第11話 学園に入学しなきゃらしい
「単刀直入に言わせてもらうわね。 レイは私が通っている学園に入学してもらうわ」
「なんで?」
「そ、それはレイが私の護衛なんだからいつでも近くにいられるようによ!」
あぁ……学園でも1人で寂しいのかな?
「でも学園ってそんな簡単に入学できるものなのか? ご主人様が通っている学園なら、貴族達が通っているところだよな?」
「いや、私が通ってるのは王立じゃなくて私立の学園だから平民の割合の方がはるかに高いわ。 だから王族の権利を使えば簡単に入れるわよ」
おい、普通にコネ入学じゃねーか。 王族ってなんでもありか?
「長期休みが終わってから入学にしたいと思うわ。言ってなかったけど今はゴールデンウィーク中ね。あっ、ゴールデンウィークのこと知らないか」
えっ、異世界にもゴールデンウィークってあるんだ。
でも勉強だるいなー。メイダのことを1人にしないって決めてたけど学校かー。
「ちなみに拒否権は?」
「もうガロが入学手続きは済ませてあるわ」
「おけです」
仕事が早くてガロは優秀ですな。
「でも勉強なんてしたことないんだけど」
「なんとかなるわよ。 私も勉強教えてあげるし」
前世の分の知識がどこまで通用するかな?
「入学するまでにこの前言った訓練をしてもらうわ。 専属教官をつけるから護衛として入学までに仕上げなさい」
最初に出会った頃に言われたやつか。 狩りとかで体も動かしてたしついていけるだろう。
話合いも終わったのでこれから就寝だろうな。もう夜遅いし。 ガロは今から食べるらしい。
「俺の寝室ってどこにあるんですか? 野外とかは勘弁してほしいです」
「そんなとこに寝かせるわけないでしょ。 黙ってついて来なさい」
そうして連れてこられたのは、
「ここがレイの寝室であり私の寝室よ」
同室かよ。 ツインベッドなのかと思ったらシングルベッドだし。
付いてきた侍女も予想外だったらしく、
「メイダ様、流石にペットであるとはいえ男ですし……別部屋になさった方がよろしいかと……」
「いやよ、私の決定に口出さないで」
「わかりました……ではぐっすりおやすみなさいませ」
こうして2人になったが、
「一応ご主人様は女性で俺は男性だよね? 嫌だったりしないのか?」
「ふふん、私大きなペットを抱き枕にして寝るのが夢だったのよ」
それでいいならいいんだけども……
部屋に入り、椅子に座ることをメイダから指示された。
「ほらっ! 約束のブラッシングしてあげるからこっちにきて座りなさい!」
「やったぜ!」
とりあえず上着は脱いで、大きなブラシでのブラッシングが始まった。
「うふふふふ、やっぱりうちのレイは毛並みがよくてブラシのしがいがあるわね」
「楽しいならなによりで」
そうは言っても他人からされるブラシは気持ちええなぁ。 毛並みが綺麗になっていくのを感じる。
「よし! こんなものかしらね。 落ちた毛は私が責任を持って人形に使うから安心してちょうだい」
何を安心すればいいのかわからないが、もうメイダの選択に否定はしない。 どうせゴリ押されるし。
「ふぁーあ……眠くなってきたしベッドで寝ましょ」
そうだった。 俺はメイダと一つのベッドで寝なきゃいけないんだった。 それを考えたら緊張してきた。
「早くきなさいよ。 私抱き枕がないと寝れないのよ!」
うっ……心を無にして頑張ります。
「ふふっ、いい子ね」
寝巻きの中にメイダの手が入り込む形で抱きついてきた。俺はただのぬいぐるみ、俺はただのぬいぐるみ、俺はただのぬいぐるみ。
自己暗示して平静を保っている。頑張れレイ。
そんな風に戦っていると、メイダが眠そうな声で語りかけてきた。
「もうレイは私のものなんだからぁ。 どっか行ったりしないで私のそばにいてね。 ずっと一緒にいましょうね」
これまでの強気な姿勢が嘘のように甘えた声だった。 そうだよな、ずっと1人だったもんな。
もう間も無くしてメイダの寝息が聞こえてきた。
「俺だけでも一緒にいてやるよ。 だから安心しな」
聞こえてはいないだろうが、メイダの顔がかすかに微笑んだ気がした。
そうして俺も深い眠りについた。




