第28話 1人目のお客様
「あぁ〜〜〜暇」
全然人来ない。 まあ初日だししょうがない部分もあるけど。
俺とメイダは椅子を用意してもらって長机に座っていたが、生徒会のみんなは仕事に専念してるのでお喋りできる雰囲気でもない。
暇だし書類作業手伝おうと思ったけど、今お前達にできることはないとか言われて断られた。
「そういえば昼食を食べてなかったわね。 弁当持ってきてるし食べましょ。 ここで飲食しても良いかしら?」
「生徒会での飲食は自由だ」
許可も得て俺とメイダは弁当を食べだした。
「な?! そういうのは恋人同士でやるものでしょ!」
なんかテカーリアが顔を赤くしながら俺たちを見て騒ぎだした。なんやこいつ。
「いきなりどうした?」
「あなたがメイダさんに食べさせてもらってることですよ!」
ずっとこれだったから違和感を感じなくなってたけど、これってはたから見たら異様な光景なのかも。
「私はペットにご飯を食べさせてるだけよ? 何かおかしいことでも?」
本当におかしいことだと思ってなさそうにメイダはキョトンとした顔で答えた。
「それでも! いやうーん……ペットならいいのか?」
テカーリアは何やら1人でぶつくさと言っている。なんなんだこの人。
「あーしも狼ちゃんに餌付けしたい!」
「あなたまで何言ってるんですか!」
ぽみぃも俺にご飯を食べさせたいらしい。でも餌付けって……言い方どうにかなんない?
「ぽみぃ、お前の報告書の期限はいつまでだ?」
「うっ……今日の15時です」
「じゃあ遊ぶ時間はないな」
「はぁ〜い……」
テカーリアもぽみぃも会長の言葉を聞いてすぐに書類作業に戻っていった。
昼食も食べ終わり、お腹いっぱいになってうとうとした頃に、生徒会室に近づいてくる足音が聞こえた。おそらく女子生徒1人で何やら急いでいる。
「1人くる。 依頼人かも!」
俺の言葉にぼんやりしていたメイダも姿勢を正して生徒を待った。
生徒会室の前で止まった生徒は勢いよく扉を開けてくる。
「すいませんこんな急に来て。 今すごく急いでるんです。 生徒の問題を解決してくれる部署ができたみたいな話を聞いたのでここに来ました」
「お嬢ちゃん。 要件を聞かせてもらって良いかな?」
俺はすぐに運動服の女子に駆け寄って要件を聞いた。余裕のある大人を演じてみたけどどうかな?
「私この後バレーの練習試合があるのにバレー部用の靴を無くしちゃって……。 落とし物BOXにも無かったので生徒会がなんとかしてくれないかと思って来たんです」
落とし物か。 それなら俺が匂いを辿れば行けそうかな。
「じゃあ匂い嗅がせて」
「え?」
やべっ、ストレートすぎた。これだとただの変態じゃん。
「違う違う! 匂いを辿れば見つかると思うから嗅がせて欲しいなぁーって、なんか私物でも良いからさ」
「あぁ、そういうことならこれでどうですか? 私のハンカチです」
「じゃあ嗅ぐね」
クンクン……女の子ってなんでこんな良い匂いなんだろ。よし覚えた。メイダからもなんか睨まれてるしチャチャっと終わらせよう。
「ついてきて」
俺はそれだけ言って匂いを辿って走りだした。
匂いを辿っていくと、靴箱の上の奥の方にある袋を発見した。
「なんかあったよー! これであってるー?」
俺は遠くから走って着いてきている女子に合ってるか確認をとる。
「それです! こんな早くに見つけてくれるなんて! ちゃんとお礼したいところですが練習試合があるのでこれで! ありがとうございました!」
「なんのなんの。 これからも頼ってねー」
そうして俺は走り去っていく女子を見送った。
人に感謝されんのって気持ちいいなぁ。これだから人助けはやめられねぇぜ!
俺は仕事が終わったので生徒会室に戻って、依頼を完遂した事を報告することにした。
「無事依頼完了! どうよ、俺使えるでしょ」
「早かったな! いきなり匂い嗅がせてとか言うから驚いたがちゃんと見つけたらしーな!」
生徒会のみんなから一通りお褒めの言葉をいただいた後に、メイダからも褒めてもらおうとしたが、メイダはご機嫌斜めな顔をしてる。
「なんでそんな顔してんの?」
「レイが気軽に他人の匂い嗅ぐからよ。 レイは私の匂いだけ嗅いでればいいの!」
メイダって結構めんどくさいな。ちょっと束縛気質あるんじゃないか?
「ダイジョブダイジョブ。 メイダの匂いの方が断然好きだから」
「そういう話じゃないわよ! はぁ……まあ上手くやったようだし今回は許すわ。 次からはちゃんと私に聞いてからにしなさい」
不満を言いながらもメイダは俺の頭を撫でてくれる。やっぱメイダから褒められんのが1番気持ちい。
次はもっと大きな依頼こないかなー。




