第29話 入会祝い
「やっと終わったぁ! 会長確認よろ!」
ぽみぃが報告書とやらを終わらせたらしく、元気よく立ち上がって会長に差し出していた。
「ふむ…………よくできているな。 これなら良いだろう」
「あーしにかかればちょちょいのちょいよ。 面倒なのも片付いたし狼ちゃんモフらせて!」
「どんとこいや」
ぽみぃは真っ先に俺の耳をモフってきた。
メイダやガロよりは手捌きは劣るがこれもなかなか良いではないか。
「すっごいふわふわー」
「私が毎日ブラッシングしてるから当然よ」
メイダもぽみぃも嬉しそうでなによりです。
「俺も休憩するとしようかな。 なあレイ! フレンダさんとどういう訓練したのか教えてくれよ!」
ジャズも休憩に入ったようで、前のめりになってフレンダのことについて聞いてきた。
「大半は魔法の習得と身体作りだったけどね。 最終日は模擬戦ずっとしてた」
「フレンダさんと模擬戦?! くそぉ、俺も稽古つけてもらいたいぜ!」
「なんでそんなにフレンダに執着してんの?」
「おいおい、あのかの有名な竜狩りに憧れない冒険者は殆どいないぜ。 俺もフレンダさんの依頼に後方支援だが付いて行かせてもらったことがあるんだ。 その時の戦いっぷりを見たらもう………ウォォォォォ!」
うわ、なんか1人で叫び出した。限界オタク怖い。
「うるさいですジャズ。 私はまだ作業してるので静かにしてもらって良いですか?」
「お前もフレンダさんの戦いっぷりを見たらいてもたってもいられなくなるぜ? みんなで一旦休憩してフレンダさんの事を聞かせてやるよ」
「あなたのフレンダさん武勇伝はもう何回も聞いたから結構です! 私は作業に戻るので静かにしてください」
「つれねぇなー」
「いや、ジャズの言う通り全員休憩にするぞ」
「なんでですか会長」
テカーリアが作業に戻ろうとしたところで会長からの静止がかかった。
「新しい入会者ができたら親睦会をする決まりだ。 テカーリアの時もそうだっただろう?」
「あぁ、あれですか」
へぇ、生徒会にもそういうのあるんだ。
「じゃあ前回みたいに食堂のあの場所に行くか。 2人ともついて来な!」
親睦会をするために俺とメイダは生徒会の5人に食堂まで連れてこられた。
食堂に入ると食事をしてる生徒や机で遊んでいる生徒がおり、その全員が俺たちの方を見てくる。
「生徒会だ!」
「ケビン会長もバルト副会長もジャズ会計もかっこいい!」
「今日も一段とぽみぃさんは可愛いし、テカーリアさんも美しいぜ!」
「メイダ様もいるぞ! もしかして生徒会に入ったのか?」
生徒会の人気は物凄く高いらしく、至る所から憧れや歓喜の声や視線が飛んでくる。
ちなみに俺にどんな声が届いてくるかというと、
「なんだあの獣人。 あいつもまさか生徒会なのか?」
「メイダ様のペットとかいう噂も聞いたよ」
「じゃあコネ入会みたいなものかよ。ずりー」
懐疑的な声が聞こえる。 俺の力ですぅ、コネなんかじゃないですぅ。って言いたいとこだが俺は我慢のできる狼なので耐える。
多くの視線を浴びながら会長達について行ったら、不自然に空いてる机の前まで来た。
その机には生徒会専用と書いてある。VIP待遇じゃん、生徒会すげー。
「ここは生徒会の机だからいつでも使って構わない。 今日は俺が支払うからなんでも頼んでくれていい」
「会長太っ腹ぁ! じゃああーしはタペオカミルク茶!」
「俺はステーキ!」
「私は大丈夫です」
「ええー? たくさん食べないとテカリン大きくなんないよ?」
「余計なお世話です」
「私も大丈夫です。 会長に負担をかけたくないので」
みんなが思い思いに頼みに行った。 俺はさっき昼食済ましたしデザート系にしようかな。
