第26話 部活よりも….
「なんの部活に入るか決めるわよ。 レイが入るところに私も入るからそこんとこも考えなさい」
「分かった。 というかご主人様は部活入ってなかったの? 帰宅部ってこと?」
「部活は面倒臭いから入ってなかったのよ。 だけどレイがいるなら部活動もやりたくなったわ」
部活も入ってなかったんかい。 だから友達が王族とか関係なくできなかったんじゃないか?
「レイ君とメイダさんは何部に入るのかな? 僕の入ってる魔物研究部、いわゆる魔研なんかおすすめだよ。 どう? 入ってみない?」
先程までの会話を聞いていたらしく、ネスが早速勧誘してきた。
「おいネス! こんなに運動神経が良いんだからレイには運動部に入らせないと勿体無いだろ? 俺のバスケ部に入ってみないか?」
「レイもメイダさんも……私の入ってる園芸部なんかはどう?」
アルやミライからも熱烈なアプローチを受けたが、俺の心はもう決まっている。
「誘ってくれて嬉しいけど俺にはもう入りたい場所は決まってるのさ」
「「「どこ?!」」」
3人がハモっていた。君ら仲良いね。
「そりゃーもちろん生徒会しかないでしょ!」
こういうファンタジーな世界の生徒会は権力が強くて面白いと相場が決まってるからね。 入んなきゃ損でしょ。
「生徒会ね……まあ運動部よりは疲れなさそうだし良いわよ。 でも生徒会に入ったら一定の権力を持つことになるから、入るのは難しいわよ」
ほらね。やっぱり生徒会の権力は強いらしい。
「そこはなんとか王族パワーでなんとかならない?」
「言えばいけると思うけど、私そんなに王族の地位を使いたくないのよね」
「えぇー、俺が入学する時は使ったじゃん」
「あれは例外よ」
コネ入会が無理なら正攻法で行くしかないか……
「どうやったら生徒会に入れる?」
「生徒会長に認められれば入れるわよ。 レイならきっと大丈夫よ」
俺ができる狼ということを見せつければいいかな?
「生徒会ね。 止めないけど無理だったら僕の部活に入ってね」
「いやバスケ部だ!」
「園芸の方が……たのしい」
「俺が入れないわけないから期待はしないでくれよ諸君」
3人は部活らしいので、俺とメイダの2人で生徒会室に向かった。
「あんな調子乗ったこと言ったけど緊張してきた」
「最悪私も口出すから安心しなさい」
王女の言うことは頼りになるなぁ。
「ここね。 私が入るとめんどくさくなりそうだから最初は1人で行きなさい」
「おけ」
これが生徒会……! その豪華な扉は俺をより緊張させた。
よし行くぞ!
俺はガチャっと扉を開けて中に入った。
「おじゃまします!」
中には長机で4人が書類作業しており、奥には社長のデスクみたいもので同じく書類作業をしている金髪で蒼い瞳を持ったThe.イケメンがいた。
俺の声を聞いて5人はこちらを見てくる。
「君は先日入学した獣人だな。 生徒会には何の用だ」
声もイケボで逆に怖い。 でも怖気付くな俺!
「俺が使えるところを見せるから生徒会に入らせて欲しいです。 ついでにご主人様も入らせてください」
ここは礼儀良く行くのがポイントだ……たぶん。
「生徒会に入りたいのか。 アポを取ってからきてもらいたかったが、今はそれほど忙しくないから聞いてやろう」
「無礼を許していただき感謝いたします!」
やべっ、こういうのってアポとか普通取ってからだよな。
いきなり追い出されてもおかしくなかったが、運が良くて助かった。
「早速面接をやらせてもらう。 そこの椅子に座れ」
「失礼します!」
長机のお誕生日席の位置に座り、生徒会の5人に対峙する形になった。
生徒会のメンバーは、メガネを掛けた短髪黒髪の高身長男子、ネイルや服がデコられててギャルっぽい高い位置にポニテがある女子、図書室で司書をやってそうな三つ編み女子、ピアスの空いてて服も乱れているイカつい刈り上げ男子で構成されている。
キャラ濃いな。しかも全員美男美女だし。顔採用だったらどうしよ。 顔で不採用とか納得できないんだけど。
「何故生徒会に入りたい?」
「それはもちろん権力が欲しいしかっこいいからです!」
「うわ直球すぎ! 素直で可愛いし、あーしは気に入った!」
おぉ、ギャルさんからはイイねを頂けた。幸先良し!
