第6話 いなり寿司は好きですか?
「朝ごはん、できたよ!」
ギンコが私を起こしにきた。
自分の部屋には入らないで、と言っていたのに、自分がこちらに入るのはいいらしい。
まあ、私は居候だから、文句も言えないが。
朝ごはんは、
いなり寿司と、おみそ汁、焼き魚、漬物が並んでいた。
「すごいな。朝から、こんなに用意したのか!?」
小さな子が、(年齢は200歳だっけ)こんなに用意できることに驚いた。
「ギンコが作ったのは、焼き魚とおみそ汁。おいなりさんと漬物は、お供えものだからね」
いや、焼き魚とおみそ汁だけでも、たいしたものだ。
というか、おいなりさんと漬物は、お供えもの??
「お供えしてあるのを、取ってくるのは良くないんじゃないか?」
私の忠告に、ギンコは首をかしげた。
「なんで?これは、人間がギンコにくれたんだよ??」
ああ、ダメだ。悪いと思ってないな。
もう、当たり前のことになっているに違いない。
いなり寿司に手をつけずにいると、
「おいなりさん、キライ?」
と、尻尾をたらりと、下にさげた。
耳も、ペタンと、たたまれている。
こ、これはいかん!!
小さい子をションボリさせた罪悪感に負けた私は、いなり寿司を口に入れた。漬物も、食べるのを忘れない。
「うまい、うまいぞ!!」
いなり寿司は手作りの味で、とても美味しかった。
スーパーに並んでいる物とは、一味違う。
勢いよく食べる私に、気をよくしたのか、ギンコの尻尾と、耳が、ピンッ!と立った。
「でしょでしょ!村人たちは、ギンコが大好きで、毎日おいなりさんをくれるんだよ!」
「たくさんあるから、もっと食べてね!」
尻尾を左右にパタパタ振っている。
可愛らしい笑顔に負けて、朝からお腹いっぱいに食べてしまった。
孫に勧められると、断れないおじいさんたちの気持ちが、少しわかった気がする。
可愛らしい顔に、モフモフの尻尾をフリフリさせる姿は、動くぬいぐるみのようだった。
村人たちも、この笑顔にやられているな……。
朝ごはんを食べ終わると、私は暇になった。
出勤する必要もないし、これからどうするかな?
これは、二度寝ができるんじゃないか!?
早速、ゴロンと横になろうとすると、ギンコにぐいっと引っ張られた。
「部長さん、寝てちゃダメだよ。朝のお仕事にいくよ〜!」