「ご主人様は何にする? 俺はプリン食べる」
「じゃあ私もプリンにするわ。 2人分頼んできて」
「りょうかーい」
少し経ち、全員がまた席に戻ったところで親睦会は始まった。
「狼ちゃんもメイちゃん可愛い物食べてんね。 うちの妹もプリン好きなんだよね」
「へぇ、妹いるんだ。 今何歳ぐらい?」
「らみぃって名前で今小2の8歳だよ。 ほんとに可愛いからいつか合わせたい!」
ぽみぃにらみぃですか。 父親はパピィで母親はマミィと予想します。
「メイちゃんはどうなの? 家族について教えてよ」
「あんな家族について話すことなんてないわ」
「そっかぁ〜」
自分のことを蔑んでくる家族のことなんてそりゃ話したくないわな。
「じゃあ狼ちゃんは? 家族もやっぱりみんな狼?」
「そんなの当たり前でしょう。 人から獣人が生まれるわけないんですから」
「それもそっかー。 そんなテカリンも家族構成どうなのかな? お兄ちゃんとかいたりして」
「私は一人っ子です。 母と2人暮らししてます。 気遣いとかされたくないので言いますが、父はギャンブル中毒のどうしようもないやつだったので、2人で逃げて別居しているだけです」
ギャンブル中毒の父親か。 前世では漫画の世界でしか見たことなかったけど実際あるもんなんだな。
「じゃあジャズはどうなの? 俺の予想では妹か弟が数人いる」
ジャズからは複数の子供の匂いがしてくるんだよな。
「よくわかったな! 血は繋がってないが妹1人と弟1人がいるな。 2人ともまだ幼稚園生だがすっげえ可愛い奴らだぜ。 たまに幼稚園に手伝いにも行ってるからレイ達も連れて行きてーな」
「幼稚園ね、一回ぐらい行ってみたいかも」
子供はまあまあ好きだから行ってみたいな。 クソガキは許さんが。
「会長は家族とはどんな感じ?」
「俺は兄弟などはいないな。 今は1人暮らしをしている」
この世界では法的には成人してるけど、年齢高校生で1人暮らしってすごいな。 俺はあの屋敷の生活は絶対に手放せないのに。
「じゃあバルトは?」
「両親と姉の4人暮らしです」
………あ、終わり? バルトは寡黙な感じだからよくわかんないんだよなぁ。 ケビン会長を慕ってるのは態度で伝わるけど。
時間も経ち、お喋りもひと段落ついてみんな丁度食べ終わったところで、ジャズがある提案をしてきた。
「生徒もこれほどいるならレイやメイダの事を宣伝してもいいかもな!」
「あーしも賛成!」
「それもそうだな。 コホンッ、アストラル学園の生徒達よ。 少しの間耳を傾けてくれ!」
会長のよく通るハッキリとした言葉で、食堂中の生徒達がこちらを見てくる。
「以前少し告知したが、まだよく伝わってないようだったので発表したい。 この2人、レイとメイダが生徒達のサポーターとして生徒会に就任した! 君たちのあらゆる問題をこの2人が解決してくれる。 どんなことでも遠慮なく生徒会に来てくれ! レイからも挨拶してほしい」
いきなり俺?! ちょっ、そんないきなり言われましても…………腹括ります。
「はいみなさんこんにちわ! つい先日生徒会に就任しました。 どんなことでもやらせてもらうので気軽にきてくださーい」
こんなんでいいかな? 静かなのやめて。
シーンとしていたので失敗したかと思った矢先、生徒達が一斉に拍手してくれたので安心した。
「もうちょっと威圧感出してもよかったんじゃない? レイが甘く見られちゃうわよ」
「威圧感出したら誰もこなくなっちゃうからこんなんでいいんだよご主人様」
「それもそうね」
大々的に告知もできたし、これでたくさん依頼がくる!
そうして俺たちは親睦会も終わって生徒会室に帰って来た。




