第27話 生徒会初出勤
ここは魔王の本拠地である魔王城。レイ含めた勇者パーティは魔王を討伐するために魔王城に乗り込んで来ていた。
「これはまずいな。 もう少しで魔王のところだというのに敵の軍勢が増えている」
状況は最悪。前に魔王、後ろに魔物の軍勢で溢れ帰っており逃げ場がない。
この状況を打開するためには俺が軍勢を引き止めるしかない!
「軍勢は俺が1人で相手する。 お前らは魔王のところに行くんだ」
「そんなの危険すぎる! レイを置いて先に行けるか!」
「そうよそうよ! みんなでここまで来たんだから!」
「みんなありがとう。 でももうこれしか道はないことは皆もわかっているだろう?」
「くそぉ! 絶対魔王を倒して助けに行くから待ってろよ!」
俺は勇者達を笑顔で見送った後、魔物の軍勢に振り返った。
死んでもここは通さない! この世界の平和のために!
そうして俺は、とても落ち着く良い匂いに包まれながら魔物の軍勢に飛び込んで行った。
…………? 落ち着く匂い? あぁこれ夢か。
「あっ! ほんとに私の匂いで起きたわ! 思ったより効果あるわね」
「おはよー」
熱い夢から覚めて目を開けると、俺の鼻に制服を押し付けているメイダがいた。
「もう起きたから制服離して。 めっちゃ苦しい」
「まだよ。 レイが2度寝しないように完全に目が覚めるまでやるわ」
「うぃ」
俺の目が完全に目が覚めた後は、朝の支度を終えてから朝食を食べ、学校へと向かった。
「今日って確か4時間授業の日だっけ?」
「そうね。 だから今日は4時間目が終わったら生徒会室に行くわよ」
俺の入学したアストラル学園、というかこの世界のほとんどの学校では、週に2日休みがあって、6時間授業の日と4時間授業の日が交互になってるらしく、前世と違ってかなりゆるい。
余裕をもって学校に着き、教室に入るとクラスメート達が挨拶してくれたので俺とメイダも返す。
最初は警戒されていたが、このクラスに馴染めた感じがして嬉しい。
俺は自分の席に荷物を置いて辺りを見回したら、アル達3人組を見つけた。
そうだ! アル達に生徒会に入れたことを早く自慢しないと!
謎の使命感に駆られて俺は3人のところへと向かった。
「3人共聞いてくれよ!」
「おはようレイ君。 そんな興奮してどうしたの?」
「コホンッ、それでは発表します。 ドゥルドゥルドゥルドゥル………デン!! なんと生徒会に入ることになりました! はい拍手」
3人からパチパチという乾いた拍手を頂いた。
「それにしてもすげーな。 あの生徒会に入るには厳しい審査があるって聞いたんだが大丈夫だったのか?」
「生徒会役員との苛烈な戦闘を潜り抜けて辛くも勝利を勝ち取ってやったぜ」
「何普通に嘘ついてんのよ。 レイは面接しただけでしょ」
「ちょっとくらいカッコつけさせてよ」
軽く面接したら入れたし、厳しい審査があるなんてのはただの噂だろうな。
「それでもすごいよ。 あの生徒会に囲まれて面接なんて僕だったら怖くてまともにできないよ」
「生徒会役員のレイ………かっこいい」
「おいおいあんま褒めんなって」
みんな良い奴だからストレートに褒めてくれる。前世の学校だったらどうせマグレとか賄賂とか言われてたんだろうな。
「お前ら席に戻れ〜。 HR始めるぞ」
一通り褒められた後にラボ先生が教室に入ってきてHRが始まった。
HRが終わって、数学、魔法基礎、歴史も終わったら、初めて受ける生物という授業が始まった。
内容は魔物の危険度や習性、対峙した時の対策などを解説するものだ。このクラスは冒険者志望が集まる所だから、こんな授業をしているのだろう。
こうして図鑑を見てる気分で結構楽しかった生物の授業も終わり、早くも放課後になった。
これで今日の授業終わり! 異世界さいこー!
あっという間に帰りのHRも終わり、俺とメイダはすぐに生徒会室に向かうことにした。
「いやはや楽しみですな。 どんなことが待ち受けていることやら」
「何よその喋り方。 まあレイが楽しみなら私はなんでも良いけどね」
生徒会室の扉の前に着いたら、俺は勢いよく扉を開いた。
「ただいま出勤いたしました生徒会役員のレイでーす! あとご主人様もいます」
「あっ! 狼ちゃんおひさー」
「おひさー」
「よく来たな! 早く俺にフレンダさんの話聞かせてくれよ」
「それは後で」
約1名を除いて生徒会のみんなは俺を受け入れてくれていた。
「早かったな。 では早速だが、もう2人は生徒会の一員なので自己紹介から始めよう。 俺はケビン。 生徒会長だ」
「私はバルトです。 副会長をやらせてもらっています」
「もう知ってると思うけどあーしはぽみぃ! 気軽にぽみぃって呼んでね。 庶務を担当してまーす」
「俺はジャズ! 会計だ。 予算は俺が管理してるからちょろまかそうなんて考えんじゃねーぞ。 一瞬で見つけてやるからな」
「テカーリアです。 書記をやってます。 間違ってもテカリンなんて呼ばないように」
「あーしは呼んでも良いってことぉ?」
「あなたも駄目です!」
ふむ、生徒会長がケビンで副会長がバルトね。 うん覚えた。 自己紹介してくれたし俺もしとくか。
「俺はレイ。 メイダ様に仕える賢く強く、時には可愛い護衛兼ペットをやらせてもらってます。呼び名はなんでもいいよ」
「メイダよ。 ここでは身分なんて関係ないから畏まる必要はないわ」
「マジィ? じゃあメイちゃんって呼んで良い?」
「いいわよ」
「いやったぁ!」
「結構ノリいいじゃねーか。 あの異名の雰囲気とはだいぶ違うみてーだな」
少し不安だったが、メイダも生徒会でやってけそうで良かった。
「自己紹介も終わったことだ。 次は2人の役割について教えよう」
なんか面白そうなので頼みます。
「2人はサポートスタッフとなってもらう」
「生徒会のみんなのサポートをするってこと?」
「いや、サポートするのは俺達にではなく生徒達にだ。 生徒同士のトラブルや、生徒個人の問題に対応してもらいたい」
つまりは何でも屋ってことかな? 結構面白そうじゃーん。
「承りました! 完璧に生徒達のサポートをして見せます! ご主人様もこれでいいよね?」
「私はレイがいるならどこでもいいわよ」
「気に入ってくれたなら何よりだ。 もう2人の告知はしているから、早くて今日には人がくるかもしれない。 準備しておけ」
「らじゃっ!」
俺は渡された生徒会役員専用のかっちょいい腕章を付けて、しっぽをブンブンと躊躇いなく振りながら、最初の依頼人を待った。




