じゃないから」

「え?…あぁ、よかったぁ……。 悪い人かと思いました」

「ここに来た理由は後で聞くから。 はやくこの地区から出るよ」

「もう私は駄目かと……ありがとうございます」


その後、俺とメイダと女子生徒は難なくヴァイス地区から出ることができた。

日も落ちかけており、あたりは暗くなっていたが、依頼人の男子生徒は不安気に待機場所でうろうろしていた。

「おーい、友達連れてきたよ」

「あっ! 帰ってこれたんですね!」

男子生徒は俺たちを見つけて駆け寄ってきた。

「アヤカ! ヴァイス地区なんかで何やってたの! 何かあったなら僕に言ってくれたらいいのに」

「黙っててごめんねケン君。 私のポチが3日前に散歩中に走ってどっか行っちゃってさ。 聞いて回ったら、ヴァイス地区に向かって行ったっていう情報を聞いたの」

犬を抱えていたあたりで何となく分かったけど、やっぱりペット探しだったか。

「ヴァイス地区はすごく危険なんだよ! でもアヤカに何も無くて良かったよ。 生徒会の皆さんありがとうございます! アヤカも探してくれた生徒会の2人に感謝して」

「2人のおかげで帰ってこれました。 本当にありがとうございます」

「ふふん、レイにかかればこんなものよ。 私のペットはすごいって事を心に刻みなさい」

「「はい!」」

いや別に刻まなくてもいいんだけど。 まあ2人が嫌じゃなさそうだからいいか。

「もう暗くなってきたし、そろそろ帰ろっか。 アヤカとケンも帰り道は気をつけろよ」

「メイダさんもレイ君もさよーなら!」

「今日はありがとうございました」

「アリガトナ!」

俺とメイダは3人と別れの挨拶を交わし、2人を見送った。

…………? 3人? なんか声が多かった気がする。

「なんか3人の声あったくない?」

「何言ってんのよ。 アヤカとケンしかいないわよ。 今日は疲れてんじゃない? さっさと私たちも帰るわよ」

気のせいだったかな?


そんなこんなで俺とメイダは帰路についた。























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