第4話 モフモフパラダイス
ギンコに連れられて外に出ると、そこはモフモフパラダイスだった。
茶色のキツネが、広場に集まっているじゃないか!!
「いいお天気だね」
「今日も、お仕事頑張ろうね」
聞こえてくるのは、キツネたちの声らしい。
キツネの声?
私は、動物の言葉がわかるようになったのか!?
「よ――し、みんな、昨日の仕事はちゃんとしてきたか――?」
ギンコが呼びかけると、みんな一斉に、
は――い!
と返事をした。
同時に、茶色の尻尾がフサフサと揺れて、それはそれは可愛らしかった。
「じゃあ、今日も、頑張って配達するんだぞ」
ギンコがその場で高速回転すると、キラキラと銀色の粉が舞い、煙の中からたくさんの食料が現れた。
栗、松茸、銀杏など、季節の食材でいっぱいだ。
「さあ、これを持っていくんだ!」
キツネたちは、一列に並んで、食料をくわえていく。
「部長さんも手伝って」
言われるままに、私も、食料をキツネに渡した。
「おじさん、新しい人?」
不意に、子ぎつねに話しかけられた。
当たり前のように、人間に話す子ぎつね。
この世界は、人間と、動物は、普通に話せるんだろうか?
「まあ、そんなところかな……」
とりあえず、曖昧な返事をする。
「そうなんだ!あたしはゴン。頑張って配達するから、おじさんも頑張ってね!」
食料をくわえると、尻尾をフリフリして去っていった。
なんか、いい子だったな。
思わずホッコリする。
名前は、ゴン、か。
キツネの、ゴン……。
聞き覚えのある名前だな?
気になったけど、思い出せない。
ああ、年をとると、思い出すまで時間がかかって、まいったな。
自分の老化を嘆きながら、食料をキツネたちに渡し終えた。
気づくと、辺りは薄暗くなっている。
「疲れた疲れた。部長さん、帰るよ」
ギンコに促されて、また家に入る。
帰る?
あれっ?なんか、普通に一緒に住むことになってないか??
「明日は早いから、部長さんも寝たほうがいいよ」
ギンコが、私のために部屋を用意してくれた。
なかなか広い家のようだ。
応接間のような部屋まである。
「今日は、もう消灯時間ね」
ギンコが、灯りを消してしまった。
とたんに月明かりだけになった。
もう少し起きていたかった。
でも、ここにはTVもない。ナイターも見れないし、素直に寝るしかないか。
ギンコは夜目がきくのか、暗闇の中でも平気そうに歩いていった。
「じゃあ、おやすみ部長さん」
「あ、ギンコの部屋は、絶対に見ないでね!!」
なんだか、鶴の恩返しみたいなセリフを残して、ギンコは、部屋に入っていった。




