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第16話 初めての魔法

それからというもの、朝起きたらすぐに訓練に入り、ヘトヘトになったら魔力を見るための特訓をし、風呂でふにゃふにゃにされる生活を6日ほど続いた。

しかし訓練最終日の朝にあることが起きた。


俺はいつものようにメイダのベッドで目を覚まして、体に異常があることに気づいた。

寝巻きをメイダに取られるのはいつものことなので異常などではないが、今日は体がなんか赤く光ってる。

「え? なんだこれ」

別に体が熱かったり、体調が悪くなっているわけではないが光ってる。

ちょっと怖かったのでメイダをゆすって起こすことにした。

「異常事態です。おたくのペットが光ってます。 早く起きてください」

「うーん? なによレイ。 まだ寝かせなさいよー。 ………? 何も光ってないじゃない。意味わかんないこと言ってんじゃないわよ。 私はもう少し寝るからおやすみー」

薄情な飼い主だこと。

こういうのはガロかフレンダに聞こうかな。

そんなことを考えていたら丁度よくフレンダが寝室に入って来た。

「おーいレイ! 朝食を食べたら今日も訓練だ! 今日で最終日だから魔法も今日使えるようにするよ!」

「なぁフレンダ。 俺だけしか見えない光が体にまとわりついてんだけど何これ?」

「おっ! やったなレイ! それはお前の魔力だよ! 見えたなら今日は魔法の訓練を重点的にしていこうか。 体づくりはだいぶ終わったしな」

ほーん、これが魔力ねぇ。光ってんのは結構うざいけどやっと魔法が使えるんだな。

獣人だからだと思うが、6日間にしては体はだいぶ筋肉質になっていた。


着替えてから朝食をメイダに食べさせてもらった後、早速魔法の訓練に取り掛かった。

「強化魔法を使いたいなら、その光を体中に広げて循環させるイメージをしてみな」

体中に広げて循環か…………あっ、できた。

「多分できたと思う」

「結構早いじゃないか。 それなら試しに全力で走ってみな」

どう変わったんだろうか。そう思いながら地面を思い切り蹴ったが、

「やば!!!!!」

いつもよりも3倍近くは速く走れてる感じがする。楽しくなってきてその場で軽くジャンプもしてみたら、ゆうに5メートルは飛んだように感じた。

魔法ってすげぇ! やっぱり俺は異世界に来たんだ!

これまで魔法とはほぼ無縁だったために感動は大きかった。

「魔法についてまだ教えなきゃいけないことがあるから戻ってこーい」

いかんいかん。俺としたことがはしゃぎすぎちゃったぜ。

俺は速くなった足ですぐにフレンダの前まで戻った。

「楽しいのは分かるが使いすぎもよくないからな。 魔力切れしたら体が動かなくなるぞ。 そうならないために少しずつ魔法を使う練習が必要だ」

確かに少しだけ体の光が弱まってる気がしなくもない。 というかこの光ってオンオフできないのだろうか。ずっとあったら目がチカチカする。

「この光って抑えることはできないのか?」

「それも今から教えようとしていたところだ」


そうして魔力の使い方を一通り学んだら、フレンダと前のように模擬戦をするとこになった。今回はこっちがボコボコにしてるやるぜ!

「アンタが魔法を使えるようになったから、アタイも大剣と魔法を使わせてもらうよ。 一瞬で終わらないよう頑張りな!」

ふんっ、そんなこと言えるのも今のうちだ。前回の俺とは一味も二味も違うからな!

「アタイから行かせてもらうよ!」

戦闘が始まり、フレンダが大剣を右手だけで持ち上げ、左手には小さな火の球らしきものを持って迫ってきた。

(あれは火球かな? どんな風に使ってくるかわかんないし用心しとこう)

俺はフレンダが横振りしてきた大剣をジャンプして軽々と避けてから、強化魔法が乗った踵落としをフレンダの顔面目掛けて振り下ろした。

「なかなかやるじゃない」

案の定踵落としはフレンダの剣に防がれていた。

(うぅー……当たるとは思わなかったけど、全然動じないなぁ。どうしたものか……そうだ!締め技使ってみよう)

俺は少し後退してから全力で地面を蹴り、フレンダの剣を爪で弾き返してから後方に回り、フレンダの背中に飛び乗ってから首を思いっきり絞めた。

「首絞められたらどんなに硬くてもきついだろ!」

「発想は悪くないけど及第点レベルね」

背中に乗った俺の前にさっきの火球が迫ってきた。

(この位置だったらフレンダ諸共当たってしまわないか? なんのつもりだ?)

そう思って火球を見ていたら火球が突然激しく発光して、用心深く見ていた俺の目にその激しい光が飛び込んできた。

「うぎゃっ! 目がぁー! 目がぁー!」

目がやられてアホみたいに動揺した俺は、フレンダの背中から吹っ飛ばされた。

着地はしたもののまだ目が回復していない。

(どっから来る? 音をしっかり聞け!)

前方から足音が聞こえてくる。 大剣が振り下ろされた音を聞いたのですぐに横に避けた。

「おぉ! 目が見えないのによく避けたね! これはどうかな?」

続け様に横薙ぎに剣を振ってきたのですぐにしゃがんで避けたが、しゃがんだ体勢の腹にそのまま蹴りをくらって吹っ飛んだ。

「ごふっ! うーん………降参!」

悔しいが目が見えない状態だとまともに戦えないと考えて降参した。

「前回よりもだいぶ成長したな。 これで戦いに慣れたら護衛としては充分だね。魔法使ったら力は私よりあるかもしれないし」

「ずりぃぞ目潰しなんて! 火球だと思ったのに発光しだしてびっくりしたんですけどぉ!」

「あれはアタイの火魔法に偽装した光魔法だね。 ずるいも何も実戦だと事前情報なんてないんだからな」

それもそうだけど………まあ言い訳しても仕方ないかぁ。


その後も何回か日が落ちるまで模擬戦をした。最後の方には良い戦いができたと思う。

「これでアタイの訓練も終わりだね。 アタイ寂しくなっちまうな。 卒業記念にこれをやるよ」

渡されたのは綺麗な銀色のイヤーカフだった。

「一週間ありがとなフレンダ。こんなプレゼントまでしてもらって」

「いやいや! アタイが依頼されて来たんだからお礼なんていらないよ。 良いからそれ付けてみな」

言われた通りに付けてみた。俺のかっこよさがもう一段上がった感じがする。

「どう? 似合ってる?」

「似合ってる似合ってる。 たまにそれを見てアタイのことは思い出してくれよ」

「たまにじゃなくてずっと覚えといてやるよ」

「それは嬉しいね」

短い間だったが本当にお世話になった。


フレンダは依頼達成のサインを貰い、俺たちの屋敷から去っていった。




















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