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第5話 狐の本棚
「明日は早いから、部長さんも寝たほうがいいよ」
ギンコが、隣の部屋を私のために用意してくれた。
なかなか広い家のようだ。
応接間のような部屋まである。
そこには、座り心地のよさそうな椅子と、本棚があった。
本棚には、ズラリと本が並んでいた。
思わず、足を止める。
「すごいだろ。この本は、代々伝わるコレクションなんだ。」
「大切に見るなら、部長さんも見てもいいぞ」
狐が読書をするなんて、意外だった。
狐は、いったい何を読むんだ?
チラリと目に入ったのは、
「注文の多い料理店」
だった。
へえ。元の世界と、同じ本があるぞ!
他には、何があるんだろう?
私が読めそうな、面白い本はあるかな?
とても興味を惹かれたけれど
「今日は、もう消灯時間ね」
ギンコが、灯りを消してしまった。
とたんに月明かりだけになった。
もっと見たかったのに、これでは何も見えない。
本は、またの機会にしよう。
ギンコは、夜目がきくのか、暗闇の中でも平気そうに歩いていった。
「じゃあ、おやすみ、部長さん」
「あ、ギンコの部屋は、絶対に見ないでね!!」
なんだか、鶴の恩返しみたいなセリフを残して、ギンコは、夜の闇に消えていった。
さて、私も寝るとするか……。




