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第1話-2

  第1話-2


 鬼気迫る彼を何とか宥め、観念した私はここ5年間における自身の遍歴を可能な限り洗いざらいに白状するに至った。幸いな事に彼の基準に照らしての全殺し案件は存在しなかったものの、なんの気は無しに保管していた女性たちの写真を一瞥するなり

 「は?めっちゃかわいいじゃん、やっぱ○刑」と別の意味で責めを負うことになった。


 ―――


 「…で?一人くらいはのめり込んじゃった相手も居るんじゃないの?」

 問いかける彼の口調には既に怒りは感じられない。代わりにと言うべきか、呆れとも諦観とも悲哀ともつかぬ感情の発露が鼓膜と心を刺した。


 「あぁ…いや、そう言うのは無かった、かな」

 改めて自身の犯してしまった過ちに込み上げる罪悪感を飲み下して事実だけを述べる。

 「歯切れが悪いなぁ…別に、これから取り返してくれれば良いんだよ?」

 困ったように笑い掛ける彼の表情に更なる罪悪感を半分、救いを半分得ながら拭い切れぬ居心地の悪さに思わず寝床の上で身動いだ。


 「本当に、そこまで深く関わる前に向こうから離れてくケースが多くて」

 「へぇ…なに、粗雑に扱ったって事ならそれはそれで怒るよ?」

 互いに女性にはとことん甘い性質のため斯様な叱責を受けるだろう事もある程度覚悟していた。


 「そう…だな、相手にしてみれば酷い事をしてしまった」

 言い訳がましい言い回しに聞こえるだろうが、私からすれば誠実に胸中を明かした心算だった。人生で最も愛した男性が居て、相手の片親から猛反対を受けた頃合いに唐突に連絡が途絶え、消息が掴めない事について。

 よく考えずともそれは、『彼が戻る事があれば今の関係が確実に揺らぐ』だろうことを相手に懸念させずには居れなかっただろう。現にこうして「異世界を救ってきた」などと頓知気なことを宣う彼を易々と受け入れて、まるで昨日もそうしていたかの様に傷だらけの体を愛撫しているのだから。


 「すっごく気持ち良かったです」

 「おい、シリアスな空気を吹き飛ばすにしてももうちょい言葉を選べ」

 「どの女に仕込まれたのか…羨ましい…」

 「想像して興奮すんな、当たってんだよ」

 「当ててんのよ」

 (ネタが古い…異世界召喚の後遺症でジェネギャが…)

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