「まあ動機はどうでもいいだろう。 ならばいくらか戦闘はできるか? 生徒間のトラブルを止めるのも生徒会の重要な役割だからな」
「だいたいの人間には負けないと思います! 金級冒険者のフレンダって人に訓練されてました!」
「おいおいあのフレンダさんに稽古つけてもらったってのか? それなら認めてやってもイイぜ」
イカつい系からもイイね来た。
今んとこ順調っぽいからこのまま押せばいけるか?
「書類仕事も多分できます! なんでもするんで入らせてください。いや!なんでもはやっぱできません!」
「意気込みはあって戦闘力もあると……俺は生徒会に入ることを認めよう。 ジャズとぽみぃからは気に入られたようだしな。 残り2人はどう思う?」
イカついのがジャズでギャルがぽみぃね。名前も濃いから覚えやすいな。
「私は生徒会長の指示に従います」
この調子だと行ける! 生徒会入り楽勝すぎぃ!
「待ってください。 私は反対です」
ぬぁにぃ?! このまま入る流れやん。
「テカーリア。 何故反対なんだ?」
「このような適当な面接で入れたら生徒会の格が落ちてしまいます! それに役割もすでに埋まってしまっているでしょう?」
「えぇー? そんなむずいこと考えなくてもいいじゃんテカリン」
「前から言ってますけどテカリンって呼ぶのやめてください!」
ぽみぃとテカリンが言い争ってる間に生徒会長は考えをまとめたらしい。
「2人とも静かにしてくれ。 テカーリアの言い分も正しい。 しかし過半数以上の賛成がある以上入れるしかない。 それに役割の枠がないなら作れば良いだろう。 これで納得してくれないか?」
「………わかりました」
若干不服そうだが了承をもらったので入るので確定かな?
「生徒会総意の下、お前とメイダ様を生徒会に入ることを許可しよう」
「よっしゃぁ!」
「詳しい手続きは明日やるから午後にもう一度生徒会室に来い。 今日は帰ってくれていい」
「ありがとうございました!」
「ジャネー狼ちゃん」
「次来たらフレンダさんの話聞かせろよ!」
そうして俺は生徒会室から出て、扉の近くにいたメイダと合流した。
「聞いてたわよ! まあレイなら当然の結果よね」
「ご主人様は面接なくていいの?」
「ま、まぁ私は一応王族だしね」
俺の質問にメイダは顔を背けながら答えた。
「結局権力使ってんじゃん……」
「私を入れたのも生徒会長の選択だからいいじゃない!」
それはそうだな。じゃあいーか。
こうして俺とメイダは学校から下校し、屋敷に戻って来た。
いつものようにメイダに洗われてお風呂に入り、夕食を食べたら明日の授業の準備をした。
「うぁ〜眠い」
「ちょっと寝るの待ちなさい」
「えなに?」
「学校で言ったでしょ? すぐ起こせるように私の匂いを覚えさせるわよ」
「本当にやんの? 俺メイダの匂いはだいたいわかってるよ?」
「それでもやるわよ。 もっとちゃんと確認してもらうわ」
俺が匂いフェチになったらどう責任取ってくれんの?
何言っても聞きやしないと思うので素直に従うことにした。
「まずは私の制服の匂いを覚えなさい」
「じゃあ嗅ぎまーす」
クンクン………。 なんだか、すげー落ち着く匂いがする。何かに例えられるわけではないが、とにかく落ち着く匂いだ。これならいつまでも嗅いでいられるなぁ〜。
「いつまで嗅いでんのよ。良い匂いなのはわかるけどそれくらいにしときなさい」
俺はメイダに制服を強引に没収された。
「えー、もう少し嗅ぎたかったのに」
「そんなことで文句言わない。 次は私を直接嗅ぎなさい」
「いやぁ、それはちょっと遠慮しよっかな?」
「命令よ」
絵面大丈夫だろうか。 犬とかならまだしも獣人だしなぁ。 まあ嗅ぎますけども。
正面からは駄目な感じがするので、俺はベッドに座っているメイダの後ろから嗅がせてもらった。
クンクンクンクンクンクン………あぁキマる。やっぱり直接の方が匂いが濃い。
「うへぇ、落ち着くぅ」
「今のレイちょっときもいわよ。 まあこれで匂いは覚えたでしょ?」
「バッチリ覚えた。 あともうちょい嗅がせて」
「私は眠いから寝るわよ。 寝てる間に勝手に嗅いどきなさい」
「よっしゃ」
今日は匂いが嗅げるようにメイダを後ろからハグする状態で横になった。
「今日だけだからね。 明日からは抱き枕続行するから。 じゃあレイ、おやすみなさい」
「おやすみー」
メイダがすぐに眠りについた後、俺はもう少し経ってから心地よい匂いの中で眠りに落ちた。




