第1話-1
第1話-1
向こうでの委細を彼に語ろうとは思わなかった。
『これからの二人に必要な話ではない』と思った事が何よりの理由だけれど、それ以上に、語るのに憚られる出来事が向こうには多すぎた。
僕としては彼に再会する一心で手を染めた事で、其処に所謂倫理や良心の呵責と言うものを感じる事は少なかったのだけれど。彼が同じように気軽に受け止めてくれるとは思えなかった。
彼が僕以上に僕の経験した彼是に心を傷めてくれるだろうと確信しての事だから、遠慮と言うよりは愛情ゆえと彼も理解してくれると思う。
―――
「でも君はさぁ!何か!僕に対して!何なら謝罪も込みで!話さなきゃいけない事が有るんだよねぇぇぇぇ!?」
「…返す言葉も御座いません」
「いや有れよ、まず這いつくばって許しを乞うてごらんよ、ほら頭が高いよデカブツ!ケダモノ!浮気者!」
「人を罵倒して興奮するのかNTR妄想膨らませて悲しむのかどっちかにしてくれ…対応に困る」
正直なところ『大いに困るが良いよ』と思った。気丈に振る舞っている心算だけれど、内心では圧倒的に後者の感情の方が大きかったから…ん?『妄想』?
「…なに、未遂ってこと?じゃあさっきの意味深な間はなんだったわけ?」
寝床に横たわる彼に全身を預けるようにのし掛かり頬を軽くつねってやる。
「その辺はまぁ…定義に依ると思うので…すり合わせをしつつお話が出来れば幸いでしゅ」
『でしゅ』じゃないよ、かわいこぶってからにもう…。
『話の展開次第で上手く誤魔化しを入れます』って白状しているようなものである自覚が有るのだろうか。
「定義ねぇ…まぁ簡単に言うなら、『相手が女なら半殺し、男が相手なら全殺し』、かな。後は本気度合いと状況に応じて25%~75%殺し?」
「情状酌量が有っても最低25%は確定かよ…って言うか異世界帰りの勇者様が言うと洒落にならないんだけど…」
「大丈夫大丈夫、伝説の剣は魔王との決戦で消失したから」
「じゃあ背中に隠してるジャパニーズヤンデレソードは一回キッチンに戻そうか」




